人工授精(AIH)の流れや費用!妊娠に近づく為の不妊治療について
「子どもがほしいけれど、妊娠できない」「不妊症なのかも…」と悩むカップルは多く、不妊治療を受けるカップルも年々増加しています。
人工授精(AIH)は、タイミング法を行った次の段階として行われることが多く、妊娠を手助けする不妊治療法の1つです。
今回は、そんな人工授精の流れや費用紹介していきます。どんなことをしていくのかを知り、当日まで見通しを持って治療を行っていきましょう。
不安解消!人工授精の基礎知識
「人工」言葉を聞くと、人為的な治療と思われがちな人工授精。しかし、実際は自然妊娠にとても近い治療法なんですよ。
- 自然妊娠に近い!人工授精(AIH)
- 軽度の男性不妊は人工授精に向いている
- 精子に問題がない場合は人工授精の意味がない
- 不妊治療の中では意外と手軽!人工授精の費用
- 参考にしたい!人工授精の妊娠率とステップアップの目安
人工授精の基礎的な知識について見ていきましょう。
自然妊娠に近い!人工授精(AIH)
人工授精とは、排卵の時期合わせて、マスターベーションにより回収した精子を洗浄・濃縮し、直接子宮に注入するという方法です。
直接子宮に精子を注入するため、精子と卵子が出会う確率を高めることができます。
子宮内に注入された精子は自力で泳いで卵管に向かい、受精します。受精から着床するという過程は、自然妊娠と変わりません。
「人工」とついてはいますが、きわめて自然妊娠に近い治療法であると言えます。
人工授精では、子宮腔内に、細くやわらかいカテーテルで精子を注入します。精子を注入する時間も数秒なので、痛みはほとんどありません。
軽度の男性不妊は人工授精に向いている
精液検査の結果、精子の数が少なかったり、運動率が悪かったりする場合に有効です。
精子の状態や女性の年齢が高齢である場合には、体外受精や顕微授精にステップアップした方がよいということもあります。
他にも、セックスができない性交障害や子宮頸管粘液分泌不全の場合にも、人工授精は有効です。
タイミング療法を6周期以上行っても妊娠しないという場合にも、人工授精を勧められることがあります。
精子に問題がない場合は、人工授精の意味がない
人工授精は、精子が子宮に入ることをサポートするというものなので、男性側に原因がなく、精子に問題がない場合には、あまり意味がありません。
また、女性が高齢である(35歳以上)の場合も、確率の低い人工授精を繰り返し行うよりは、体外受精や顕微授精を行った方が妊娠できる確率が高まります。
不妊治療の中では意外と手軽!人工授精の費用
人工授精の費用は保険適用外となるので、全額自己負担になります。
1回あたり10,000円~30,000円程度です。この他にも、検査費用や排卵誘発剤などの費用が追加されます。
数十万円かかる高度生殖医療と比較すると、不妊治療の中では、まだ手軽な金額です。
費用は病院によっても違うので、事前に費用を確認しておくようにしましょう。
参考にしたい!人工授精の妊娠率とステップアップの目安
人工授精を行っての妊娠率は、1回につき5~10%と言われています。
タイミング療法の妊娠率が3~5%なので、若干確率は上がりますが、体外受精や顕微授精ほどの成功率ではありません。
また、人工授精で妊娠する人の約90%が4~6回目までに妊娠しています。
6回を超えて人工授精を行ったとしても妊娠する確率がゼロという訳ではありませんが、妊娠率の高い体外受精や顕微授精に進んだ方が、妊娠できる可能性は高まります。
元気な精子を回収する方法
精子の運動率や数に軽度の問題がある時に採用されることの多い人工授精。卵子までたどり着く元気な精子を回収するために、洗浄・濃縮が行われます。
回収方法は大きく分けて「スイムアップ法」と「バーコール法」の2種類あります。
運動性の高い精子を回収するスイムアップ法
洗浄し、遠心分離をした精子に培養液を注ぎます。培養液の中から自らの運動性で浮き上がってくる元気な精子を回収するという方法です。
産み分けでも話題になったパーコール法
精子をパーコール液という特殊な液に入れ、遠心分離機にかけます。上澄みを捨て、そこに沈殿している精子を培養液で薄めて、元気な精子を回収します。
遠心分離にかける際に、X精子とY精子の重さの違いを利用し、男女の産み分けができる方法として注目されていました。しかし、実際は100%男女の産み分けを行うことは難しいようです。
1994年~2006年まで、日本産婦人科学会によりパーコール法は、安全性の理由から使用自粛をするように通達が出されていましたが、現在では自粛は撤回されています。
産み分けの方法として実施しているクリニックもありますが、100%願った通りになるという訳ではありません。
パーコール法はあくまでも「元気な精子を回収する方法」としてとらえるようにしましょう。
負担が少なくて安心!人工授精の流れ
人工授精は、病院に行ったその日に実施できるというものではありません。事前の準備が必要になります。
- 基本の不妊検査・血液検査を事前に受ける!
- 超音波検査で卵胞の状態をチェック
- 男性の協力が必須!採精
- 痛みはほとんどなし!子宮に注入
- 人工受精後は排卵の確認!
人工授精はこのような流れで行っていきます。それぞれの項目を詳しく見て見ましょう。
基本の不妊検査・血液検査を事前に受ける!
まずは、不妊の基本検査を受け、クラミジア、エイズ、B型肝炎、C型肝炎などの感染症がないかをチェックします。
この時に感染症が見つかれば、治療が最優先となります。
超音波検査で卵胞の状態をチェック
生理が開始した日を1日目と数えて、生理開始10日~12日目に超音波検査を行います。
排卵日を正確に特定するために、卵胞の大きさや子宮内膜の厚さを計測します。さらに、尿検査で、排卵前に上昇するホルモンのLH値の測定を行います。
排卵は、自然周期に任せる場合と排卵誘発剤を使用する場合があります。
完全自然排卵の場合は、薬を使用しません。排卵誘発剤を使う場合には、排卵がある程度コントロールできるので妊娠率が上昇します。
自然排卵と比較すると、排卵誘発剤を使用することによって多胎妊娠のリスクが高まります。病院では、が低い排卵誘発剤のクロミッドやセロフェンが使用されることが多いです。
超音波検査や尿検査の結果を踏まえて、人工授精実施日を確定させます。
男性の協力が必須!採精
男性は、人工授精の当日に採精します。病院に採精室がある場合には、病院でも採精することができます。
自宅で採精する場合には、病院で指定された容器に採取して2~3時間以内に持参します。
その後、精子数をカウントし、洗浄・濃縮作業が行われます。作業時間は1時間ほどです。
禁欲期間をおいた方がよいという病院もあるので、事前に確認するようにしましょう。
痛みはほとんどなし!子宮に注入
取り違えがないように名前を確認し、洗浄・濃縮した元気な精子を子宮に注入します。注入に使うカテーテルは柔らかく、注入時間は数十秒なので、痛みはほとんどありません。
病院によっては、排卵の確率を高めるために、実施後にhCG注射を打つこともあります。
実施後5分ほど安静にしたら、当日に帰宅できます。帰宅してからも神経質にならずに、普段通りの生活を送って大丈夫です。
念のために、感染予防に抗生物質薬が処方されます。忘れずに内服しましょう。
人工受精後は排卵の確認!
人工授精後は、排卵と黄体機能を確認します。黄体ホルモンが不足する可能性がある人は、黄体ホルモン補充を行います。
人工授精後、数日間少量の出血があることがありますが、軽いものなら問題ありません。腹痛や出血はひどい時には、医師に相談しましょう。
生理予定開始日以降の人工授精から約2週間後に、妊娠判定を行います。
不妊治療は夫婦で協力していくことが重要
「人工」という言葉から重いイメージを持つ人もいますが、人工授精は自然妊娠に近い不妊治療です。リスクもほぼないので、安心して受けることができます。
また、治療も取り入れていった方が、医療機関での指導を受けられるので、自己流よりも妊娠確率はアップしますよ。
全ての不妊治療は「妊娠のお手伝い」であって、基盤にあるのは、それぞれの妊娠力です。赤ちゃんを迎えるためにも、健康的な生活を心がけて妊娠力を高めましょう。
どんな治療も夫婦の協力があってこそ成り立つものです。夫婦仲良く、気負わず、前向きに治療していきましょう。



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