喫煙は不妊の原因…健康被害をもたらす煙草の有害物質や受動喫煙について

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2017/05/17

タバコによる人体への害は、不妊だけではありません。タバコは体のほぼすべての臓器を侵すといわれるほど、沢山の害を及ぼします。

タバコは200種類もの発がん促進物質を含むといいます。タバコに含まれる有害物質には、ニコチン、タール、一酸化炭素という非常に強い作用を持つ成分があります。

タバコが人体に及ぼす様々な悪影響と、ニコチン・タール・一酸化炭素などのの有害性について調べました。なぜ受動喫煙が危険なのかと併せて解説していきます。

タバコによる人体への害 ・・・喫煙によるリスク

「喫煙により引き起こされた」とされる健康被害は多岐にわたります。

身長の伸びの低下や持久力の低下など、思春期の子供達が喫煙することで引き起こるリスクも問題となっています。喫煙は健康にメリットはなく、体を害するばかりなのです。

▼妊娠に煙草が良くない理由についてはコチラも参考にしてみて!

健康被害の一例

喫煙は「がん」の発生リスクを高めることはよく知られていますが、それ以外にも沢山の害があります。

たばこによる人体への害には、主なものに、「がん」「心血管疾患」「歯周疾患」「呼吸器疾患」「生殖器疾患」「消化器疾患」「生活習慣病」があります。

がん
喫煙するとがん発生のリスクが高くなります。禁煙者と比べ、発症率は数倍に跳ね上がる。

がんの名称 喫煙者の発生率
肺がん 4.5倍
喉頭がん 32.5倍
口腔・咽頭のがん 3.0倍
膀胱がん 1.6倍
食道がん 2.2倍
胃がん 1.4倍
膵がん 1.6倍
肝がん 3.1倍

※たばこの害|一般社団法人山口県医師会の数値を元に作表しました。

他にも、子宮頸部・食道・白血病なども起こりえます。喫煙開始年齢が早いほど、肺がんの発生リスクは高くなります。

心血管疾患
喫煙は、心筋梗塞、脳卒中、突然死、末梢血管障害を引き起こす原因となる。また動脈硬化を促し、脳梗塞、狭心症などのリスクも高くなる。

歯周疾患
喫煙は、歯槽膿漏などの歯周疾患を引き起こします。口臭、歯周病、歯への色素沈着の原因となり、口内トラブルの元となる。
呼吸器疾患
肺がん以外にも、慢性気管支炎と肺気腫を含む「慢性閉塞性肺疾患(COPD )」という肺疾患・肺炎・その他呼吸器症状の原因に。

COPDは長期的に喫煙をしている人の15~20%に見られる、肺の慢性的炎症。せきやたん、運動時の呼吸困難を引き起こし、どんな治療法を行っても元に戻らない病気。

生殖器疾患

生殖機能低下(精子の変形・減少など)・胎児死亡・妊娠の合併症など。

その他
白内障・大腿頚部骨折・低骨密度・消化性潰瘍など。

消化器疾患
喫煙は消化器官にも害を及ぼす。喫煙が原因とないうる疾患には、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、膵炎、肝炎などがある。
生活習慣病
喫煙者は禁煙者に比べて、生活習慣が乱れる傾向に。喫煙者と禁煙者を比較したある調査結果から、喫煙者の動向に関して以下のことがわかっています。

  • 朝食を抜く傾向がある
  • ファストフードや清涼飲料水を好む
  • 飲酒量が増加しがちになる

※どう伝える? 喫煙の害、禁煙・防煙の益|佐々木温子(東京衛生病院内科医師)の「喫煙習慣と運動・飲酒・嗜好品」の表を参照

このような生活習慣の乱れは、肥満などの生活習慣病につながる危険性も…。

ニコチン・タール・一酸化炭素の作用

こういった体に”有害”なタバコには、どのような成分が含まれているのでしょうか。

タバコの煙には沢山の化学物質が含まれています。その数は4,000種類にものぼり、有害物質は200種類以上、発がん性物質は50種類以上と言われています。

中でも特に有害として知られている「ニコチン」「一酸化炭素」「タール」がタバコの三大毒とされています。

これらの体への影響について、みていきましょう。

ニコチン
神経系に対する毒性が非常に強い物質です。胃や心臓など、さまざまな臓器の働きを妨げます。

血管を収縮させるので血流が悪化し、体温低下・動悸・息切れ・高血圧などを引き起こします。

また、「ニコチン依存症」や「ニコチン中毒」と呼ばれるように、大脳の快楽中枢に作用して、ニコチン切れによる精神不安定を引き起こします。

喫煙者がタバコをやめられなくなるのは、ニコチンの影響によるところが大きいのです。

また即効性の非常に強い神経毒性と依存性を持つため、子どもが誤飲するとニコチンが原因で、たった一本でも死んでしまう可能性がある。

タール
タールには沢山の発がん性物質が含まれます。タバコを吸い続けると、がんを発症するリスクが高くなります。

また、「ヤニ」と呼ばれ、歯にくっついて黄色や茶色の色素沈着を起こします。喫煙者の肺がまっ黒になるのも、タールの影響によるものです。

ヤニの正体。発がん性物質を多量に含み、1日1箱吸う人ならば、1年で約コップ1杯分のタールを体内に取り込んでいると言われている。

一酸化炭素
酸素は血液中のヘモグロビンと結びついて体の各部位に運ばれます。しかし、一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。

そのため、喫煙すると血液のヘモグロビンの働きである酸素運搬機能が低下してしまい、体の至る所で細胞が酸素不足となり、各器官の老化を早めます。

シワ、シミなどの肌トラブルを起こす原因にもなるのです。

特にニコチンと一酸化炭素は、妊娠・出産に悪影響を及ぼします。ニコチンは血管を収縮させて子宮に送る血液を少なくし、一酸化炭素は酸素を胎児に届けるのを妨げます。

その結果、妊娠率が低下し流産や低体重児・SIDSの危険性が高まってしまうのです。

ニコチン、タール、一酸化炭素以外にもアセトン、ヒ素、カドミウムなどが含まれています。

代表的な有害物質を表にまとめておきます。

ニコチン 血管を収縮させ、血行不良、動悸、息切れ、高血圧を引き起こす。依存性が強く、ニコチン依存症を引き起こす。
タール がんの発症率を上げる物質。「ヤニ」となって歯や肺をまっ黒にする。
一酸化炭素 血液の酸素運搬能力を妨害する。脳や心臓が酸欠状態になり各器官の機能が低下する。
アセトン 塗料や接着剤に利用。揮発性が高く、換気が不十分な部屋で使用すると喉や目に刺激を感じる場合がある。
ヒ素 殺鼠剤などに利用。毒性が強く、人間が摂取するとヒ素中毒の症状が現れる。
カドミウム 電池などに使われる金属。イタイイタイ病を引き起こした原因物質。

タバコの煙に含まれる沢山の有害物質は、身体のほとんどすべての臓器を侵します。白髪や顔のシワ、口臭なども、タバコによって引き起こされる害の一部なのです。

受動喫煙による副流煙・・・主流煙よりも多くの有害物質を含む

たばこを吸っていないのに、喫煙者のそばで生活することでタバコの煙を浴びてしまうことを「受動喫煙」といいます。

煙草の煙には、喫煙者が吸い込む煙(主流煙)とタバコ先端の燃焼部分から発生する煙(副流煙)があります。

ファイザーによると、副流煙には、主流煙の2.8倍のニコチン、3.4倍のタール、4.7倍の一酸化炭素が含まれていることがわかっています。

この副流煙を吸い込むことが受動喫煙となるため、たとえばパパが喫煙者の場合には、ママや子供達が煙草の害を受けることになります。

主流煙よりも副流煙の方に有害物質が多く含まれる理由

煙草には「葉巻」や「パイプ」「キセル」など様々な種類があります。私たちが普段よく見かけるのは、「紙巻たばこ(シガレット)」と呼ばれる種類の煙草です。

紙巻たばこは、葉たばこを刻んだものに火を付けて燃やし、「フィルター」を通して吸い込みます。

主流煙はフィルターによって有害物質が濾過されますが、副流煙は煙草が燃焼したものがそのまま漂うことになります。

したがって、主流煙よりも副流煙の方が有害性が高く、健康への被害も大きくなるのです。

呼出煙・・・喫煙後の息からも有害物質は吐き出される

受動喫煙を起こす煙には、さきほどお話しした「副流煙」の他に、「呼出煙」と呼ばれる煙があります。呼出煙とは、喫煙者が吐き出す煙のことです。

喫煙者は、タバコの煙を吸い込むと、吐く息と一緒に煙を外へ出します。この呼出煙にも有害物質が残っており、特に一酸化炭素は、喫煙してから数時間経っても消えないといいます。

さらに「換気扇の下で喫煙」「別室での喫煙」も、家族に影響を与える事が分かっています。家庭内分煙をしている家庭の子供の尿から、ニコチンが検出されたという報告があるのです。

たとえ換気扇の下でタバコを吸ったとしても、煙はすべて外へ排出されませんし、喫煙後の呼吸にも有害物質が残っています。ベランダ喫煙でも、タバコの煙は窓の隙間を通って部屋の中へ侵入してきます。

つまり、ご主人が「外出先でしかタバコを吸わない」「別室やベランダ、換気扇の下で吸う」という工夫をしたとしても、家族への健康被害はゼロにはできないのです。

たばこの煙もPM2.5・・・空気中に長時間浮遊でき、体内に侵入やすい

また、タバコの害がこれほど大きいのは、タバコの煙に含まれる物質がとても小さく「PM2.5(微小粒子状物質)」であるからとも言えます。

PM2.5は大気汚染の話題でよく耳にする言葉ですが、非常に粒子が小さく、髪の毛の太さの1/30ほどしかない粒子のことを指すとのこと。

PM2.5の濃度が高いほど、呼吸器や循環器の病気にかかりやすくなります。粒子が細かいため、鼻腔で侵入を食い止めることができず、気管支や肺の奥まで入り込みやすいのです。

また、空気中に浮遊できる時間が長いため、一度タバコを吸った部屋は、長時間にわたってPM2.5の濃度が高い状態が続きます。

このように、非常に小さな有害物質の粒子であるタバコの煙は、目に見えなくても空気中を浮遊していることになります。

別の部屋で吸っても、家族への被害を完全に防ぐことはできません。タバコの害は、吸っている本人だけでなく、一緒に暮らす家族にも深刻な影響を与えることになります。

すぐに禁煙に向けての対策をする必要がありますね。後悔先に立たずです。

百害あって一利なし・・・タバコはすべての臓器を侵す

タバコに含まれる有害物質は、体のほぼすべての臓器を侵し健康被害を与えることが分かりました。

「がん」の発生リスクを上昇させるだけでなく、女性の生殖機能を妨げ、不妊・流産・低体重児など妊娠や出産への悪影響も計り知れません。

タバコを吸うことで得られるメリットは、「カッコイイ自分になれる」という希望を満たしてくれることと、ニコチン依存症によるストレスを解消してくれること、そして手持ち無沙汰をなくしてくれるだけです。

たばこは「百害あって一利なし」の嗜好品です。自分や周りの人の健康のためにも、禁煙を実行できるように努めましょう。

▼妊娠中の煙草の害についてはコチラも参考にしてみて!

みんなのコメント
  • Nさん

    臨月にたばこをすってしまいました、
    赤ちゃんは大丈夫でしょうか、。

    • マイケルさん

      臨月に吸ったからどうと言うより、妊娠初期からずっと吸っていたなら何かしらの影響はあり得ると思います。
      まずは健診を受けている先生とお話した方が安心だと思います。

  • マイケルさん

    近所のアパートのベランダや、玄関で吸ってる人を見かけます。
    私も子供がいてアパート住まいなのでとても不快に思います。喫煙者のいる家庭の小さな子供は、常に見えない毒にさらされていると思うとかわいそうですね。
    しっかり親が受動危険性を自覚して欲しいです。

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