妊娠前に抗体があるか確認を!受けておきたい予防接種や抗体検査

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2018/10/26

2018年の秋に、風しんの感染が拡大していると報道されました。

風しんは流行すると、一気に感染が広がり妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が生じるおそれがあります。

妊娠を望んでいるなら、妊娠前から家族で予防接種を受けて感染を防ぐことが大切です。

赤ちゃんの健康を守るためにも、妊娠前に受けておきたい予防接種と注意点、妊娠中に気をつけたい感染症の病気を紹介します。

妊娠前に受けておきたい予防接種

妊娠中に感染すると赤ちゃんに影響を及ぼす感染症は、妊娠前に予防接種を受けることで防ぐことが可能です。

妊娠中に感染症が流行し、予防接種を受けたいと思っても生ワクチンの接種はできないので自分で予防する以外に方法はありません。

特に、妊娠前に受けておきたい予防接種は以下になります。

  • 生ワクチン:麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、
  • 不活性化ワクチン:インフルエンザ、B型肝炎

妊娠初期にかかると先天性風疹症候群を起こす「風しん」

風しんウイルスによって起こる感染症で、「三日はしか」と呼ばれることがあります。風しんは子どもの病気と言われていましたが、近年では大人の感染が広がっています。

妊娠20週ごろまでに感染すると胎盤を通して赤ちゃんに感染し、「先天性風疹症候群」を生じるおそれがあります。

  • 潜伏期間:2~3週間
  • 症状:発熱・発疹・首のリンパの腫れ・関節の痛み
  • 赤ちゃんへの影響:白内障・網膜症・緑内障・動脈管開存症・難聴・低出生体重・血小板減少性紫班病

先天性風疹症候群を防ぐためには、妊娠前から風しんにかからないように予防し、夫や家族も風しんを移さないように協力することが大切です。

抗体を持たない妊婦がかかると重症化する「麻しん」

感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染があり感染力も非常に高く、抗体を持っていない妊婦が感染すると、重症化しやすいと言われています。

  • 潜伏期間:約10日
  • 症状:発熱・倦怠感・鼻水・くしゃみ・口内斑点(コプリック班)・発疹
  • 赤ちゃんへの影響:流早産率30~40%・子宮内胎児死亡・低出生体重児

麻しんが重症化すると、中耳炎・肺炎・脳炎といった合併症のリスクが生じます。初期症状は風邪と似ているため、気づかずに学校や会社に行って周囲にうつしてしまうケースもあります。

また、分娩直前に罹った場合で早産の場合、赤ちゃんが先天性麻疹になり重症になる可能性も。(死亡例も報告あり)

妊娠初期にかかると流産率が上がる「おたふくかぜ」

おたふくかぜは、別名「流行性耳下腺炎」ともいい、耳の下にある耳下腺が腫れ発熱や倦怠感など風邪とよく似た症状が現れます。

  • 潜伏期間:2~3週間
  • 症状:発熱・倦怠感・悪寒・耳下腺の腫れ
  • 赤ちゃんへの影響:妊娠初期だと流産

おたふく風邪は重症化すると、髄膜炎・脳炎・難聴といった合併症のリスクも生じます。妊娠中にかかっても、胎児に影響は少ないとされていますが妊娠初期にかかると流産の確率が高まります。

他のウイルスと比べ感染力が高い「水痘(みすぼうそう)」

風しんやおたふくかぜより感染力が強く、主に飛沫感染、空気感染でうつります。集団生活を迎える春先に流行しやすく、妊娠中は人込みを避けるなど注意が必要です。

  • 潜伏期間:2週間
  • 症状:37℃の発熱・倦怠感・頭痛・発疹・水疱
  • 赤ちゃんへの影響:胎児帯状疱疹症候群・低出生体重・四肢低形成

抗体を持たない妊婦が妊娠20週以前に水痘にかかると1~2%の割合で「胎児帯状疱疹症候群」になるおそれがあります。

また出産前5日間と産後2日間の間に感染すると赤ちゃんが重症化し、「新生児水痘」になることもあります。

風しん・麻しんは妊娠前に抗体検査と予防接種で防ぐ

最近のニュースでもわかる通り、なぜ風しんは大人の感染が増えているのでしょうか。

実は、日本での風しん予防接種は昭和52年8月から学校の集団接種によって始まったとされています。

それ以降は制度改正によって風しんの予防接種回数が変更されたことで受けなかった人、受けれなかった人が今大人になって感染者となっているのです。

自分の年代が定期接種をしているのかどうか、確認する必要があります。

年代で見る風しんワクチン定期接種状況

年代 状況
昭和37年4月1日以前 接種なし
昭和37年4月2日~昭和54年4月1日 男性の接種なし
昭和37年4月2日~昭和54年4月1日 女性は1回学校で集団接種あり
昭和54年4月2日~昭和62年10月1日 1回接種:中学生の時に医療機関・個別接種、
幼児期にMMRワクチン接種の場合あり
昭和62年10月2日~平成2年4月1日 1回接種:幼児期に医療機関で個別接種
平成2年4月2日以降 2回接種:MRワクチン2回を医療機関で個別接種

※MMRワクチン(麻しん・風しん・おたふくかぜ混合ワクチン)
※MRワクチン(麻しん・風しん混合ワクチン)

昭和37年以前に生まれた人は定期接種がなく、昭和37年~昭和54年では男性のみ接種がないことが分かります。

平成2年以降は2回の定期接種ですが、それまでは1回しか受けていない人も多く抗体がなくなっていることも考えられます。

1回の予防接種では95%以上が免疫を獲得しますが、2回接種を行うことで99%以上の予防効果が可能になります。

風しんの免疫があるかを調べる抗体検査

「定期接種が1回だった」「風しんにかかったことがあるか分からない」人は抗体検査を受けて風しんの免疫があるかどうか調べることができます。

これから妊娠を希望している女性を対象に、多くの自治体では抗体検査を無料で実施しています。抗体検査はすべての医療機関で実施しているわけではないので、希望する場合は保健所に確認しましょう。

【抗体検査の流れ】

  1. 抗体検査が受けれる医療機関について保健所に相談
  2. 医療機関に予約
  3. 抗体検査
  4. 後日医療機関にて説明を受ける
  5. 結果が抗体なし
  6. 抗体検査を行った医療機関で予防接種
抗体検査の結果が「免疫あり」だった人は予防接種を受ける必要はありませんが、予防のため、再度予防接種を受けても副反応が起こることはないとされています。

風しん・麻しんの予防接種費用

予防接種の費用は接種する医療機関によって異なりますが、自治体によっては、妊娠を希望している女性やパートナーを対象に予防接種の助成をしているところもあります。

  • 風しんワクチン:5000円
  • 麻しんワクチン:5000円
  • MRワクチン(風しん・麻しん混合):10000円
  • 抗体検査:無料・3000円~4000円

助成が受けられる年齢や対象者も自治体によって違うので、事前に確認しておきましょう。

予防接種の時期と注意点

妊娠を希望しているなら、予防接種を受けるのは生理中などの妊娠していないことが確実に分かる時期が良いとされています。

接種後は2ヶ月間の避妊が必要ですが、夫のみが予防接種した場合は避妊期間は不要です。

どちらもまだ受けていない場合は早めに接種し、計画的に進めていけるようにしましょう。

ワクチンはないが抗体検査を受けたほうがいいもの

胎児に影響を及ぼす感染症でも、ワクチンがなければ自己管理で気をつけていかなければいけません。

とくに妊娠中に気をつけたいのは「トキソプラズマウイルス」と「サイトメガロウイルス」です。

原虫により引き起こされる感染症で、健康な人が感染しても症状がなく問題はありませんが、妊婦が感染すると胎盤を通して胎児に発育に影響を及ぼすと言われています。

妊娠前に感染が確認できれば妊娠中は胎児への感染はありません。自分に抗体があるか確認するなら、妊娠前に抗体検査を受けておくと良いでしょう。

身近にいる原虫「トキソプラズマウイルス」

トキソプラズマは生肉や土の中、ネコの糞など身近にいる原虫です。原虫といっても単細胞なので目に見えず自覚症状も少ないことから感染しても気づきにくいと言われています。

しかし、妊娠中にかかると胎児が重症になるケースも少なくありません。

  • 感染経路:生肉(ハム・サラミ・レバ刺し・馬刺し・レアステーキ)、土や砂、ネコの糞
  • 症状:ほとんど出ない
  • 赤ちゃんへの影響:流産・死産・脳症・痙攣・水頭症・網脈絡膜炎・黄疸・肝臓膵臓の腫れ

重症な場合は早期死亡することもあり、出産後は異常がなくても、成長とともに発育不全、精神遅滞、難聴など症状が出る場合もあります。

ワクチンがないので、自分で予防して過ごすしかありません。

成人の半数以上が感染「サイトメガロウイルス」

サイトメガロウイルスは、日本の成人の半数以上が感染していて免疫があると言われています。感染しても症状が出ないので気づきにくく、一度感染すると一生体内で潜伏しています。

しかし、妊娠中に初めて感染した場合は胎盤を通して胎児に感染します。

  • 感染経路:唾液・母乳・膣分泌物・精液・尿・糞便・血液
  • 症状:ほとんど出ない
  • 赤ちゃんへの影響:発育遅延・早産・小頭症・脳室周囲石灰化・黄疸・難聴・精神発達遅滞

感染を防ぐためには、外から帰ったら石鹸やハンドソープできれいに手を洗い食器や衣類などは漂白剤を使って消毒すれば防ぐことができます。

妊娠前に予防接種を受けて赤ちゃんの健康を守りましょう

感染症の病気は母子共に影響を及ぼすものが数多くあります。とくに、妊娠中は免疫力も落ちるため、病気にもかかりやすくなります。

妊娠前からワクチンの有無を確認し、予防接種を受けていれば妊娠中は安心して過ごすことができます。

1つずつ抗体があるか確認するのも面倒だと思うかもしれませんが、赤ちゃんの発育に大きく影響すると分かれば予防接種はとても大切なことです。

ママが1人で予防するのではなく、家族みんなが予防接種を受けて赤ちゃんの健康を見守っていきましょう。

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