妊婦の冷え対策。血行促進・ツボ押し・運動で内側からぽかぽか体へ!
おなかの赤ちゃんを守り、安産を迎えるためには、妊娠中の冷え対策が重要です。妊娠中の冷えは、赤ちゃんの成長の遅れ、難産、母体のマイナートラブルにつながります。
妊娠前から冷え対策をされている方も、安産につながる冷え対策を知って元気に出産を迎えましょう。
- 【妊婦ができる冷え対策】
- 腰回りをあたためる
- 冷え改善と安産に効果のあるツボを温める
- 妊婦ができる運動を行う
以上の3つのポイントを説明していきます。
この記事の目次
血流の源流を温める・・・腰まわりや太股、内臓を温めよう
妊娠中は、赤ちゃんがいるお腹まわりが冷えないようにこころがけましょう。もちろん冷えた末端部を温めることも大切なのですが、血流の源流に近い部分を温めるのが効率的です。
- 妊娠中に温めたい血液の源流
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- 骨盤部分・腰・お腹・・・重要な血液や神経が通っている
- 太股などの筋肉・・・大きな筋肉を温めると下半身の血行を良くすることができる
- 内臓・・・体内の熱が優先的に使われるため、内臓が冷えていると手足の先に熱が回りにくくなる
ここでは、腰回りや内臓を温める方法をご紹介しましょう。
入浴・・・半身浴で体の芯から温まり、血行促進
まず、体を中心から温めるには入浴をしましょう。入浴法は、上半身に水圧がかからず、心臓や肺に負担がかからない半身浴がおすすめです。
お湯に全身で浸かるのも気持ちが良いものですが、全身浴は短時間で暑く感じるため、体の芯までしっかり温まる前に湯船から出たくなってしまいます。
半身浴なら、お湯にゆっくり浸かることで血液の循環がよくなり、身体の芯から温まることができます。
- 半身浴のやり方
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- 湯船に、胸下までが浸かる量のお湯を張る
- お湯の温度はぬるめ(目安37~38度)にする
- 短時間で済ませず、20分ほどは浸かるようにする
あたたまった血液が全身を巡り、体のすみずみまで熱を運ぶためには、ある程度長時間お湯に浸かる必要があります。
ぬるめのお湯に浸かる半身浴なら、夏場でも気持ちよく感じるでしょう。夏にシャワーでお風呂を済ませている方は、ぜひ半身浴を試してみてください。
腹巻き・蒸しタオル・カイロ・・・「仙骨」を温めて内臓の冷えを防ぐ
入浴以外でも、血流の源流となる腰回りを温めると、冷えを改善することができます。特に、骨盤の一部で、腰とお尻の間にある「仙骨」を温めると効果的です。
仙骨は、尾骨(尾てい骨)のすぐ上にあり、背骨の土台となって下半身と上半身をつなぐ役割をします。
妊娠中に仙骨を温めると、冷え症の改善以外にも、腰痛や肩こりなどへの効果が期待できます。仙骨を温めるには、腹巻き(腹帯)、蒸しタオル・カイロ、ゆたんぽを使う方法があります。
- 1.腹巻き:妊婦帯や腹帯でお腹周りを保温
- 日本では、古くから妊娠5ヶ月の戌の日に腹帯を巻くという風習があります。大きくなるお腹を支え、姿勢が悪くなるのを防ぐほか、おなかを冷えから守る役割があります。
もともとは、晒でできた帯をお腹に巻いていましたが、近年では妊婦帯(にんぷたい)として広く利用されています。
妊婦帯は、現代女性が使いやすいように工夫されたもので、腹巻きにお腹を支えるベルトが付いているタイプや、蒸れにくい素材でできているものがあり、好みに合わせて選ぶことができます。
- 2.蒸しタオル・カイロ
- 仙骨に蒸しタオルやカイロを載せて温める方法もあります。蒸しタオルは、温度が下がってきたら、温かいタオルに交換する手間はありますが、温度変化が仙骨へのよい刺激となり効果的です。
カイロを使う場合には、低温ヤケドに注意しましょう。
- 3.ゆたんぽ
- 冷えの対策に使用するには、手の平サイズの湯たんぽが便利です。必ずカバーを付けて使用しましょう。
お湯の温度は70度くらいにし、カバーをかけた状態で気持ちよく感じる温度にします。うつぶせやシムス位になり、仙骨の上に湯たんぽをのせてしばらくリラックスします。
他にも太股の全面、膝の内側などにゆたんぽを当てるのも、冷えの改善に効果的です。もちろん、真冬にはお布団の中に入れておけば、自分が心地よい部分を温めることができます。
冷え改善と安産に効果のあるツボを温める
冷えの改善には、ツボを刺激するのもオススメです。妊婦の冷えに効果的なのは、「三陰交」と「至陰」と呼ばれるツボです。
どちらも足にあるツボであり、お灸や足湯で温めてあげることで、体の調子を整えることが期待できます。
ここでは、ツボを刺激するお灸と足湯についてご紹介していきましょう。
お灸・・・「三陰交」と「至陰」を刺激して体の不調を整える
妊娠中の冷えに効果のあるツボは「三陰交」と「至陰」があります。
三陰交 | 足のスネの内側にあります。手の指先を4本揃え、くるぶしの内側の一番高いところに小指を当てたとき、人差し指が当たる部分にあるツボです。 消化器、肝臓・腎臓などの内臓の働きを助け、全身の諸症状に効果を発揮します。また、女性特有の症状の改善にも効果が期待できます。 |
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至陰 | 足の小指にあるツボです。爪のすぐ外側にあります。下半身の冷えの改善に効果があり、逆子を直すときにも用いられます。 |
この2つのツボを刺激することで、妊娠中の冷えを取り除き、妊娠女性の様々なトラブルを改善する効果が期待できます。
ツボを刺激する方法には、お灸があります。お灸はツボを温めて血行を促し、私たちが備え持っている自然治癒力を高めて体調を整える働きをします。
お灸は、お灸や鍼を専門に扱う「鍼灸院」と呼ばれるところで施術してもらえます。通院の際には、必ず妊娠していることを告げるようにしましょう。
足湯・・・冷えからくるお腹の張りにも効果あり
「三陰交」と「至陰」を刺激するなら、足湯でツボをあたためるのも効果的です。
- 足湯のやり方
- 【用意するもの】
お湯、両足がすっぽり入るサイズの桶かバケツ、タオル【方法】
- お湯がこぼれたときに備えて、桶の下にタオルを敷いておきます。
- 少し熱めのお湯(目安45度)を桶に入れます。足首までしっかり浸かるように、たっぷりとお湯を入れましょう。
- 約15分ほど足を浸けておきます。お湯が冷めてきたら、足し湯をして温かさをキープします。
【注意事項】
桶やバケツは、指先が伸ばせるサイズにします。また、三陰交がある部分(くるぶしより指4本分上)までお湯が張れる深さのものを選びましょう。ちょうどよい大きさのものがない場合は、バスタブにお湯を張り、そこに足を付けるてもOKです。
足湯は、冷えが原因で起こる「お腹のはり」にも効果があると言われています。普段は“冷え取り靴下”やレッグウォーマー、レギンスなどで足を温めればさらに効果的です。
妊娠中のツボへの刺激・・・妊娠中は専門家と相談してから施術を
妊娠中にツボを刺激すること(お灸や足湯)には、賛否両論があります。ネットの情報では、これらが流産につながるため妊娠中は控えた方がよい、という意見もあります。
鍼灸整体院 吉祥寺悠心堂のホームページでは、妊娠中のツボへの刺激が原因で流産になることはない、とコメントされています。
おそらく、施術後に流産が起きた方は、偶発的なものであり、施術をしなくても流産は免れなかったのではないか、と考えられています。
しかしながら、妊娠中は身体が敏感になるものです。お灸などを試す場合には、妊婦健診で自身の身体の変化についてよく知ったうえで、専門家によるアドバイスを受けた方がよいでしょう。
鍼灸院の中には、「安定期に入ってから」というルールを決めているところもあります。また、身体の状態をみながら、自宅でもお灸ができるように教えてくれるところもあるようです。
自宅でのお灸やツボへの刺激は、無理をせず、適切な方法で体調に合わせて行うようにしましょう。
適度に身体を動かそう・・・妊婦が取り入れられる運動
妊娠中はお腹が大きくなって重くなるため、運動不足になりがちです。適度な運動は血液循環を促してくれますので、安定期に入ったら、できる範囲で取り組みましょう。
ただし、切迫流早産などで主治医から安静を指示されている場合には、運動は避け、なるべく横になるようにしましょう。
ここでは、妊娠経過が順調な妊婦さんが取り入れられる、冷えの改善に効果的な運動をご紹介します。
- マタニティエクササイズ(妊婦体操)
- 散歩
- 水中散歩
マタニティエクササイズ(妊婦体操)・・・股関節をほぐして血行促進
妊娠中、お腹が大きくなってくると、反り気味の姿勢になりやすいものです。このような姿勢の変化は、骨盤回りの筋肉を緊張させ、血行が悪くなってしまいます。
マタニティエクササイズは、部位ごとにいくつかの体の動かし方がありますが、末端の冷えを改善するには、足の付け根を動かす股関節のエクササイズを取り入れると効果的です。
股関節のエクササイズの一例をご紹介しましょう。
- 膝を曲げ、足裏を合わせ座り、膝を床に向けてゆっくり押す。
- 座った状態でできるだけ足を広げ、手でつま先を触るように上半身を倒す
- 膝をたてて仰向けになり、両膝を揃えて左右交互に倒す
マタニティエクササイズには、さまざまなマイナートラブルを解消する効果があり、お産に向けて体力や筋力をつけ、安産に導いてくれます。
散歩・・・血流を促し、様々なマイナートラブルを改善する
妊娠中、最も簡単に取り組める運動が「散歩」です。自分のペースでゆっくりと歩いてみてください。
足先の冷えを改善するには、1時間ほど歩くのがよいでしょう。歩くことで脚の筋肉が刺激され、下半身の血液を心臓に送り返してくれるため、血液の流れがよくなります。
- 妊娠中の散歩の効果
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- 冷え症の改善
- むくみの解消
- 筋力の低下を予防
- 腰痛の緩和
- 体重の増えすぎを防ぐ
なお、ウォーキングの前後にはストレッチを行い、ケガを防ぎ、運動後の筋肉をほぐしてあげるようにしましょう。
また、ウォーキングは旦那様と一緒に楽しむこともできます。お天気のいい日には、よい気分転換にもなりますので、ぜひご主人と一緒に出かけてみてはいかがですか?
水中散歩・・・陸上よりも軽い力で全身を動かせる
妊娠中の運動として注目されているのが、マタニティスイミングです。浮力がある水中なら、お腹が大きくなっても体に負担をかけずに運動することができます。
- 水中散歩のメリット
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- 血行促進による冷え症やむくみの改善
- 体重コントロールができる
- 筋力・体力の向上
福岡市にある久保田産婦人科では、妊婦の冷え症対策に水中散歩を実施しています。同院のサイトでは、週に1~3回の水中散歩の実施で冷え症が改善されるといいます。
日本マタニティフィットネス協会では、妊婦の水中運動は妊娠13週頃からとしていますが、体調には個人差があります。利用する際には主治医やコーチとよく相談しながら行いましょう。
特にプールに入る前には、体温、脈拍、血圧などの体調チェックを行い、ストレッチをしっかりしてから水中へ入るようにしてください。
生活習慣を見直して・・・冷えから赤ちゃんを守ろう
妊娠が発覚したら、今一度、生活習慣を見直して赤ちゃんを冷えから守りましょう。過労や睡眠不足、煙草、ストレス、デスクワークなど、日々の疲れも冷え症の原因となります。
体を温める食事を摂る、冷たい飲み物を控える、睡眠をしっかり摂るなど、妊娠前・妊活中から行ってきた冷え対策も継続して行いましょう。
「たかが冷え」と侮らず、お腹の赤ちゃんにとって心地よい環境を作ってあげるためにも、体を温めて、元気にお産を迎えましょう。
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