規則正しい生活リズムを子供のうちから身に着けさせたい場合の改善方法
赤ちゃんがまとまって眠るようになると「朝起きて、夜ねるように」誘導しましょう!と育児書にも書いてありますね!
大人もそうですが、子どもには特に「規則正しい生活リズム」が必要です。
ヒトの体には太古の昔から「明るくなったら活動し、暗くなったら休む」という基本的なリズムが刻み込まれています。このリズムがずれると様々な体の支障が出てきます。
規則正しいリズムとはどんなものか、崩れるとどんな支障があるのか紹介していきます。生活リズムを整える重要性を再確認しましょう。
この記事の目次
子どものリズムを整える上できめるべきこと
人間はみな「昼行性」で日中に活動し、夜になると眠くなります。このリズムは昼夜の区別がない赤ちゃんの頃から一定の時間に日課をこなすことで作りあげます。
体内の決まったリズムは体温や血圧をはじめとする体のさまざまな働きとつながっているので、リズムが乱れると心身に悪影響を及ぼします。
では毎日同じようなタイミングで「行動する」と定めておきたいのはどんな時間でしょうか?
- 起きる時間
- 寝る時間
- 睡眠時間
- 食事
- 昼寝時間
- 活動時間
- お風呂
お風呂など毎日ではないものもありますが、少なくとも起床・就寝・昼寝の時間は同じような時間に行うことが毎日のつじつまを合わせて規則正しい生活を作ります。
子どもに一番心配されているのは、遅寝なのに登園時間などに合わせて早起きしなければならないことで起こる「睡眠不足」です。
睡眠不足になるとまず体内リズムが崩れます。具体的にはどういうことに気を付けていけばリズムを保っていけるのでしょうか.
食事時間で最も気をつけないといけないのは夕食の時間
体内リズムを整えるには、正常に眠気が訪れることが大切です。眠気は体温と密接に関係していて、特に体内の内臓や脳など深部の体温が下がると眠くなります。
生体リズムは夜眠るように、夜に向かって体温を下げていきますのでそれに乗り遅れないように夕食を済ませることが理想です。
深部体温は夜中の0時に向かって22時頃から下がり始めるようなので、たとえば21時にごはんを食べてしまうとそこから体温が上がってしまい眠くなる時間がずれてしまいます。
大人の場合も21時以降は、食事や体への刺激になるような激しい運動をしないようにするといいでしょう。
朝ごはん、昼ごはんではセロトニン量産でごきげんな一日にするチャンス!
セトロニンは人の気分をあげ、ごきげんにしてくれる物質です。逆に少なくなるとストレスに弱くなり、気分が落ち込んでしまうと言われています。
朝、昼ごはんではこのセロトニンの原料であるトリプトファンを積極的に摂取するような食習慣をつけるといいでしょう。
朝に摂取したトリプトファンは昼にはセロトニンに変化して気分を明るくし、自分を前向きに動かす力になってくれます。
ここで分泌されたセロトニンは、夜になると睡眠コントロールに関係するメラトニンへと変化します。
セロトニンの分泌が少ないとメラトニンも少なくなるので、朝ごはんをきちんと食べて、昼食も適切に食べることで日中の活動をスムーズに行うことができます。
気分の落ち込みについて乳幼児について調べた結果があるのですが、「気分が落ち込むことがよくある」幼児はトリプトファンの摂取が少ない夜型が多いことがわかりました。
逆に朝型で朝食からトリプトファンを取っている幼児は「ちょっとしたことで怒り出す」ことが少ないと言えます。
肉類・魚・卵・大豆加工品(納豆など)・乳製品・ナッツ類など
トリプトファンはアミノ酸の一種で体内で作ることのできない物質のため食事での摂取が不可欠です。
パン派なら目玉焼きなどの追加、和食が好きなら豆腐などの大豆製品を味噌汁に入れたり、小魚のふりかけを使ったりすることで摂取量を増やせます。
栄養素は相互作用で働くのでトリプトファンが効果的に働くよう、いろいろな栄養素をまんべんなく食べることも忘れないようにしましょう。
心地よい眠りが体内のリズムをよく整えてくれるように、食事の時間と食習慣には気をつけたいものです。
昼寝時間がずれると夜眠れなくなる
昼寝で注意したいのは12時から15時までの間にすることです。
15時を過ぎると夜の睡眠に影響します。また、昼寝が夕方にさしかかってしまうと夜に眠れなくなり、昼夜逆転してしまう可能性もあります。
そうすると体の「昼行性リズム」が完全にずれてしまいます。これを引き金に不規則な生活になると、不眠症や過眠症など睡眠・覚醒障害につながる可能性もあります。
活動時間はやっぱり日中!日のあたる時間に遊びましょう
昼間に活動してセロトニンをたくさん出すと、夜に向かってきちんと眠くなるので日の光を浴びられる時間帯に外遊びなどをするといいでしょう。
逆に午前中に体を動かさないと、昼寝なしで就寝時間が早くなりすぎてしまうことが危惧されます。
また、もし午前中活動なしで昼寝をしてしまった場合は、体力が有り余っているので、夜遅くまで活動してしまい就寝時刻が遅くなる可能性があります。
寝る直前までTVを見続けるのはNG!
就寝前までTVなどの画面をみてしまうと興奮がおさまらずリラックスに必要な副交感神経が優位になりません。
寝るちょっと前にはTVを消して、読み聞かせなどの時間を取り、自律神経を整えるようにしましょう。
お風呂の時間を上手に使って体温コントロールを
体内リズムは体温とも関係しています。体内時計は体温が上がりはじめるときに目覚めて、下がり始めのときに眠るようになっています。
ドラマや映画の中の雪山で「寝るな!!」と言うシーンに代表されるように、体温が下がると人は眠くなります。
お子さんが寝つきが悪いと思う方の中には、お風呂に寝る直前に入っている人もいるかもしれません。
直前のお風呂で体温が上がってしまうと眠りにくくなって、体内リズムが崩れる原因になります。
睡眠不足で起こるリスクについて
夜遅くまでテレビを見たり、親の都合でなかなか寝かせられなかったりすると、就寝時間が遅くなります。
夜更かししているのに保育園などの登園時間は変わらないので寝不足になり、脳を休息、修復する時間が足りません。特に記憶領域の整理がおいつかなくなります。
前日には浮かばなくてもぐっすり寝た翌日に名案がひらめいたりする経験がある方もいると思いますが、これは脳がしっかり休息して脳内のすべての知識をつないでくれるからです。
睡眠が足りないと脳内のネットワーク全体がうまくつながらず、注意力や判断力などの低下もあってこんな症状が出現しやすくなります。
- 集中力がなくなる
- イライラする
- 覚えようとしても覚えられない
- 思い出そうとしても思い出せない
- 考えても名案がひらめかない
- やる気が低下
- いろいろと間違えてしまう
体の修復も追いつかないので、老化が促進されたり、めまいやふらつきが出たりします。
脳の成長が阻害されやすくなる
睡眠には「脳をつくり、守って育てる」という機能がありますし、睡眠時間の違いが海馬の体積に影響を与えることが脳科学研究によりわかり始めています。
具体的には睡眠時間が長い子は短い子よりも海馬が大きいという結果が出たということです。海馬は新しいことを記憶する重要な領域です。
また、赤ちゃんや子どもの脳は眠っている間に発達しています。眠りには大きく2つの種類があります。
レム睡眠 | ノンレム睡眠 | |||
脳の状態 | 活動している | 休んでいる | ||
眼球運動 | あり | なし | ||
眠りの深さ | 覚醒準備で浅い | 熟睡していて深い | ||
体 | 休んでいる | 休むなかでたまに活動している |
赤ちゃんから子どもの間は睡眠中の脳が活動しているレム睡眠が多く、眠る時間が長いのが特徴です。
大人になるにつれて新たに覚えることは幼児期よりも減るので、睡眠時間もレム睡眠の割合も下がっていき、脳もお休みしているノンレム睡眠の割合が高まっていきます。
子どもの間はさまざまなものに興味をもったり、言葉や文字を覚えたりと脳はフル活動です。
子どもに多く睡眠が必要なのはフル活動の脳を支える神経回路を構築して、情報処理能力を高め維持したりする器官などの点検と、エネルギーチャージのためです。
生活リズムを整えて必要な睡眠時間を確保することは、脳の能力を高め、成長を助けることになります。
逆にリズムがくるって十分な睡眠時間が確保できなくなるとその成長が阻害されてしまいます。
成長ホルモンの分泌バランスが少なくなり、成長バランスが崩れやすくなる
成長ホルモンは寝入って一番深い眠りのときに一番たくさん出ると言われます。これが大体夜の10時から午前2時頃までにあたることが多いです。
この時間にぐっすり眠っていると成長ホルモンがよく分泌されて、骨を伸ばし、筋肉や血管も細胞が増えていきます。
成長ホルモンに関しては他の時間帯にも出ているようなのですが、睡眠中にはそのほかのホルモンも出ていてホルモン同士が合成材料になっていたりします。
肥満になる
遅寝の早起きで睡眠時間が減ると、ステロイドホルモンが夕方減りにくくなって、肥満の原因になります。
ステロイドホルモンは夕方就寝時間が近くなるにつれて出る量が減ってきますが、睡眠不足だと夕方でも分泌が減りません。
炎症を抑えたりする働きもあり、いろいろな病気の治療にも使われるホルモンですが、副作用として肥満があります。
高血圧になる心配
子どもでも睡眠が不足すると高血圧になります。現代は「塩辛いスナック菓子」や「味の濃い食べ物」に囲まれているので、そもそも高血圧になりやすいと言えます。
睡眠不足だと肥満になりやすく、眠っている間の心身の修復もうまくいかないのでストレスを抱えやすくなり、その結果高血圧を招いてしまいます。
集中力・食欲の低下
タンスの角などに足の小指をぶつけたりした経験はありませんか?
これは睡眠不足で脳がしっかり目覚めていないことで起こります。
ぼーっとした状態では集中できずに危険を回避できません。何をしていてもミスしやすくなります。
実際胃酸の分泌は20時過ぎにはピークを迎えるので、胃腸的にはおなかは空いていません。
遅い時間に本当はおなかは空いてなかったのに食べてしまうと、朝の食欲が失せて日中の食欲も低下します。すると午前中体温が上がらずに不調になります。
感情コントロールが難しくなる
睡眠不足は慢性的な時差ぼけ状態を作り出します。昼にぼーっとしてしまい、日中の運動量が低下するとセロトニンの分泌が減ってしまいます。
セロトニンは日の光をあびて運動することで多く出るホルモンなので、昼間にきちんと目が覚めていて、体を動かしていることが重要です。
老化の促進
夜暗くなると出てくるホルモンのメラトニンは抗酸化作用があります。でも遅寝で明るいところにいると分泌が抑制されてしまいます。
メラトニンはセロトニンから合成されるので、セロトニンの分泌が悪いとこちらの分泌も落ちてしまいます。
メラトニンの分泌が落ちて抗酸化作用が働かないと「老化」が促進されます。また性的な成熟を抑える作用があります。
小さい頃にメラトニンの分泌が少ないと、女の子なら初潮が早いなどの現象が起こるともいわれています。
改善しないとこんな子になる可能性が!
夜型で睡眠不足の子はこんなパターンに陥る可能性がありますので、その傾向があれば早めに改善をおすすめします。
心の問題は実は生活リズムを改善すれば芋蔓式によくなっていく可能性があります。キレやすくなって専門医にかかる前に生活習慣を整えて予防することを心がけましょう。
子どもの生活リズムを整えるためのポイントは?
人の体内時計は本来は25時間です。それを地球の24時間に合わせるために、生活のさまざまな動作を一定の時間にすることで1日のつじつまを合わせています。
生活リズムはこの毎日決まったことでつけられています。毎日決まっていることといえば、食事や寝る時間など日課です。
- 決まった時間に起きる
- お風呂の時間も決める
- 寝る前のテレビやブルーライトはNG
- 日中しっかりと体を動かす
- 寝る時間は早めに
- 毎日だらだら過ごすのではなく日課を作る
毎日厳しく一緒の時間ではなくてもいいので「このくらいには」という幅を決めておきましょう。
幼児期についてしまった「習慣」を変えるのはしんどいですよ…
保育園、幼稚園を機にその先は子どもたちも「朝出て行って、夜眠る」という社会の時間割にリズムを合わせて生きることになります。
入園・入学を見据えてなるべく早くから生活リズムを整えると、子どもにとっても負担が急にかからなくて済みます。
世界各国と比べて日本の子どもたちは右肩下がりで睡眠不足です。でも最近日本人が睡眠不足に強く生まれ変わったわけではありません。