生姜で妊婦のつわり、風邪、冷え性の改善が期待!摂り方と注意点
妊娠中に嬉しい効果が期待できる「しょうが」。スーパーで簡単に手に入れることができ、つわりや風邪、冷えなどの症状を改善することができる魅力的な食材です。
漢方の考え方では、生のままのしょうがのことを「生姜(ショウキョウ)」、加熱を加えた生姜のことを「乾姜(カンキョウ)」と呼びます。
特に、妊婦のつわりや風邪対策には生のままの「生姜」を、冷えには「乾姜」を摂取するのがよいといいます。
しょうがは様々な身体の不調を取り除くことができる食材ですが、効率よく成分を摂取するには、食べ方を工夫するのがよいでしょう。
しょうがに含まれる成分の特徴と効果、妊婦が摂取するうえで注意することについて調べてみました。
この記事の目次
調理法によって変化する!しょうがの成分と効果
しょうがは、私達の食卓で欠かせない食材とも言えます。生のしょうがをすり下ろして薬味として使ったり、炒めものやスープに加えて香りを楽しんだりします。
生のショウガには吐き気止めや免疫力アップの効果があり、加熱・乾燥を加えたショウガには冷え性改善の効果が得られる、という違いがあるのです。
ここでは、ショウガを「生のまま食べる」場合と、「加熱や乾燥させて食べる」場合の違いについてご紹介しましょう。
食べ方の違いによって変わるショウガの効果
では、食べ方によるしょうがの効能の違いには、どのようなものがあるのでしょうか。生のまま食べる場合、乾燥させた場合、蒸してから乾燥させた場合の効能を比べてみましょう。
- 生のまま・・・吐き気を抑える、血流促進による温感効果、免疫力アップ
- 乾燥しょうが・・・胃腸を守る役割、多くの漢方に配合
- 蒸してから乾燥・・・身体の芯から温める効果、咳止め
生のままのしょうがと、乾燥させたしょうがの効能の違いを知り、体のコンディションに合わせて、しょうがの取り入れ方を工夫することができると素晴らしいですね。
効能の違いは成分の変化でおこる!ジンゲロールとショウガオール
ショウガの効能の変化は、加熱・乾燥によって、しょうがに含まれる成分が変化することによって起こります。
- ジンゲロール
- 生のしょうがに含まれる、辛み成分の一つ。吐き気を抑える、免疫力をアップさせる、体の中心の熱を末端へ運ぶ、などの作用がある。
- ショウガオール
- 生のしょうがに、乾燥や熱を加えることで生まれる成分。胃腸の壁を刺激して内臓を温めることで、体の芯から熱を作り出すことができる。
つわりの症状緩和や、風邪予防のための免疫力向上を望むのなら「すりおろし生姜」を、体の芯から冷えを取り除きたいのであれば「乾燥生姜」を摂ることをオススメします。
生のままのショウガ・・・妊娠中の「風邪」「つわり」対策に!
すり下ろし立てのショウガやスライスしたばかりのショウガには、「ジンゲロール」という成分が含まれています。
ジンゲロールはしょうがの辛み成分の一つで、吐き気や頭痛の緩和、免疫機能の活性化に役立ちます。他にも、血流を促進して身体の内側の熱を末端まで運ぶ役割をしてくれます。
では、ジンゲロールによる風邪や吐き気への効果について、詳しく説明していきましょう。
「ジンゲロール」の効果1・・・吐き気抑制作用でつわり症状の緩和
妊娠中のつわりで悩む妊婦さんはとっても多いです。「赤ちゃんが成長している証」と思っても、毎日やってくる不快感に耐えられない人も。
早い人だと妊娠がわかってすぐに、つわりの症状に悩まされ始めます。妊娠15週頃までに治まることが多いですが、症状が重く治療が必要な「妊娠悪阻」という状態になってしまう人もいます。
つわりが起きる理由はわかっていません。ホルモンバランスの変化、妊娠への不安などから発生すると考えられています。
つわりの症状には個人差がありますが、吐き気を感じる、ムカムカする、食欲が出ない、頭が痛い、偏食になる、などが起こることが多いです。
吐き気や頭痛は、神経伝達物質である「セロトニン」の作用によって引き起こされます。このセロトニンの働きを抑えてくれるのが、しょうがに含まれる「ジンゲロール」です。
ジンゲロールには、セロトニンの作用を抑える働きがあり、つわりによる辛い吐き気を緩和することが期待できます。
つわりの症状緩和に効果が期待できる栄養素・・・ジンゲロール、ビタミンB6
前章でお話したとおり、ジンゲロールは生のしょうがに含まれる成分です。吐き気が辛いつわりの時には、しょうがを生のまま摂取すると効果があると考えられています。
特に、つわりに良く効くといわれている「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」という漢方薬を飲む際には、すり下ろし生姜を加えると効果がアップします。
古くから妊婦さんに飲まれている「小半夏加茯苓湯」は、生姜を配合した漢方薬です。妊娠中でも飲める漢方薬ですが、服用の際はかかりつけのお医者様に相談をしてからにしましょう。
ビタミンB6は、赤ちゃんを育てるために必要な栄養素として、妊娠中は1日に0.2mgを追加摂取するように厚生労働省より推奨されている成分でもあります。
マグロやカツオ、バナナなどに多く含まれている成分
妊娠中はビタミンB6が欠乏しないように、これらの食材を意識して摂取してみるのもいいですね。ただし、つわりが辛いときには、偏食や栄養不足について過剰な心配をする必要はありません。
妊娠初期にあたる悪阻の時期は、胎児異常や流産のリスクを避けるため、葉酸の摂取量に気をつけてサプリメントで補うようにこころがけ、脱水症状を起こさないように注意しましょう。
「ジンゲロール」の効果2・・・白血球を増やして免疫力アップ
また、薬に頼れない妊娠期間中は、風邪をこじらせてしまわないように気をつけたいものです。風邪を予防には、免疫力を上げることが重要です。
さて、生のしょうがにふくまれる「ジンゲロール」には免疫力を上げる効果もあります。体の免疫機能を向上させれば、細菌やウイルスへの抵抗力をアップさせることができます。
- 免疫力をアップさせる・・・ジンゲロールの3つの作用
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- 免疫細胞である白血球の数を増やす
- 気管支炎などを引き起こす細菌をやっつける
- 血流を促進し、体温を上げる
白血球は、細菌やウイルスが体内に侵入してくるのを防ぐ役割をする免疫細胞です。その白血球の数を増やすことは、免疫機能の活動を活発にする作用があるのです。
また、平均体温が1度下がると免疫力は約7割に減ってしまうといいますから、低体温の人は免疫力が弱くなっている可能性があります。
ジンゲロールの血流促進効果で、体温の低下を抑えることができれば、免疫力の向上につながるといえます。
すりおろし生姜を手軽に取り入れる方法
吐き気抑制や抵抗力アップなどのジンゲロールの効果を手軽に取り入れるなら、すりおろした生姜を飲み物や料理にトッピングするのがオススメです。
しかし、ジンゲロールは酸素に弱く、空気に触れると変質してしまうので、効果的に摂取するためには、しょうがを食べる直前に切り、すり下ろすのがよいでしょう。
- すりおろし生姜と相性のよい食材
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すり下ろし生姜は、いろんな食材と相性が良いものです。うどんやスープ、豆腐の薬味として使うのはもちろん、辛さが苦手な方はヨーグルトやスムージーに混ぜると食べやすくなります。
寒い時期には、おろし生姜に、はちみつとお湯を加えた「生姜湯」を飲むと体が温まり、免疫力をアップして風邪の予防が期待できます。
しょうが本来の香りや成分をなるべく損なわずに取り入れるには、根しょうがを食べる食前に切ってすり下ろすのが理想的ですが、チューブのしょうがでも代用可能です。
特に、つわりのときには手軽に利用できることがポイント。思い立ったときに調理できるように冷蔵庫に備えておくと安心です。
- つわりに効く?ジンジャエールの効果
- つわりのときに、ジンジャエールを飲むとスッキリする感じがする場合もあります。しかし、実は、市販されているほとんどのジンジャエールには生姜は使われていません。
ジンジャエールがつわりに効くというのは、生姜の効果というよりは炭酸によるスッキリ感によるものでしょう。
しょうがの効果を得たい場合は、生姜・水・砂糖・炭酸水でジンジャエールを手作りしてみてはいかがですか?
スライスした生姜と水・砂糖を5分ほど煮て生姜シロップを作り、そこに炭酸水を加えると完成です。お好みでレモンを絞っても美味しくいただけます。生姜を火にかけるので、しょうがの成分はそのままではない可能性がありますが、甘さや炭酸の強さを加減して、自分好みの味を探してみるのはいかがでしょうか。
ただし、つわりの症状には個人差があるものです。しょうがを食べても効果を感じない、という場合もあるかもしれません。あくまても、1つの手段としてお試しくださいね。
熱を加えたショウガ・・・ショウガオールで冷え症対策に!
妊娠中に体が冷えないように、様々な対策をしている方も多いと思います。妊娠中の冷えは、母体や赤ちゃんに影響を与えてしまうので注意が必要です。
妊娠中の冷えが出産に及ぼす影響、乾燥生姜の効果と取り入れ方について説明していきましょう。
妊娠中の冷えの原因と母体や出産への影響
妊娠中は、手足の冷えだけでなく、お腹の冷えに注意しましょう。お腹が冷えると体全体の冷えを悪化させることになります。
古くから日本では、妊娠5ヶ月になると腹帯を締めて安産を祈願する風習があります。腹帯は大きくなるお腹を支える意味もありますが、お腹を冷えから守る役割も果たしてくれます。
妊娠中の冷えは、ホルモンバランスが変化することで、自律神経が乱れて血流が悪くなることで起こると考えられます。
また、妊娠後期には、子宮が大きくなって血管を圧迫し、下半身の血液循環がうまく行われなくなることも、冷えを悪化させることにつながります。
妊娠中は、手足の温度だけではなくお腹が冷たくないか気にしてください。
お腹が冷たい場合は、体の中心で熱を作り出し、中から温める効果のある対策を取り入れてみることがおすすめです。
乾燥生姜・・・体の芯から熱を作り出して冷え性改善!
生のしょうがに含まれるジンゲロールには、血流を促進して手足を温める効果があるという説明をしました。しかし、生のしょうがでは本当の冷え性改善にはならないのです。
というのも、ジンゲロールは、身体の内部の熱を末端に運ぶ作用があるため、手足を温めることができても、内臓の温度は下がってしまうのです。
ショウガオールは、胃腸の壁を刺激して内臓を温めます。身体の芯の血行をよくすることで、熱を作り出すことができ、身体全体の冷えを改善することができます。
また、乾燥や加熱ですべてのジンゲロールがショウガオールに変化するわけではありません。乾燥生姜や蒸し生姜にはジンゲロールとショウガオールのどちらとも含まれています。
二つの成分を摂取できれば、ショウガオールが深部で熱を作り出し、ジンゲロールの働きで末端まで熱を運ぶことが期待できます。
ショウガオールを効率的にとるには・・・蒸し生姜の作り方と活用方法
ショウガオールを摂取するには、乾燥生姜が含まれた食品や飲み物を取り入れるのがよいでしょう。
生姜紅茶やジンジャーハーブティーには、乾燥生姜が使われており、ホットで飲めば体を温めながら、香りでリラックスすることもできます。
また、炭酸で割ればジンジャエールにもなるジンジャーシロップは、スライスした生姜を加熱しているので、一部はショウガオールになっていると考えられます。
スライスしたしょうがを蒸して加熱することで、ショウガオールが増えるので、生のまま乾燥させるよりも、効果的なのです。
用意するもの・・・根しょうが、蒸し器、キッチンペーパー、ザル
〈手順〉
- 皮付きのしょうがを流水でよく洗う
- しょうがを皮付きのまま、1~2㎜幅でスライスする
- 80度~100度の温度を保つようにして、30分ほど蒸す
- 蒸し終わったら、キッチンペーパーや布巾の上に広げ、水気を取っておく
- 水気をとったしょうがをザルに広げ、天日干しにする
- カビ防止のためにも、カリっとなるまでしっかり干す(晴れなら1~2日)
温度を100度以上に上げてしまうと、ショウガオールが十分に作り出されなくなり、風味も落ちるため、「80度で蒸す」というのがポイントです。
できあがったものは、加熱を加える料理によく合います。紅茶に加えて飲むほか、スープ、生姜焼き、チャーハンなどのレシピに加えると美味しくいただけます。
しょうが摂取の注意点・・・妊娠中の乾燥生姜の大量摂取はNG
しょうがが体に良いからといって、1日に生姜を丸ごと食べるような摂取方法はオススメできません。
どんなに体に良いものでも、食べ過ぎると健康に逆効果を起こすことがあります。しょうがの食べ過ぎは、お腹が痛みを招く場合があります。
また、妊娠中は乾燥しょうがを大量に摂取しない方がよいようです。しょうがの副作用と、妊娠中の摂取方法について、くわしくみていきましょう。
ショウガを食べ過ぎるとどうなる?心配される副作用
しょうがの食べ過ぎは、消化器官への影響を及ぼす場合があります。胃腸が弱い方だと、しょうがを沢山食べることで、下痢・腹痛・胸焼けなどを起こす場合があるようです。
食事で食べる場合のしょうがの摂取量には、具体的な決まりはありません。「おいしくいただける」というのが目安のようです。すり下ろしならスプーン1杯程度というところでしょうか。
しかし、気をつけていただきたいのは、生のショウガよりも、乾姜や乾生姜の方が成分が濃縮されているということ。
また、漢方薬として生姜を取り入れる場合には、必ず専門家の指示を仰ぎ、適切な用量を守るようにしましょう。
分量を間違えると辛みが強すぎたりして飲めなかったり、身体に有害を及ぼす場合があります。
乾燥生姜は効果が強い!妊娠中は摂取量に気をつけて
妊娠中であっても、通常の食事に適度にしょうがを取り入れる分には母体や胎児への問題はありません。非妊娠時と同様に、体調の変化に注意して量を調整してみてください。
国立健康栄養研究所のデータにおいても「妊娠中は乾燥ショウガを大量に摂取しないように」と注意が促されています。
妊婦の乾姜摂取が、どのような副作用をもたらすのかについて、言及している資料はみつかりませんでしたが、生のショウガに比べて効果が強いため、注意が必要なのだと思われます。
冷え症改善のために漢方薬を試してみようと思っている妊婦さんは、必ず漢方の専門家に妊娠していることを伝えた上で、処方してもらうようにしましょう。
また、乾燥させた生姜を粉末にした生姜パウダーは、手軽に使えて便利ですが、毎日大量に摂取することのないよう、使用量には十分に注意するようにしましょう。
生姜の力を借りた対策にプラスして行いたい対策!運動・食事・服装・入浴で冷えを解消
しょうがは食べるだけでなく、「生姜湿布」や「生姜風呂」に利用することもできます。皮膚から有効成分が取りこまれて、体がポカポカになります。
もっと踏み込んで冷え症を改善したいなら、日頃の生活習慣を見直してみることも大切です。運動・食事・服装・入浴の4つのポイントから、冷え症改善に効果が期待できる対策をご紹介します。
- 運動
- 体に熱を運ぶのは血液です。適度に体を動かすことで、血液の循環がよくなり、体を温めることができます。妊娠中は、負担の少ないマタニティエクササイズを取り入れてみましょう。
- 食事
- しょうが以外にも体を温める作用のある食材を食べましょう。にんじん・ごぼう・れんこんなどの根菜類、かぼちゃやリンゴなど冬に旬を迎えるものには、体を温める働きがあります。
- 服装
- 体を冷やさない格好を心がけましょう。靴下、レッグウォーマー、ネックウォーマー、アームウォーマーなどを活用し、首・手首・足首を温めましょう。
また、おなかが冷えないように、腹巻やカイロを使うとよいでしょう。ただし、しめつけ感があるものは血液の流れを悪化させてしまうので注意が必要です。
- 入浴
- 入浴はシャワーだけで済ませずに、湯船につかるようにしましょう。38~40度のお湯に10~20分つかると体が温まります。
しょうがの効果を十分に得るために・・・食べ方を工夫しよう
古くから、健康によい食べ物として親しまれてきた「しょうが」は、先人の知恵として現代まで受け継がれてきました。
たくさんの効果がある「しょうが」ですが、普段から効果を意識して調理方法を変えている方は少ないのではないでしょうか。
目的によって「すりおろし生姜」か「乾燥生姜」かを選んで食べることで、生姜の持つパワーをしっかりと感じることができることでしょう。
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