出産時のトラブル!難産の場合の赤ちゃんへのリスクが心配
日本のお産は安全と言われ、特に母体が命の危険に陥る確率はきわめて低いです。それでも出産の時に予期せぬトラブルは起こります。
お産に時間が掛かりすぎたり、トラブルが発生した難産の場合は、医師の介入による処置も必要となります。
出産には赤ちゃんの誕生という喜ばしいことばかりでなく、ママと赤ちゃんが大変な状態にさらされるという危険な側面もあります。
ママと赤ちゃんの体に起こりうるトラブルや、どのような処置がされるかをみていきます。
ママ側に起こりうる5つのトラブル
出産時に、ママの体に起こりうるトラブルには以下のようなものがあります。
陣痛が弱くお産が進まない【微弱陣痛】
通常、陣痛は段階的に強くなっていきますが、陣痛が弱い微弱陣痛の状態が続くと、子宮口が開いていかずお産に時間がかかります。
階段の昇り降りをしたり、その場で足踏みをしたりすると陣痛が促されることがあります。
お産が長引くと、母子ともに衰弱していくので、陣痛を強めるために人工破膜や陣痛促進剤の投与の処置が行われます。
強すぎる陣痛は胎児にも負担【過強陣痛】
子宮口が十分に開いていないのに、強すぎる陣痛が起こると、ママの子宮にも、赤ちゃんにも過度の負担が掛かります。
陣痛促進剤を使うお産で、効き目が強く出すぎると、過強陣痛となる恐れがあります。また、ママの骨盤が狭かったり、赤ちゃんの体が大きすぎたりする場合にも起こりうることです。
促進剤は、ママの様子を見ながら慎重に使用されていますが、急激に強い痛みが来た場合は、医師・助産師さんにすぐに知らせましょう。
初産に多い【子宮口が開かない】
陣痛の痛みが次第に強くなるにしたがい、子宮口が開いていくはずですが、特に初産の場合は、陣痛が始まっても子宮口がなかなか開かないことがあります。
可能であれば、あぐらをかいて、股関節に負荷をかけたり柔らかくなるようストレッチすることで、お産が進むことがあります。
ラミナリア、メトロイリンテルと呼ばれる器具を使って開いたり、先生が内診して子宮口を指で押し開く処置を取ることがあります。
子宮の収縮が弱く出血が止まらない【弛緩出血】
出産での出血量は予測が難しく、250人に1人はお母さんの体に危険が及ぶほどの大量出血が起こる可能性があります。
通常は、胎盤の娩出後、子宮の収縮により血管も収縮してはがれた部分からの出血が止まります。
子宮の収縮が弱いと、出血が止まらない弛緩出血になる恐れがあります。また、会陰切開や産道の裂傷がひどい時も、出血が多くなります。
出血量が多く、血圧の低下や貧血といった症状が見られると、子宮収縮剤や鉄剤の投与、輸血といった処置が行われます。
大量出血のリスクがある【胎盤癒着】
赤ちゃんを出産してから、30分以内には胎盤が出ます。ごくまれにですが、胎盤が子宮にくっついてはがれず、出血が止まらない胎盤癒着が起こることがあります。
お腹を押しても出てこない場合は、医師が手を入れて胎盤を剥がす処置が取られます。胎盤癒着が起こりうる確率はすごく低いですが、前置胎盤の場合は、発生リスクが高くなります。
赤ちゃん側に起こりうるトラブル
出産時に、赤ちゃん側に起こりうるトラブルには以下のようなことがあります。
赤ちゃんが産道を下りてこれなくなる【回旋異常】
赤ちゃんは、産道に合わせて自分の体を回転させて、下りてきます。その回転がうまくいかない回旋異常になると、お産がストップしてしまう原因になります。
ママの方は子宮口も開いて準備が出来ているけれど、赤ちゃんの方が上手く下りてこれないというケースも多く、吸引分娩や鉗子分娩で赤ちゃんを出す処置が取られることがあります。
赤ちゃんの状態が危険にさらされると、帝王切開に切り替わることもあります。
赤ちゃんのへその緒が先に出てしまう【臍帯脱出】
通常出産では、赤ちゃんの頭が最初に出てきますが、赤ちゃんの臍の緒が頭より先に出てしまうことを臍帯脱出といいます。
赤ちゃんに酸素や栄養を送る臍の緒が骨盤に挟まり圧迫されることで、赤ちゃんが大変危険な状態にさらされます。
酸素がいきわたらず、新生児仮死になる恐れもあるので、緊急帝王切開でお腹から出す処置が取られます。
心拍の低下は酸素不足の危険が
胎児の心拍数は、1分間に110から160くらいですが、出産に時間が掛かりすぎたりると、心拍数が落ちてくることがあります。
陣痛の子宮収縮により、胎盤の血流量が減り酸素の量も減ります。陣痛の間隔がだんだんと狭まっていき、周期的にくる酸素不足に赤ちゃんが耐えられなくなるのです。
分娩監視装置で、赤ちゃんの心拍数はチェックされています。陣痛時に強くいきむと赤ちゃんの心拍が低下し苦しくなるので、ママが深呼吸することも効果があります。
赤ちゃんの首に臍の緒が巻き付くことも、心拍の低下の原因となります。低酸素状態になると、脳性麻痺や心不全などの合併症を引き起こす可能性もあります。
赤ちゃんの体重によるトラブルとリスク
出産時に、赤ちゃんの体が大きすぎる・小さすぎることにもリスクがあります。
巨大児は肩甲難産のリスクあり
体重が4,000g以上の赤ちゃんは、巨大児と呼ばれます。ママが糖尿病だと、巨大児になりやすいと言われています。
体が大きいので、産道を通る時に赤ちゃんの肩が引っかかって出てこれない肩甲難産になる可能性があります。胎児が産道に引っかかると、鎖骨の骨折や腕の神経がマヒする恐れもあります。
低体重児は感染症や無呼吸発作のリスクが高い
低体重児は増えており、小さいとお産がスムーズなイメージがありますが、赤ちゃんにはリスクが大きいです。
特に、正産期前に生まれた低体重児の場合、黄疸、低血糖、無呼吸発作を起こしやすいです。
妊娠32週未満の子供や、出生体重が1,500g未満の子供は、NICUに運ばれて経過を見守ります。
出産時のトラブルは発達障害の原因とはなりません
「吸引分娩をしたから脳に影響が出た」「無痛分娩を選択したので発達障害になった」といった話も耳にしますが、周産期に起こりうる脳のトラブルは、脳の神経の損傷による脳性麻痺などの障害です。
先天性の障害は、安産であっても、難産であっても起こりうることです。ママは、自分を責めることはありません。
出産時のトラブルに備えるために
安全なお産のためには、お母さんの妊娠中の過ごし方も重要になってきます。
妊娠中にタバコを吸うと、赤ちゃんが低体重児になる確率が増えるなど、お母さんが摂取したものが胎盤を通って赤ちゃんへ影響を与えます。妊娠中は、飲酒・喫煙を避け、薬やサプリメントの服用にも気を付ける必要があります。
高血圧や、糖尿病を合併したハイリスク妊婦だと、お産のリスクも高くなります。適度な運動をすることで、合併症を予防し、体重の増加をコントロールすることが安産につながります。
どんなに気を付けていても、トラブルは起こりえます。トラブルが起こっても、自分を責めずに、落ち着いて医師の指示に従って対処しましょう。
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