胞状奇胎は治療すれば完治できる!診断方法と治療法
胞状奇胎は絨毛癌に発展する可能性があるため、通常では母体を優先して治療が行われます。
妊娠を継続することは母体にとって非常にリスクが高く、適切な処置をして次の妊娠に期待することがほとんどです。
胞状奇胎であると断定されるには、どのような検査を受けるのでしょうか?またどのような治療が行われるのでしょうか?
この記事の目次
エコー検査とhCG値、そして生体検査で胞状奇胎かどうか診断
胞状奇胎は妊娠初期で判明するため、妊娠初期に通常行われるエコー検査で発見されることが増えてきました。
最近では自宅でも妊娠検査を手軽に行え、ほとんどの方が妊娠後早期に病院を受診するようになり、不正出血などの症状が出る前に発見できるようになりました。
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エコー検査だけでは断定されない!生体検査とhCG値の確認で断定へ
エコー検査で胞状奇胎の症状が見られたからといって、エコー検査だけで胞状奇胎と断定されるわけではありません。
生化学検査によってhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の値を確認します。
hCGは絨毛から分泌されるホルモンのため、絨毛が異常増殖する胞状奇胎の場合は、正常妊娠よりも高い値になるからです。
さらに、胞状奇胎で異常増殖した細胞には卵子由来の遺伝子はなく、精子由来の遺伝子のみで構成されているため、遺伝子検査を行うために生体検査も必要となります。
胞状奇胎が疑われるhCG数値は妊娠週期によって違う!
胞状奇胎のhCG基準値に明確な規定はありませんが、一般的には10万以上で胞状奇胎が疑われるとされています。
正常妊娠でも、妊娠10週で10万程度まで上昇することもありますが、10万以上が一つの基準値とされています。
妊娠4週目:約1,000〜10,000mlU/mL
妊娠8週目:約100,000〜500,000mlU/mL
妊娠10週目:約100,000〜800,000mlU/mL
他にも生体検査や胸部CT検査も必要
胞状奇胎が進み、侵入奇胎になっている場合は、約30%の確率で肺への転移がみられるため、胸部CT検査も必要です。
胞状奇胎をより正確に診断するためには、詳細な生体検査や病理検査も行われることがあります。
胞状奇胎の治療法は主に3つ
- 子宮全摘出手術
- 子宮内容除去手術(子宮内掻爬術)
- 抗ガン剤による化学療法
どの治療法を選ぶかは、病気の状態や年齢、今後も出産を希望するかどうかで変わってきます。
子宮全摘出手術
胞状奇胎で子宮全摘手術が行われることはほとんどありません。
しかし、40才以上で胞状奇胎を発症した場合は、胞状奇胎を除去しても絨毛癌を発症する可能性が高いため、今後妊娠を希望しない場合は子宮全摘出手術が行われます。
子宮内容除去手術
胞状奇胎の治療の中で最も多く選ばれる治療法です。流産の手術と同じように、胞状奇胎の部分だけを除去します。
以前は2~3回にわけて手術が行われるのが通常でしたが、最近では1回で済ませることの方が多くなりました。
胞状奇胎は絨毛癌に発展する可能性があるため、手術後は長期に渡る経過観察が必要です。
胞状奇胎の部分を除去すると、その後はhCGが妊娠していないときと同じレベルまで低下するため、以後はhCGの値を観察しながら胞状奇胎後の管理を行います。
- 摘出手術から5週で1,000IU/l以下
- 8週で100IU/l以下
- 12週でLHレベル
この目安に合わせてhCG値が低下していれば経過は順調です。
抗癌剤による化学療法
子宮内容除去手術を受けたあと、もしも一度低下したhCG値が再び増加したり、そもそも減少しない場合には、侵入奇胎や絨毛癌への移行が疑われます。
そうなると、子宮全摘出または抗癌剤を用いた治療が行われることとなり、どちらを選ぶかは、病気の状態や今後の出産を希望するかで決められます。
手術後に侵入性奇胎や絨毛癌を発症する可能性は10~20%程度です。
胞状奇胎は手術後の経過観察がとても重要
胞状奇胎は早期の治療と同じくらい、治療後の管理が重要視されます。絨毛癌患者の約40%は胞状奇胎妊娠後に発症しているからです。
全胞状奇胎の場合、部分胞状奇胎よりも絨毛癌の発症率が高い傾向があります。
- 胞状奇胎を摘出し子宮内を空にする
- hCGが順調に低下しているかを観察する
- 絨毛組織が残っていることが発見されると再度除去手術が行われる
まずは胞状奇胎を摘出してhCGが0になるまで管理し、その後、絨毛癌などの発症をできるだけ早期に発見することが必要です。
最初は週に2回くらい測定されますが、その後は手術後の5週間後、8週間後、24週間後の測定値が基準を超えていなければ順調と判断されます。
胞状奇胎は妊娠後きちんと病院で検査を受けていれば早期に発見できます。
そして、手術後もきちんと通院しながら経過観察を行うことで、もしも絨毛癌を発症してもできるだけ早く発見することができます。
いずれも医師の指示通りに通院し、適切な治療を受けることが大切です。もう大丈夫と自己判断で通院をやめず、医師の指示に従って通院してください。
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