子供が自閉症スペクトラム!障害の症状は?療育待機中の過ごし方

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2016/10/26

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可愛い我が子が「自閉症スペクトラム」と診断された時、親御さんのショックや不安は計り知れないものだと思います。

診断は出ているのに療育は待機状態で、実際に通えるのが何か月も先という状況もあります。

自分には何ができるのか、この先我が子とどう向き合っていけば良いのかと途方に暮れてしまう方もいるでしょう。

不安に陥って当然です。ショックを受けている自分、不安に陥っている自分を責めてはいけません。

この記事では、お子さんが自閉症スペクトラムと診断された方、あるいは「自閉症スペクトラムなのではないか?」と、お子さんの発達に不安を抱えている方が、今どう過ごしていけば良いのか等を提案させていただきます。

診断を受けると何故不安に陥るのか…私の場合

私の息子は、まだ1歳代の時に「自閉症スペクトラム」と診断されました。

「育児は自分の思い通りにはならない」「誰しも育児を辛いと思う瞬間はある」と自分に言い聞かせていましたが、同じような月齢のお子さんと比べると「うちの子は違うな」と思うことが多々ありました。

所謂「育てにくさ」を感じていたので、発達検査・診察を経て「自閉症スペクトラム」という診断が出た時は、正直「やっぱり…」という感じでした。

しかし、いざ診断されると自閉症スペクトラムについて私は何も知らなかった為、どう子供と向き合っていけば良いのか全く分からなかったのです。

しかも、診断は出ているのに療育に通えるのは数か月待ち…。待っている間に頭がおかしくなるのではないかと思うほど悩みました。

私が不安に陥った理由は、一言で表すのなら「何をして良いのか全く分からなかったから」です。

下記のようなことに当てはまる方はいらっしゃいませんか?

  • 何をしたらよいのか分からず途方に暮れている
  • 自分を責めてばかりいて毎日泣いている
  • ネットで自閉症について検索しては落ち込んでいる

私もそうでした。でも今は、診断が出た時に比べ少しずつ心の安定を取り戻してきています。

診断が出た後、暗く思い悩んだ日々をどう乗り越えたのかも含めて、自閉症スペクトラムについて解説いたします。

診断名がついただけ!子供は今日まで何も変わっていない

子供に診断が出た時は正直ショックでした。

前述したように「何をして良いかわからない」という事が大きな理由ではありましたが、我が子の将来の選択肢がとても狭められてしまった気がしたのも事実です。

例えば下記のようなことです。

送迎バス・給食・預かり保育のある幼稚園が良いと思っていた

→自閉症スペクトラムに理解を示してくれる園を探さなくてはならない(加配の先生をつけてくれる園ばかりではない)

※加配というのは、集団生活を送る上でサポートが必要な子に対し、担任の先生以外にもう一人先生がつくことを言います。

どんな小学生になるのかと集団で登下校する小学生の子たちを見ては思っていた

→支援級のある小学校を探さなくてはならない。(特性のある子の場合、登下校には親が付いていく場合もある)コミュニケーション能力が乏しいので友達ができるのか不安になる。

将来はどんな分野に興味を示すのだろう…と想像していた

→障害者雇用について考えなくてはならなくなった

このように、色々と我が子の将来について思い描いていたものが「障害」というひと言によって、あらゆる選択肢が狭められるのだと感じ、親としてすごく責任を感じてしまったのです。

しかし、暗く落ち込んでいる私の隣で、子供は相変わらずマイペースによく寝てよく食べていました。

つまり、「自閉症スペクトラム」という診断を受ける日を境に変わったのは私の子供に対する見方だけだったのです。こども自体は生まれてから今日まで何も変わっていません。

我が子が自閉症スペクトラムという障害がどういう障害なのか?自閉症スペクトラムについてもっと知ろう!」と思ったのが、落ち込んだ日々から抜ける第一歩でした。

この記事が皆さんの「自閉症スペクトラムについて知りたい」と思うきっかけになり、「悩んでばかりはいられない!」と少しでも思っていただければ幸いです。

自閉症とは違うの!?自閉症スペクトラムとは何か

自閉症という言葉は聞いたことがあっても、「自閉症スペクトラム」という言葉になると「???」と思われる方もいるのではないでしょうか。

自閉症スペクトラムとは一体どのような障害のことを言うのでしょうか。自閉症との違いや他の障害との違いを含めてみていきましょう。

実はほとんどの人が当てはまる!自閉症スペクトラム

自閉症という言葉に付いている「スペクトラム」という言葉ですが、これには「連続体」という意味があります。

「スペクトラム」
「スペクトラム」を解説するのによく用いられるのが虹です。

虹の色は7色であると日本では考えられていますが、実は「ここからここまでが赤!」「ここが黄色!」など虹の色は、境目がはっきりしていないのです。

実際の虹の写真を見て「赤い部分はどこまで?」という質問に対し、本当に真っ赤な部分だけを指す人もいれば、深紅色から淡いピンク色までの範囲を指す人もいるでしょう。

境目がはっきりとしないものが重なり合っているものが「連続体」なのです。

では、なぜ障害を表す言葉にこの「スペクトラム」という言葉が使われているのでしょうか。

それは、自閉症スペクトラムの中には「障害」と言われるレベルから、カミングアウトされなければわからない「性格」レベルが含まれており、その境界がはっきりとしていないからなのです。

言葉の遅れの有無・知的障害の有無・こだわりの有無・コミュニケーションがどれほど取れるのか等により、ある程度の診断名を出すことはできます。

しかし、言葉の遅れが全くない人でもコミュニケーション能力が著しく乏しいと自閉症スペクトラムになります。

知的障害があっても、自閉傾向があまり見られない人も入ります。

つまり、様々な症状が重なりあっている多くの障害(性格も含む)が「自閉症スペクトラム」と称されているのです。

「いたって普通の人」という言葉をよく聞きますが、普通の人の「普通」とは何なのでしょうか。

「普通の人ってどういう人?」という質問に正解はないような気がします。

例えば、Eテレの番組「おかあさんといっしょ」では、最後に必ず体操と歌がありますよね。

番組を1度でも見た方は分かると思いますが、みんなと一緒に体操ができる子・歌える子ばかりではありません。

後ろの壁に立っていて体操や歌に参加しない子、輪の中にはいるけどずっと上を見ていて身体を動かさない子、体操や歌以上に番組キャラクターが気になりずっと触っている子・途中で泣き出してしまう子…など子供は様々です。

ある意味、それが子供です。みんなと同じことができない子が、全員障害児かと言われるとそんなことはありません。

「自閉症スペクトラム」という言葉の中には、世の中の殆どの人が入るのです。ですから、自閉症スペクトラムの中には当然「障害」に当てはまらない人も含まれています。

しかし、就学前のお子様が「自閉症スペクトラム」という診断を受けた場合は、今のところ障害にあたると思っておいてください。

なぜならば、現段階ではお子さんが自立していく為に、何らかの援助やトレーニングが必要となるからです。

誰でも子供は、大人の援助なしに自立していくことはできませんが、自閉症スペクトラムをはじめとする発達障害の診断を受けたお子さんは、他のお子さん(定型発達の子)以上にその時間を要すると考えましょう。

早期にお子さんの障害に気づき、適した指導や医療を受けることで、お子さんの障害の濃さが淡くなることも充分にあります。

他人の援助を必要とせず自立して生活していけるようになると、「障害」だったものが「障害」ではなくなり、「性格」になるのです。

自閉症スペクトラムに含まれる障害の種類

「性格」と思われるレベルの自閉症スペクトラムを除き、「障害」と言われる自閉症スペクトラムについて説明いたします。

自閉症スペクトラムに含まれる障害には主に下記のようなものがあります。(細かく見ると他にもありますがここでは主なものだけを取り上げて説明いたします)

一点ご注意いただきたいのは、各障害の症状は「必ずこの症状が全員にみられる」というものでもありません。

「主にこうした傾向が見られる」という感じで捉えてください。

名称 症状
(昔からイメージされていた)自閉症 目が合わない
指差しをしない
言葉の発達に遅れがある又は会話がちぐはぐで続かない
強いこだわりがある(ドアの開閉を見続ける・物を並べる等)
回転するものに興味を示す
クレーン現象がある
逆さバイバイをする
知的障害を伴う
高機能自閉症 自閉症の症状は見られるが、知的障害を伴わないもの
アスペルガー症候群 知的障害を伴わず(平均以上のIQの人もいる)、言葉の発達に遅れもないが、コミュニケーションにおいて障害がある。
他人の気持ちを理解することが苦手である。
会話においても言われたことをそのままの意味で捉えてしまい、冗談が通じないことがある。
レット症候群 女の子に多い(男の子は稀)障害で、言葉や知能の発達の遅れが見られる。手足が小さく、常に手をたたいたり手を揉んでいたりなどの動作を繰り返す神経障害である。
小児期崩壊性障害 女児にも見られるが、男児に多い障害で、年齢相応の発達の後、発達が後退する障害で発達障害の中では重い。
症状は、自閉症に似ており、折れ線型自閉症と誤って診断されることもある。
3歳を過ぎてから発達に後退が見られた場合、小児期崩壊性障害と診断される。
レット症候群との違いは、男児に多いことと発症年齢が小児期崩壊性障害の方が遅いことである。
特定不能の広汎性発達障害 コミュニケーション障害など、発達障害の傾向が見られるが、自閉症スペクトラムの中の他の診断基準を満たしていない場合に診断される障害。
例えば、アスペルガー障害の傾向は見られるもののアスペルガー症候群と診断するには基準が至らない場合など。

自閉症スペクトラムと診断された子の中には、学習障害(LD)や注意欠如多動性障害(ADHD)を併発する子もいます。

学習障害(LD)について
知的障害はないが、学習面の特異的な領域(読む、書く、話す、計算、運動など)に遅れを生じる障害で、脳の機能障害と言われています。
特異的な領域の遅れは、1つだけの場合もありますし、複数出る場合もあります。
注意欠如・多動性障害(ADHD)について
忘れ物が多い、話を聞いていないなどの「不注意」・じっとしていられない、絶えず動きまわる、多弁などの「多動」・順番が待てない、物を壊す、人に手が出るなどの「衝動性」が見られます。
どの症状が強く出るかで、多動性-衝動性優位性、不注意優位性、混合型に分けられ、7歳前に発症します。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)についてはこちらに詳しく載っています。

このように自閉症スペクトラムの中には、様々な障害が含まれ、そこから派生する障害も多岐にわたっています。

しかし、就学前の子供は成長の伸びしろがある為、「あなたはこの障害です」と診断することは難しいと言われています。

アスペルガー症候群や高機能自閉症、学習障害のように知的障害がない障害もありますが、だからといって障害が軽度であるとは言えません。

忘れてはならないのは、どのような障害があっても「心」はみんな持っていて、悲しい・辛い・嬉しいなどの感情はあります。

一見、自分の中の世界でしか生きていないように見えるお子さんでも感情はあるのです。

自閉症スペクトラムは完全治癒が困難な障害です。しかし、どのような障害であってもお子さんの成長を助長できるアプローチは必ずあります。

育て方が原因ではない!自閉症スペクトラムになる原因

自分の子供に自閉症スペクトラムの診断がつくと、多くのお母さんは自分を責めてしまう傾向にあります。

  • テレビを見せながら育児してしまったことが原因なのではないか
  • 妊娠に気づかず、風邪薬を飲んだりお酒を飲んだりしてしまったからではないか
  • 母乳が出なくてミルクで育てたからではないか

このように、自分を責めてしまうお母さんが多いのです。

しかし、逆に言うならば「100%完璧な育児をしています!」と断言できるママさんの方が少ないのではないでしょうか。

自閉症スペクトラムの原因は育て方が問題ではありません。

先天性の脳の機能障害なのです。遺伝ということも考えられていますが、研究段階であり、これと言った原因は特定できていないのが現状です。

脳の機能障害であるということだけはわかっています。

変な言い方ですが、私は「育て方が原因だから自閉症スペクトラムという診断がついた」と思いたかったのです。

「育て方さえ改善すれば治るものだ」と診断当初は解釈していたのですが、先天性の脳機能障害ということを知り、落ち込んでしまいました。

しかし、落ち込んでばかりもいられません。自閉症スペクトラムとは一生付き合うものになります。
  • 世の中のほとんどの人が自閉症スペクトラムに当てはまる
  • 障害は性格に変わることもある

上記の点をいつも頭の片隅に置き、育児に奮闘する日々です。

療育に通う前に知っておきたい!療育は何をする場所か

自分の子供が自閉症スペクトラムであると診断されたものの、どう接して良いのか分からず自分を責めているママもいると思います。

自閉症スペクトラムと診断されたからこそ、どう接して良いのか分からないのだと思います。自閉症スペクトラムについて殆ど何も知らなかったのですから困惑して当然です。

特に療育に通えるのが何か月も待つような状態であると、療育に通う前にママのメンタルが潰れてしまいます。

「早期療育が大事!」「早い方が良い…」とはよく聞くけど、実際に通えるのに何か月も待ち、その間は何してればよいの!?と思いますよね。

療育とは一体何をするところなのでしょうか。特別なことをしている所なのでしょうか。次項では、療育について解説いたします

そもそも療育って何!?保育園・幼稚園との比較

療育は、障害のある子どもや発達に遅れや心配のある子が通う所で、主に社会に出ても困らないよう(集団生活を送れるように)、自立支援を行ってくれる場です。

療育と保育園・幼稚園との違いを簡単にまとめてみました。

名称 特徴
保育園 児童福祉法に基づく
保育士による保育
0歳児から入園可能
仕事等により、家庭で保育できない時間こどもを預かり代わりに保育する場
幼稚園 学校教育法に基づく
幼稚園教諭により保育だけでなく心身の発達を助長することを目的としている
満3歳児から入園可能
療育(園) 児童福祉法に基づく
障害のある子たちが社会的に自立することを目的としている
保育だけではなく医療も通じて、その子供が有する能力を伸ばす為のアプローチを行う場
保育園のように毎日母子分離で通う通園と、他の幼稚園や保育園に行きながら週(又は月)に何日か親子で通う(母子通園と呼ばれる)並行通園がある。

療育は、保育園や幼稚園と比べると障害に知識のある専門家がいるのが大きな違いです。

保育士だけではなく、医師・理学療法士・言語聴覚士・臨床心理士などの専門家が常駐しています。

とても手厚い環境と思われますが、就園前(3歳未満)に療育に通うことが必要とされたお子さんは、集団の中(幼稚園や保育園のこと)に入る前に、このような環境下でのアプローチが必要だと判断されているのです。

早期療育によって、コミュニケーションや集団行動などを学ぶことができ、保育園や幼稚園に入った時にできるだけ困らないように、その子に合ったサポートが行われます。

療育についてもっと知りたいと思われる方は、地域によっても違い(療育手帳交付が条件になっているか否かなど)がありますので、お近くの療育園又は療育センターに聞いてみましょう。

療育についてはこちらも参考にしてみてください。

小さなことでも自分でできるように!家庭でもできる療育

療育は社会的に自立することを目的としています。自立を促すことができるのは、療育などの専門機関だけではありません。家庭でも充分にできます。

むしろ、家庭の方がお子さんの療育スタートとしては最適かもしれません。大好きなママやパパと一緒に療育できるわけですから。

例えば外出先から家に帰った時を想定してみましょう。

家についたら「ただいま」と言う(言葉の発達やコミュニケーション能力を促す)

靴や靴下を自分で脱げるところまで脱ぐ(自立を促す)

脱いだ靴を片づける(自立を促す)

外から帰ったら手を洗うことを習慣づける(自立を促す・コミュニケーション能力を促す)

水を出す、石鹸をつける、タオルで拭くなど自分でできること自分でさせる(自立を促す)

いかがでしょうか。

家に帰ってほんの5分程度のことですが、お子さんにとっては「学び」の連続です!

常に声をかけながら行い、少しのことでもできたら褒めるようにすると、褒められたことが嬉しくて、「やってみよう」という気持ちがお子さんに芽生えてきます。

絶対にしてはならないのは、下記の2点です。

  • 無理をさせること
  • できなかった時に「なんでできないの!」と言ったり、叱ってしまうこと

焦ってはいけません。子供は子供のペースで必ず成長します。親の気持ちばかりが焦ってしまうと子供は委縮してしまい、余計に定型発達の子と開きが生じてしまいます。

できないことは「一緒にやる・見本を見せる・手助けする」ことも用いながら、少しずつ自立できるように促しましょう。

身近なパパママとの関係を深め自信を付けさせよう!

子どもが診断されると何をして良いのか分からず、無理に子供が多い場所に子供を連れて行ったり、塾のような民間療育に通わせることを考えてしまったりしがちです。

お子さんのことを考えるからこその選択だと思いますが、ここはお子さんの「気持ち」を第一に考えてみましょう。

  • 大勢の場でパニックや癇癪を起こす子
  • パニックは起こさないけれど、他の子を避けて一人遊びをしたがる子
  • すぐ他の子を叩いたりしてしまう子
  • ずっと泣いている子

自閉症スペクトラムには様々なタイプの子がいます。しかし、上記に全て共通しているのは、そのお子さんにとって「何かが嫌だ」というサインを出しているのです。

その子の気持ちを汲まずに、「刺激になるから」とむやみに子どもの多い場に参加してしまうとコミュニケーション能力に影響が出てしまいます。

まずは、お子さんにとって一番身近で信頼できる存在であるママやパパとの関係をより深く築いてみましょう。

こういう言い方をしてしまうと「私と子どもの関係は今まで良好じゃなかったのかしら?」と思われてしまいそうですが、そうではありません。

自閉症スペクトラムのお子さんは、前にも述べましたが、定型発達のお子さんと比較すると、自立していくことやコミュニケーションの力を身につける為に、より多くの時間を要するのです。

ママやパパとの関係が深まると「ママ(パパ)がいるから他の人がいても大丈夫!」と、親と一緒の空間に自信がもてるようになってきます。

そこで、ママやパパができる療育にはどのようなことがあるのか、いくつか挙げてみます。

  • 絵カードや写真を使って視覚的に伝える
  • 手遊びや体操をして、楽しい時間を共有する
  • 外出先では色々なものを見せる。「葉っぱだね」「わんわんだね」など目についたものを指をさして簡潔に伝える

一見「なんだ、こんなこと?」と思われそうなことばかりですが、実はやってみると分かりますが、上記のことに取り組むとくじけそうになる日がきます。

何故なら、子供がなかなか反応してくれないからです。

自閉症スペクトラムの子は、言葉の発達に遅れがある子が多いので、視覚優位で伝えてもなかなか言葉を発してくれず、こちらがいくら「葉っぱだよ」「青い空だよ~!」と語りかけても返事をしてくれるわけでもありませんし、無反応なのです。

手遊びをしても楽しんでいるのかもよく分からない反応に心が折れそうになる時もあります。しかし、それでも続けていくことです。

「○○ちゃんと一緒にいると、ママはすごく楽しい」という感じで接していくと、時間はかかりますが、必ず応えてくれる時がきます。

我が家が実際に取り組んだ家庭での療育

我が家が実際に取り組んで効果があったことを挙げてみます。

ただし、ご紹介するのは、我が子に効果がたまたまあっただけで、誰にでも効果が期待できるものではありません。
  • 絵カードで物の名称を教える
  • 人物の写真を使って(大勢で写っているものではなく、一人の写真)呼び方を教える。*ママ、パパ、子供自身の名前など
  • 手遊びやくすぐりっこをしてみる

たったこれだけのことでしたが、正直心が折れそうになることが何度もありました。

絵カードを使って「バナナ」「りんご」「わんわん」など教えても無反応な我が子。人物の写真を使って自分のことを「ママ」と教えている時が一番虚しさを感じました。

子供の目の前に座っている人こそがまさにママなのに、なんでわざわざ写真を使って教えなくてはいけないのかと思ったからです。

数か月続けても一向にママ・パパとは言わず、こんなこと続けて意味があるのかと思いつつもやり続けてみました。

手遊びをしても模写をしてくれませんでした。

くすぐりっこは子供を診断したお医者様から「やってみるといいよ」と言われたので取り入れてみました。

くすぐりあうことで「いつ、くすぐられるのだろう?」とママやパパの表情を読むようになると言われたのです。

くすぐりっこをすると多少笑ってはくれたものの、「ママ・パパ」とは相変わらず読んではくれませんでした。

虚しさや寂しさを感じながらも、続けること4ヶ月で子供に変化が出てきました。

私が出す絵カードには無反応でしたが、いつのまにか一人で絵カードを触ってぶつぶつ言うようになっていたのです!

そして初めて話した言葉は「もも」でした。ママ・パパでなかったのは残念でしたが、とても嬉しく、急いでスーパーに行って本物の桃を見せたのを覚えています。

くすぐりっこもいつのまにか私の目を見て「早くくすぐってよ~」と言っているかのようにニコニコと反応を見るようになりました。

診断が出てから1年近く経ちますが、今では「ママ!ママ!」とうるさいくらいに呼びます。

「やりとり」ができないので会話はまだ成立しませんが、単語も多く出るようになり、100単語を超えた時に話せる単語数を数えるのをやめました。

家族をはじめとする信頼できる人とは、目も合わせられるようにもなりました。

成長のスピードには個人差がありますが、無駄なことはありません。是非ご家庭でできることは取り入れてみてください。

絵カードについてはこちらも参考にしてみてください。

テレビについて
ちなみに、テレビを見せてもよいのかと悩んでいらっしゃる方もいると思いますが、我が家の場合は見せていました。

一緒に遊ぶ時や食事中は消していましたが、ずっと子供と一緒に過ごしていると、家のことが何も進まないこともありましたので、家事に集中したい時はテレビの力を借りていました。

家事が終わると、テレビをみている子供の隣に座り「アンパンマンかっこいいね~」「ジャムおじさんやさしいね」などと語りかけるようにしていました。

特に1日1時間とか時間を決めていたわけでもありません。自分の体調が悪い時は一日テレビがついていたこともあります。

気負わずにお子さんのペースはもちろんですが、ママのペースも大事なので、無理をせず家庭療育をすすめてみてください。

自閉症スペクトラムに関する情報収取も必要!お勧めの書籍

診断された後、何をしてよいのか分からなくなった時は、自閉症スペクトラムに関する正しい情報収集をすることもお勧めします。

どのような障害なのかを理解することで、身を引き締める部分もありますし、希望が見えてくることもあるからです。

ここで少しお勧めの本をご紹介いたします。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」 著者:東田直樹
自閉症を抱える当事者自身が書いたものです。

自閉症児の行う行動の意味を分かりやすく書いてくださっています。

私は、子供が親である私にも目を合わせてくれないのでこの本を読むまでは育児をしつつも寂しい・虚しいという気持ちでいっぱいでしたが、この本を読んで救われました。

「光とともに…〜自閉症児を抱えて〜」 作者:戸部けいこ
作者の子供と同級生である自閉症児のエピソードを参考にして作られた漫画。

自閉症児(話せない・知的障害あり・感覚過敏あり・強いこだわりあり)とその母の前向きな姿勢に心が打たれます。

育児に疲れてつまづいてしまいそうな時に読むと救われます。

*篠原涼子さん主演でドラマ化もされていますので、ドラマ版をDVDレンタルにて観ることもできます。

このほか、自閉症スペクトラムについて詳細に書かれている書籍や発達障害児との付き合い方を書いている育児書も多数出ていますので、是非参考にしてみてください。

知らない人だかからこそ悩みを打ち明けられる!相談先一覧

障害の有無に限らず、育児というものは壁によくぶち当たります。

しかし、自閉症スペクトラムの子の育児は定型発達の子の育児以上に「育てにくさ」を感じます。

強いこだわり・言葉の遅れ・意思疎通が難しいなどの特性がある為、「どう接して良いのかわからない」と途方に暮れてしまうママさんも多いのです。

育児をしていて辛くなった時、家族に相談する人が多いと思います。しかし、気心が知れた仲だからこそ意見がぶつかり合い、トラブルになることも多いのです。

自分には相談できる相手がいない…そう思った時は、見ず知らずの第三者に相談してみましょう。

知らない人だからこそ話せる、知らない人の助言だからこそ受け入れられるということもあります。

育児や子育てに自信が無くなった時、どうしてよいか分からない時に相談できるところをまとめてみました。全て無料で相談できるところです。

相談窓口 詳細
保健所 地域の保健所に電話で育児相談をすることができます。電話でなくても面談でももちろん可能ですが、電話の場合は予約制をとっている所もあります。
育児相談専用ダイヤルを設けている保健所もあり、その場合は経験豊富な保健師さんが相談にのってくれます。
保育園(子供が通っていなくても相談可能) 保育園では、お子さんが園に通っていなくても育児相談にのってくれるところが多いです。
特に、地域子育て支援センターを併設していたり、一時預かりを行っている保育園では相談しやすく、匿名で電話相談も可能です。
経験豊富な保育士さんが相談にのってくれ、アドバイスをくれます。
ベビーグッズメーカー ベビー用品メーカーでは無料で電話やメールにて育児相談にのってくれるところがあります。
メーカーにもよりますが、医師・看護士・栄養士・心理士など専門家が回答してくれるところが多いです。
一例ですが
ピジョン「Pigeon info × Doctors me」
明治「明治赤ちゃん相談室」
森永乳業「エンゼル110番」
などがあります。
社会福祉法人 日本保育協会 子育てホットラインママさん110番
子育てに関する悩みならどんなことでも相談可能
月~金の10:00-16:00利用可能。
電話番号03‐3222‐2120
公益社団法人 日本助産師会 全国にある子育て・女性健康支援センターにて電話やメール、面談にて相談可能。
子育てに限らず、自分自身についての悩みにも相談にのってくれます。
各地域の支援センター所在地は日本助産師協会ホームページを参照してください。
日本助産師協会
小児救急相談 子どもの急な体調不良や病気にどう対処したら良いのか等分からない時に利用できます。
自閉症スペクトラムの子は、熱性けいれんなど起こしやすい子もいる為、救急の時など役立ちます。
電話番号 #8000

「こんなこと電話して良いのかな」と躊躇するようなことでも、相談しましょう。

お子さんが自閉症スペクトラムの場合、「他の子がすんなりできていることなのに、うちの子だけできない…」という場面に多く出くわします。

頭では仕方のないことだとわかっていても落ち込みますよね。そんな時は、一人で悩まず気持ちを誰かに聞いてもらいましょう。

聞いてもらっているうちに気持ちが落ち着いてきます。

実際に育児相談したい!と思える時というのは、突発的な時が多い気がします。上記の連絡先を携帯に登録しておくのも良いでしょう。

「今どうしたら良いのかわからない!」「言っても言ってもできない子供を叩いてしまいそう・・」

そんな時に是非育児相談を利用してみてください。

育児相談についてはこちらも参考にしてみてください。

ママ一人で背負わない!自閉症スペクトラムの育児

自閉症は先天性の脳の機能障害ですので、治すことはできません。

しかし、何度も書いていますが障害と呼ばれるくらいの濃さを性格レベルに淡くすることはできるのです。

障害の度合いにもよりますが、必ずお子さんのペースで成長します。ゆっくりな分、ちょっとした成長も嬉しいを通り越して感動できるのです。

その成長は、定型発達の子が簡単にクリアできていることかもしれません。それでもできることが増える・成長を感じられるということはとても嬉しいものです。

お子さんとその嬉しい気持ちを共有してみましょう。将来的には、障害と思われていた特性を「○○(お子さんの名前)らしいね!」と性格と感じるようになることを目指し、今の時間を大事に過ごしてみてください。

子どもにとって一番近しい存在はママですが、育児はママ一人だけが頑張るものでは決してありません。

育児に行き詰まってしまったら、必ず家族や専門家(医師や保健師・保育士など)に相談し、一人で抱えないようにすることも大事です。

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