羊水過多症とは?羊水が多い原因や症状、起こりえるリスクと治療法

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2017/07/19

羊水過多症かもしれない妊婦さん

胎児が生活している羊水ですが、量にはある程度目安があります。

通常よりも羊水の量が多くなってしまうと、トラブルが起こることがあります。

羊水量が多い「羊水過多症」は、さまざまなトラブルやリスクを伴う可能性があります。この羊水過多症について詳しく説明をしていきます。

羊水過多症の診断基準とは

羊水が正常値よりも多い状態を羊水過多症といいますが、いったいどのくらいの量になると羊水過多症と診断されるのでしょうか?

羊水過多小の診断基準は羊水ポケットが8㎝以上になっているか、羊水インデックスが25㎝以上になっている場合です。

ただ、これはあくまでも診断のための定義で、当てはまったからと言って必ずしも羊水過多症となるわけではありません。

この診断基準にプラスして、起坐呼吸といって起きて座っているときには呼吸が楽なのに、横になると非常に呼吸が困難になる症状などが起こっている場合に羊水過多症と診断されることが多くなります。

なぜ羊水過多症は起こるのでしょうか

羊水過多症が起こる理由は様々なものがあります。

  • 赤ちゃんが羊水を上手に飲みこめないため
  • お母さんの病気によって羊水が沢山生産されるため
  • 赤ちゃんの尿の量が多いため
  • 胎盤にトラブルが起こっているため
  • 赤ちゃんの髄液が漏れ出ているため

大まかにはこのような理由になりますが、このような理由が起こる原因がいくつかあります。これらの理由についてさらに詳しく見ていきましょう。

赤ちゃんが羊水を上手にのみこめないため

赤ちゃんが羊水を上手に飲み込むことが出来ないもののおしっことして排出される量が正常という場合には、羊水の量はどんどん増えてしまいます。

赤ちゃんは水分として羊水以外にもお母さんの胎盤を通じて受け取っていますので、飲む量よりもおしっことして排出量が上回ってしまう事は十分に考えられます。
  • 上部消化管閉塞
  • 消化管通過障害
  • 無脳症
  • 水頭症
  • 二分脊椎
  • 染色体異常

赤ちゃんが上手に羊水をの見込みことが出来ない理由としてはこのような病気の可能性があります。

上部消化管閉塞
お腹の中の赤ちゃんの上部消化管の中(食道・胃・十二指腸)で、どこかに閉塞している部分があると、羊水が消化管を通過することが出来ないため羊水を上手に飲み込むことが出来ません。

この上部消化管閉塞は先天的にある病気で、超音波検査などで分かることもあります。

胎児に起こっている異常が上部消化器官閉塞単独の場合には、この病気は出生後に外科手術を行うことで完治させることが出来る疾患です。

消化管通過障害
上部消化管に限らず消化管のどこかが狭くなっており羊水が通りにくくなっている状態です。

症状としては上部消化管閉塞と似ていますが、完全に塞がっている閉塞とは異なり、通過障害は消化管が狭くなっている状態です。

やはり出生後外科手術を行うことで、完治させることが出来る疾患です。

無脳症
妊娠4カ月を過ぎてくると、超音波検査によって赤ちゃんの大脳の状態を知ることが出来ます。

このとき大脳が全くない状態もしくは小さく縮小している症状を「無脳症」といいます。代表的な神経管閉鎖障害の一つです。

その他の臓器には大きな問題がなくても、生命維持に関する部分がない状態なので、羊水を飲むことが出来ません。

死産で生まれたり、出生後1週間ほどでなくなってしまう事が多くなります。

ただ、おなかの中ではお母さんの胎盤を通じてさまざまな生命維持活動を行うことが出来るため、出産することは可能なケースも多くなっています。

水頭症
胎児の水頭症は、中枢神経系の先天奇形の一つです。

脳は通常脳脊髄液のなかに浮かんだ状態になっていますが、この脳脊髄液が巡回する経路のどこかが閉塞していたり狭窄していることで、循環がうまくいかず脳脊髄液が多い状態になってしまいます。

脳脊髄液によって脳が圧迫されてしまう事で、さまざまな脳の機能が低下してしまう事があります。羊水を上手に飲み込めなくなってしまうというのもその一つの状態です。

水頭症は出生後治療をすることで、他の子と同じように生活を送ることが出来るケースもあります。

症状の程度などによっては後遺症が起こることもあるため、継続的な観察や検査が必要です。
二分脊椎
妊娠3週ごろにうまく神経管が形成されないことで起こる代表的な神経管閉鎖障害の一つです。

先ほど紹介した無脳症は神経管の上部で起こる障害ですが、二分脊椎は神経管の下部で起こる障害によって起こります。

開放性の二分脊椎の赤ちゃんは水頭症を合わせて発症することが多くなります。そのため羊水を上手に飲み込むことが出来なくなってしまう事があります。

染色体異常
本来は23対46本ある染色体が、何かしらの原因で異なる状態になっているのが染色体異常の状態です。例を挙げます。

  • 13番目の染色体が3本ある13トリソミー(パトウ症候群)
  • 18番目の染色体が3本ある18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 21番目の染色体が3本ある21トリソミー(ダウン症候群)

さまざまな染色体異常があるため一概には言えませんが、染色体異常のために上手に羊水を飲み込むことが出来ないケースもあります。

お母さんの病気によって羊水が沢山生産されるため

お母さんの病気によって羊水が沢山作られてしまう事もあります。妊娠中期以降は妊娠糖尿病によって羊水の量が増えてしまう事があります。

糖尿病になると浸透圧利尿というものが高まり、おしっこの量が増えることがありますが、胎盤を通じてお腹の中の赤ちゃんも高血糖の状態になり、おしっこの量が増えてしまうことがあります。

お母さんの糖尿病の影響で、赤ちゃんのおしっこも多くなって羊水が増えてしまうのです。

赤ちゃんの尿の量が多いため

お母さんが糖尿病の場合以外にも、赤ちゃん側の理由でおしっこの量が多くなってしまう事があります。

羊水を飲む量よりもおしっことして出す量が多いため、羊水過多になってしまいます。

  • 双胎間輸血症候群
  • 無心体双胎
  • 胎児Bartter症候群

これらの症状はおしっこの量が増える原因となりますが、具体的にはどのような状態なのでしょうか?

双胎間輸血症候群
双子を妊娠している場合、一つの胎盤を二人の赤ちゃんが共有している一絨毛膜双胎であった場合に起こることがあるのがこの双胎間輸血症候群です。

正常の状態では二人の赤ちゃんにバランスよく胎盤から血液が送られますが、何かしらかの影響でこのバランスが崩れると、沢山の血液が送られてきた赤ちゃんはおしっこの量が増えて羊水過多になります。

この場合、もう片方の赤ちゃんはおしっこがすくなくなり「羊水過少」になってしまいます。

▼羊水過少症についてはコチラも参考にしてみて!

無心体双胎
受精卵から胎芽、胎児として育つ過程で、心臓の成長が止まり心臓がない状態になってしまった状態を無心体といいます。もともと心臓がない状態の場合もあります。

赤ちゃんが一人の場合には流産となりますが、一卵性の双子だった場合には、流産とならずにそのままの状態で成長することがあります。

双胎管輸血症候群と同じで、一卵性双胎のうち正常に成長を続けている赤ちゃんに多くの血液が送られるため、正常な赤ちゃんのおしっこの量が多くなります。

無心体双胎の場合、さらに心臓がない赤ちゃんからも正常に成長を続ける赤ちゃんに対して血液が送られるケースもあるため、羊水過多症をおこすことが多くなります。

胎児Bartter症候群
身体にとって必要なナトリウムやカリウムといった成分を適正に排出できなくなってしまう病気がバーター症候群です。

腎臓の機能の異常で、おしっこが沢山出てしまうことで脱水症状などを引き起こすことがあります。

腎臓に障害が起こることがあり、腎不全などの病気になってしまう危険性もありますが、マグネシウムやカルシウムなどを補う対処療法やお薬を使った治療をすることができます。

胎盤にトラブルが起こっているため

お母さんと赤ちゃんをつなげている胎盤にトラブルがあることでも羊水過多症が起こることがあります。

胎盤血管腫
胎盤の血管の中に良性の腫瘍が出来てしまうのがこの胎盤血管腫です。絨毛膜血管腫ともいわれます。胎盤に血管の固まりが出来てしまう病気です。

胎盤に腫瘍が出来ることで胎児に送られる血液の量が多くなってしまい、赤ちゃんが飲む羊水の量に比べて排出するおしっこの量が増えるために羊水の量が増えてしまいます。

赤ちゃんの体内から髄液が漏れ出しているため

お母さん由来の羊水や赤ちゃんのおしっこ由来の羊水以外のものが、羊水に含まれるようになるとやはり羊水の量は増えてしまいます。

臍帯ヘルニアや腹壁破裂などによって赤ちゃんの体内から髄液が漏れ出しているようなときは、羊水の量が増え羊水過多症になってしまう事があります。

60%は原因不明

羊水過多が起こる原因の半数以上は、実は原因不明。羊水過多になったら何か重大な病気が隠れているのかもしれないと焦ることはありません。

まずは落ち着いて産婦人科の先生の指示を仰ぎ、できることをやっていきましょう。

羊水過多症の治療方法とは

羊水過多と診断された場合、どのように治療を進めていくことになるのでしょうか?ここでは羊水過多症の治療方法についてみていきます。

基本は入院して安静を保ちます

羊水過多症の場合、基本は管理入院を行って安静を保つことになります。

羊水が増えすぎないように水分の摂取や塩分の摂取などを制限して、利尿薬などを飲みながらできるだけ余分な水分を排出していきます。

お腹が通常の妊婦さんに比べても大きくなり、お母さんの内臓にかかる負担なども大きくなるため、できるだけ安静を保つことになります。

羊水を吸引する処置がとられることも

羊水過多の状態が続き、おなかが大きくなりすぎると羊水を吸引する処置がとられることもあります。

お腹に直接針を刺して羊水を吸引するというものです。

一度羊水を吸引しても羊水の増加が止まらない場合には、何度か羊水を吸引する処置がとられることがあります。

お母さんの病気の治療も行われます

羊水過多症が起こる原因がお母さんの糖尿病というような場合には、お母さんの病気の治療も並行して行っていきます。

お母さんの病気の治療の進み具合によって、羊水過多の症状が改善することもあります。

先天性異常のリスクがあるというのは本当か

羊水過多症になる原因として、先天性異常のリスクがあるということは考えられます。

  • ダウン症候群
  • 胎児奇形

羊水が上手に飲み込めなかったり、上部消化管閉塞や消化管通貨障害などの合併症を持っていることがあり、羊水を飲む量よりもおしっこの量の方が多くなり羊水過多症になってしまう事があります。

特にダウン症候群の胎児は十二指腸閉鎖症を合併症として持つことが多いようです。

広汎性発達障害疑い
広汎性発達障害の疑いという診断を受けたお母さんの中には、妊娠時に羊水過多症の状態だったことが原因ではないかと悩む方も多いようです。

ですが、広汎性発達障害は様々な出生前診断で判明することがありませんし、遺伝検査や血液検査などの生理学的な検査でも診断されません。

よって、羊水過多症が原因であるかどうかは不明です。

羊水過多症で現れる症状とは

さまざまな原因で起こる羊水過多症ですが、逆に羊水過多症になったことで現れる症状というのはあるのでしょうか?

逆子になってしまうことがあります

赤ちゃんは通常産道に向かい頭を下に向けている姿勢を取りますが、羊水が多いために動くスペースも広くなります。

そのため頭を上に向ける逆子になったり、横に向いてしまうという胎位異常、胎勢異常が起こってしまうリスクが高まります。

さまざまな原因で「胎児ジストレス」になることも

羊水過多症でもっとも怖いのは胎児ジストレスです。胎児仮死ともいいますが、常位胎盤早期剥離や臍帯脱出などが起こりやすくなります。

これが原因で低酸素状態、無酸素状態になった胎児は呼吸を行うことが出来ず胎児ジストレスになってしまうことがあります。

胎盤が先にはがれてしまう「常位胎盤早期剥離」

羊水過多の状態で破水をすると急激な子宮内圧の低下が起こって、赤ちゃんが生まれる前に正常な位置にある胎盤がはがれてしまう事があります。

胎盤がはがれてしまうと赤ちゃんは酸素を受け取ることが出来なくなってしまいますので、胎児ジストレスになる危険があるため緊急帝王切開を行う必要がでてきます。

赤ちゃんよりも先に臍帯が出てしまう「臍帯脱出」

通常であれば出産時は赤ちゃんが生まれ、そして臍帯が出てきますが、破水後先に臍帯が先に出てきてしまう事があります。臍帯が先に出ると赤ちゃんが低酸素状態になってしまう危険があります。

臍帯脱出は非常に危険で胎児ジストレスになってしまう可能性があるので、緊急帝王切開の必要が出てきます。

子宮を全摘出する可能性もある「弛緩出血」の危険も

子宮は赤ちゃんが生まれると筋肉が収縮し、胎盤がはがれた部分の出血は止まりますが、この収縮がうまくいかないことで大量出血を起こしてしまう事があります。これが弛緩出血です。

弛緩出血は出血性ショックや体の細い血管内で血液が固まってしまったり、血液を固めるための物質が不足してしまい出血が止まらなくなってしまう危険性があります。

止血がどうしてもできないときには子宮を全摘出することもあります。

なかなか子宮が元に戻らない「子宮復古不全」になる事も

通常出産後約1カ月で子宮は元の大きさに戻っていきますが、羊水過多症によって非常に大きくなった子宮はその収縮がうまく行われないことがあります。そのため早期離床や子宮底マッサージをおこなったり、子宮収縮剤を投与することがあります。

適切な処置で問題ない出産を迎えているママもいる!

羊水過多症には深刻なトラブルやリスクが存在する可能性もある症状ですが、お母さんが心配をし過ぎることはあまりよくないことです。

羊水過多症と診断されても、適切な処置を受けることで問題なく出産を迎えているお母さんたちもたくさんいます。

羊水過多症のそれぞれの原因によって治療を行うことが出来るように、産婦人科の医師や小児科の医師がしっかりとフォローアップを行うことができる体制づくりをしてくれます。

不安や心配になる気持ちはよく分かりますが、まずはかかりつけの医師によく相談をしてまずは原因を突き止めていきましょう。

そして、原因に応じた治療を行うことで、赤ちゃんとの対面に備えていきましょう。

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