痛いの?傷跡はのこる?帝王切開の疑問・不安を徹底サポート
ママか赤ちゃんのどちらかに問題やリスクがあり、自然分娩が難しい・危ないと判断された場合に選ばれる出産方法です。一般的な帝王切開入院は7~10日ほどです。
腰椎麻酔や硬膜外麻酔で下半身に麻酔を効かせた状態で腹部と子宮を切開し、赤ちゃんを誕生させる、開腹手術です。
手術中も意識はあるので、産声を聞きことができ、助産師さんが顔の横に赤ちゃんを連れてきてくれるので、対面することができます。
※母体と赤ちゃんの状況によっては、初めから全身麻酔だったり、途中から薬で寝かされることもあります。全ての帝王切開手術が下半身麻酔で意識があるなかでとは限りません。
2011年の統計では、妊婦さんの5人に1人が帝王切開でのお産になっています。
母体に負担のかかる手術ですが、赤ちゃんに対する安全性を重視して年々増えてきています。
帝王切開手術の流れについて
予定帝王切開の人は前日に入院し、夜は決められた時間から絶食になります。
麻酔の影響で、消化管の動きを止めるためです。胃に食べ物があると、嘔吐して吐物で誤嚥や窒息の危険があるためでもあります。
緊急帝王切開の場合は、上記のような症状の兆候がみられたら、医師が判断をし、事前に絶食の準備がないまま、医師からの説明と本人と家族の同意であっという間に帝王切開手術になります。母体と赤ちゃん、一刻を争う事態だからです。
※緊急で一刻を争う事態の時は、口頭で同意を得てからあとで書面のサインをしてもらうこともあります。
なので、ママが妊娠した時点で、旦那さんや家族はいつでも病院からの緊急連絡がとれるように心構えをしておきましょう。妊娠・出産はいつなにが起こるかわかりません。
予定帝王切開と緊急帝王切開でも共通の事前準備は以下のとおりです。事前に看護師が、手術部位周辺を剃毛する処置をしてくれます。
これは感染予防のためです。
それと点滴をしますが、これは輸液はもちろんですが、万が一の場合の輸血となった場合にも備えて対応できるように、点滴も輸血もできる注射針を使うそうです。
先に履くか後で履くかは病院による(そのときの緊急度にもよる)かもしれませんが、弾力ストッキングを履きます。
手術中と術後安静での血栓予防のためです。
病室から手術室までは、ストレッチャーか車椅子で移動をします。
そして、手術用の服に着替えて、髪の毛をまとめて帽子をかぶります。病棟の看護師から手術室の看護師に申し送りと確認のあとに、手術をする部屋に移動します。
手術台にのぼり、膝を抱え込むような姿勢で横になり、背中に麻酔をします。
(常に数名の看護師がついて介助や優しく励ましてくれますので、安心してくださいね)
ゆっくり仰向けになり、血圧計をつけたり、麻酔がちゃんと効いているかのチェックをします。
麻酔が効いてから、術中と術後はトイレに行けないため導尿(膀胱留置カテーテル)をします。
消毒をし、すべての準備が整ったら手術が始まります。
手術の流れとしては、
- 皮膚切開
- 皮下組織・筋膜・腹膜の切開
- 子宮筋切開
- 胎児娩出
- 子宮内容物除去
- 子宮筋縫合
- 止血確認・腹腔内洗浄
- 腹膜・皮下組織・皮膚縫合
手術時間は個々の状態にもよりますが、全てが順調ならだいたい1時間です。
先に赤ちゃんが病棟に戻り、パパや家族と対面して、そのあとにママは縫合してから病棟にストレッチャーで戻ってくることが多いです。
下半身麻酔とはいえ、手術中も吐き気がしたり、内臓を押されたり引っ張られたりする気持ち悪さがある場合があります。
麻酔でマヒするのが少し上のほうまであると、呼吸がしにくくて苦しかったり、時には血圧が下がってしまったりして出血が多くなってしまう場合もあるのです。
手術中ママは頑張っています。そうして愛する我が子を守るのです。
病棟に戻ってきたら、パパはすぐに声をかけて労い、ほめてあげてください。
- がんばったね
- おつかれさま
- 赤ちゃん可愛かった。ありがとうな
手術室から戻ってきている時点で、すでに痛みがきているので、これらの言葉かけは本当に嬉しいですし、「私、がんばった」と自信にもつながります。
帝王切開になるのはどんな場合
もともと予定される選択(予定)帝王切開と、緊急帝王切開があります。
予定帝王切開になるのは、以下の場合が多いです。
- 骨盤位(逆子)
- 多胎妊娠
- 児頭骨盤不均衡
- 前置胎盤
- 子宮筋腫
- 既往帝王切開(前回帝王切開)
- 子宮の手術歴がある
- 高齢出産
- 胎児に影響の出る感染症罹患
- 母体や胎児にその他に持病があり、自然分娩困難な場合
緊急帝王切開になる場合は以下の場合が多いです。
- 常位胎盤早期剥離
- 胎児機能不全(胎児仮死)
- 微弱陣痛
- 回旋異常
- 妊娠高血圧症候群
- 遷延分娩
- 子宮破裂の兆候
- 早産期の出産
- 破水後の感染症
術後の状態は?術後のリスクは?お見舞いの対応はいつから?
開腹手術であることに変わりはありませんので、リスクを伴います。
出血・感染・血栓症・術後癒着(腸閉塞)などです。まれに麻酔による副作用も起こることがあります。
- 足の力が入りにくい
- 低血圧
- 尿が出にくくなる
- 吐き気や嘔吐
- 頭痛
- お尻や太ももに電気が走るような感覚
などです。
手術とはいえ赤ちゃんが出てくるお産でもあります。子宮の収縮がよくないと弛緩出血を起こしたりということもあります。
ママが手術室から帰ってくると、パパを含めてパパやママの家族が病室に駆けつけたくなりますが、もう少し待っていただきたいです。
そばに付き添うことも可能です。大勢ではなく代表でパパがいきましょう。ベッド横に行けるタイミングは、看護師にきいてみてください
帝王切開手術後の病室の様子
手術後2時間は、看護師さん達が頻繁に(30分ごとに)血圧数・心拍数・呼吸数・痛みの程度・鎮痛の程度・尿量などの全身の観察や痛み止めの注射をしたり、点滴を見にきたりと、ベッド周りはバタバタします。
ママのほうは、手術が終わると同時に麻酔も切れるので、お腹と子宮を切って縫った痛みと子宮収縮の痛みが合わさった痛みに耐えています。
痛み止めの注射をしてくれますが、正直、効いている実感がないほどに一晩中痛いです。手術の侵襲による体の反応で、熱がでます。
熱によるふらふらと、注射が効いている実感がないほどの痛み…。
おまけに、尿の管が入ったままの状態の姿。
状態によっては、心電図と酸素マスクまでついていて…。
術後2時間は30分おきに看護師が観察や処置にきますが、それ以降は1時間おきになります。どっちみち、手術した後はベッド周りはバタつきます。
できればパパ以外の人は手術当日は面会は遠慮したほうがいいかと思います。
両家のご両親たちも、孫が生まれた嬉しさと「おめでとう言わなくちゃ」と張り切る気持ちもあるかと思いますがご理解いただきたいところですね。
赤ちゃんは新生児室の窓から見ることができるので、手術当日はご家族は赤ちゃんを見ていったんご帰宅いただけたらと思います。
術後の状態にもよりますが、翌日から痛み止めを使いながら、歩行器を使っての歩行練習が始まります。
ベッドのリモコンを使って、ゆっくりゆっくり体を起こし、気分が悪くならないか様子を見ながらすすめていきます。まずはトイレに行く練習から始めます。
痛み止めの薬も、病院や主治医の判断、ママの持病の兼ね合いでそれぞれ違うので、「痛み止めを使ってるんだから、痛くないでしょ」ではないのです。
体質によって効きにくいこともありますし、出産でもあるので、術後の痛みに加えて子宮収縮の痛みもあります。
手術翌日が一番痛みが強いです。大体の場合は3日程度で強い痛みは落ち着いてくるようです。
なので、お見舞いやお祝いに駆けつけたいご家族などは、術後3日を目安にしていただけたらと思います。
※ただし、人それぞれに回復は異なりますので、パパが間に入って、ママの状態を聞いて対応してあげてくださいね。
退院してからは、パパや家族の協力が必須です!
自然分娩の場合の後陣痛や会陰切開の痛みは、1週間程度で落ち着いてきますが、帝王切開は開腹手術でのお産ですので、回復は通常よりもゆっくりです。子宮が元に戻るまで1年とも言われたりもします。
また退院の時に、「重たい物(赤ちゃんよりも)は最低1カ月は持たないように」と指導があります。子宮とお腹に負担をかけないためです。
退院後は、まだ寝がえりをしたり立ち上がって歩いたりも、痛くて思うように動けません。
赤ちゃんが泣いても、ゆっくりと「よいしょ」と気合を入れて寝がえりをして起き上がり、授乳をしたりおむつを替えたりします。頻繁の授乳におむつ替えは、けっこう大変なのです。
パパはできることを手伝うようにしてくださいね。
しばらくは、自分の姿勢を変えたり動いたりするのも時間がかかり、赤ちゃんのお世話で精いっぱいになるので、食事作りも十分にはいかなくなることもあります。
パパは、ママにきいてあげてください。
ママが食事作りまでできなかったら、帰りにお惣菜を買って帰るなど、ママの体の回復と赤ちゃんのお世話に専念できるようにサポートをしてあげてくださいね。
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