ブラック保育園か知りたい!起きている事故など見極めるポイント

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2018/10/26

国や自治体からの補助金を不正受給したり、子どもたちや保育士を劣悪な環境下に置いたりと悪質な保育園を「ブラック保育園」と呼びます。

ブラック保育園として新しい、2017年に起きた兵庫県姫路市の「わんずまざー保育園」。

定員を上回る子どもを受け入れたため、1人あたりの給食が大幅に減りスプーン1杯のおかずから、保育士数の水増し、補助金の不正受給など、死と隣り合わせな状況の中に子どもたちは過ごしていました。

認可外保育園だけでなく、市の管轄にある認定保育園でもブラック保育園があると言います。

保育園不足が叫ばれる中、選択枠も限られていますがこれから保育園を探すママにも、過去のニュースから見るブラック保育園の特徴や、ブラック保育園を見極めるポイントをお伝えします。

ブラック保育園で多いと言われる事故

近年、保育園現場で起こるさまざまなトラブルや事故のニュースを耳にすることも多くなりました。とくに多いのが子どもの死亡事故です。

親は安心して子どもを預けていた保育園で我が子を失うことになるとは誰もが思ってもいないことです。

とくにブラック保育園の事故は以下が多いと言われています。

  • 赤ちゃんが寝ているとき
  • 食事をしているとき
  • 水遊びをしているとき

上記以外にも、泣いている子どもを放置したり、お腹が空いている子どもに食事を与えないネグレストも事故に繋がります。

一番多い睡眠中の事故

睡眠中の死亡事故はとても高い頻度で起こっていると言います。一番の理由は保育士の観察不足によるものです。

保育士がうつぶせ寝の状態を気づかず、窒息で亡くなった事故です。もともと保育士の人数が少なすぎること、子どもが寝ている間は保育士が1人で見ているなど、観察が不十分なことで起きた事故です。

【過去に起きた睡眠中の事故】

2011年4月埼玉県認可外保育園/1歳女児が急性窒息で死亡
園長が小部屋の押し入れに設置されたベビーラックに女児を寝かしつけ、押し入れの戸を閉めたまま帰宅。現場には20代のアルバイト女性が2人いたが、押し入れに女児がいることを知りながら様子は見ていなかった。
2009年11月大阪市認可外保育園/0歳児がうつぶせ寝で死亡
男児は授乳後、園児が走り回るフロアに直接うつぶせに寝かされた。甲高い男児の泣き声を聞いた男性保育スタッフが幼児室のベビーベッドに寝かせた1時間後、うつぶせ寝で鼻血を出して、心肺停止状態で発見。

食事中に起きた事故

食事中に起こる事故はのどに詰まって息ができなくなる死亡事故が多く、給食の時間は保育士の気がゆるみやすくなるのではないか、と言われています。

子どもの年齢にあった大きさや、咀嚼力が未熟な子どもに対しても配慮が欠けていた結果、招いた事故です。

2012年7月栃木県の認可保育園/2歳女児が窒息して死亡
園内で調理したフルーツポンチを食べさせていたら女児がせきこんだので、保育士が逆さにして背中をたたくなどの措置をして119番通報。救急隊員が女児ののどから2㎝の白玉を取り出したが、意識不明の重体になり1ヶ月後に病院で死亡。

水遊び中に起きた事故

保育園ではビニールプールで園児を遊ばせることがありますが、水深が3~4㎝程です。子どもに限らず、水深が浅くても口と鼻が塞がってしまえば大人でも死んでしまいます。

保育士が目をそらした瞬間に溺れて重大事故を引き起こしたケースです。

2017年8月さいたま市認可保育所/4歳女児が溺れて死亡
園児がプールに入ったまま備え付けの滑り台を片付けていたときに起きた事故。園児をプールの外に出さず片付けをしていたため、1分程度目を離したときに起きた事故。プール最終日だったので片付けを早く行うためだったと説明。
2014年4月京都市認可保育園/4歳男児が溺れて死亡
園の屋上プール(水深25㎝)で保育士が目を離した5分の間に男児が水中で浮いているのを発見。蘇生措置を繰り返し救急車を呼んだが、低酸素脳症で死亡。前年でもプールの負傷事故を起こしていたが、虚偽の事故報告をしていたことも発覚。

乳幼児が犠牲となる虐待事件

言葉を話せない乳幼児が犠牲となる虐待事件が多く、保育園では何が起こっているのか分かりにくいため、親も虐待を見逃してしまうことも。

傷やあざのような分かりやすい外傷だけでなく、子どもを長時間放置するネグレストも虐待に当たります。

2014年7月栃木県認可外保育園/0歳女児が熱中症で死亡
宿泊保育中だった女児は高熱と下痢が続いていたが、施設長は医師の診察を受けさせず放置。3日後に熱中症で死亡。

この保育園は30人近くの乳幼児を施設長含む2人だけで見ていたことが発覚。電気代の節約のため冷房もつけていなかった。事件の2ヶ月前には「子どもの爪が剥がされている」「毛布でぐるぐる巻きにして縛っている」との苦情も寄せられた。

2014年宮城県認可保育園/5歳男児が全治1週間のけが
給食のサラダを食べた時に男児が嘔吐したことに腹を立て、30代の男性保育士がステンレス製水筒で男児の頭を殴って暴行を加えた。

全治1週間の3針縫うケガだったが、男児の親には「転んでケガをした」と嘘の説明。さらに別の5歳男児を突き飛ばして床に転倒させたことが発覚し再逮捕。

保育士離れによって起こるブラック保育園

表向きでは、「安心安全」を強調させるような言葉を並べて親を信用させますが、事件が起こるまでその実態が明るみに出ることはありません。

しかし、保育園の大多数は理想の保育園を目指し、保育士が懸命に働いているのも事実です。しかし、数々の事故が報道されるということは、明らかにブラック保育園は存在しているということです。

これまでの重大事故を起こしたブラック保育園の多くは、共通する点があると言います。

  • 保育士不足
  • 劣悪な労働環境
  • 低い給与
  • 離職率が高い

保育士の国家資格を持ちながらも保育士として働いていない人たちは約60万人程いると言われています。

とくに、激務な労働環境にもかかわらずサービス残業を強いられたりと、労働と賃金が見合っていないことが保育士離れの原因です。

保育園の種類によって給与や待遇も違う

保育園といっても、公立か私立なのか運営がどこかで給与や待遇も変わってきます。

公立認可保育園 自治体が設置する保育園。待機児童が多い。公立なので保育士は地方公務員となる。 
私立認可保育園 社会福祉法人や宗教法人、株式会社、NPOなどの民間法人が国や自治体の女性で運営。イベント、運動、勉強など力を入れる教育方針は様々。
認定こども園 保育園と幼稚園の2つの機能を併せ持つ園。待機児童問題を解消すべく2006年にスタート。幼保連携型・幼児連携型・幼稚園型・地方裁量型の4タイプに分かれる。
保育室・認証保育所 施設の構造や保育士数など、自治体が独自に定めた基準で運営する保育園。0歳保育や13時間以上開所など、認可保育園では応じられないニーズに対応。
認可外保育園 厚生労働省の基準にクリアしておらず、届け出のみで保育を行う施設。施設の広さや保育士数は基準がゆるい。個人や企業が経営するため自治体の助成はない。

上記の中で最も保育士の待遇がよいのは公立認可保育園です。地方公務員として給料が支払われ、福利厚生も充実し年功序列で給与も上がっていきます。

私立保育園では、園ごとに独自の基準があるため、雇用形態や経験年数によっても給与が変わります。

高度な専門性を持つ保育士の確保

保育園の仕事を家に持ち帰ったり、トイレに行く時間もないほど多忙な中、サービス残業も当たり前のように要求される園もあります。

さらに近年では、保育現場では高い専門性を持つ保育士の配慮が求められるようになりました。

  • 3歳未満児の受け入れ拡大による健康や安全面での対応
  • きっちりとしたアレルギー対応
  • 発達障害を持つ子供への対応
  • 食育の推進
  • 発達段階に応じた幼児教育の充実
  • 困難な養育を行う保護者に対する支援

このように保育士は、幅広い業務内容と重責を負う職業なので保育士離れが増えるとさらにブラック保育園が増えることになります。

ブラック保育園を見極めるチェックポイント

待機児童解消のため、2015年4月「子ども・子育て支援新制度」が施工されました。地域でさまざまな子育て支援の充実が計られましたが、待機児童に関してはまだ解決には至っていません。

そんな中、来年度から子どもを預けようと思っているママたちは保育園探しを始めるわけですが、自分の希望通りの保育園を選びたくてもなかなか選べる状況ではありません。

それでもブラック保育園を見極めるために、必ず行ってほしいことがあります。

①希望する保育園の見学に行く

短時間の見学で保育園の内情が全てわかるわけではありませんが、見学することで子どもたちの様子、保育士の対応、児童人数や室内の広さなどが確認できます。

もし、園内の様子を見せてもらえず、こちらが希望してもうやむやにされ別室に案内されたら要注意です。

見学時にチェックすることは、

  • 子どもたちのいる部屋を見る(年小~年長の部屋・お昼寝の部屋あるかなど)
  • 保育士の様子を見る(笑顔・挨拶・子どもに対する対応など)
  • 施設内の様子を見る(清潔さ・広さ・遊具の有無・避難口など)
  • 保育園の方針(方針内容・給食・行事・家庭とのやり取りなど)

②保育園の情報収集を行っておく

もし希望する保育園に通ってるママ友がいたら園の様子を聞くのが一番ですが、そうでない場合は市区町村の保育課で園の情報を予め聞いておきましょう。

今はネットでも保育園や幼稚園の口コミで評判を確認することができますが、全部が正しい情報とは限りません。

中には、真実を書いたとしても批判的な口コミという理由で削除されているものもあります。

③希望園の子育てサークル利用

子育てサークルを定期的に行っている保育園は何回か参加しておくと園内の様子が分かります。

子育てサークルのメリットは、見学時では見れない保育士の対応や園児の様子をしっかり見ることができます。また、子育てサークルの参加者の中に、兄弟児を実際園に通わせているママもいます。

保育園での情報を教えてもらうこともできるので、保育園を見極めるポイントとして利用するのも良いでしょう。

こんな保育園は要注意!ブラック保育園を見極める

ここまでは入園前に行ってほしいことを紹介しましたが、反対にブラック保育園を見極めるポイントを紹介します。

  • 施設内がちらかっている(保育士の人数不足、業務の忙しさで手が回っていない)
  • 保育士が不愛想(挨拶や笑顔が見られない)
  • 保育士が園長の顔色をうかがっている(園長ワンマン経営型、保育士と園長の不自然な関係性)
  • 保育士の清潔感ない服装・髪型
  • 園長が変わる・不在(園長がコロコロ変わる、いつも不在にしている)

通ってる園がブラック保育園かも?ちょっとでも疑問を感じたら…

既に保育園に入ってしまった後に「ブラック保育園かもしれない…」と思っても、仕事をしているママにとってはすぐの退園は難しくなってしまいます。

だからと言って、事件が起こってから退園するのも問題です。ブラック保育園かどうかを判断する材料はいくつかあります。

  • 保育士や園長と積極的にコミュニケーションをとる
  • 保護者同士で情報のやり取りをする

同じ保育園に通っている保護者は唯一の味方です。子どもたちに変わったところがないか、不自然な様子はないか、普段から情報のやり取りをしていると事件の発覚に繋がります。

子どもの様子をチェックする

保育園に行く前に、預けている子どもの様子をチェックしてみてください。また、お話ができる場合は家庭でもお友達の様子、先生の様子、体をチェックしてみてください。

子どもに以下の状態が見られる場合も要注意です。

  • 保育園に向かうと「怖い」「行きたくない」と怯える
  • 笑顔がなくなる
  • 大人の顔色をうかがうようになる
  • 原因がわからない傷やあざがある
  • 乳児の場合はおむつかぶれがひどい

園に訴えても改善されなければ行政へ

子どもの様子や保護者同士の話、いろいろな面から様子をみて「おかしい」「納得いかない」ときは全て、園に訴えましょう。

被害を防ぐためには、誰かが声を発し園と話し合いを持つことが大切です。それでも、取り合ってくれない場合は行政へ訴えることも視野にいれましょう。

子育て支援新制度に伴い、行政の対応も少しずつ変わってきてるのも確かです。

保育園・幼稚園で起きた事故報告の義務化

子育て支援新制度の開始に伴い、保育園や幼稚園などの施設は事故が発生したときに自治体へ報告することが義務付けられました。

報告対象となるのは、死亡事故や30日以上の期間を要する負傷・疾患を伴う重篤な事故、となります。

そして、現在は内閣府のサイトの「子ども・子育て支援新制度」ページ内の「保育事故データベース」で事故情報を順次公表しています。

都道府県や園名は公表されていませんが、事故原因と改善策を打ち出しています。

ちょっとでも疑問を感じたら、声を出すことが大切!

我が子を通わせている保育園がブラック保育園だった…とは事件が起きるまでは考えることはないでしょう。

ママは子どもを園に預けたら、子どもの様子は見えません。しかし、過去のニュースから見た事故や虐待も氷山の一角だと言います。

「行政が運営しているから安心」や「人気が高い保育園だから大丈夫」というのは全く当てはまらず、どんな保育園でも事故は起こります。

もし通っている園に疑問を持ち始めたら、日頃からの子どもの様子を観察し、保護者同士でコミュニケーションを取りましょう。

そして、被害を防ぐためにも声を発して園に訴えることが大切です。大切な子どもたちの命を守るためにも、ママたちが立ち上がることで防ぐことができます。

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