産褥熱にかかったらすぐ受診を!自宅でのチェック項目と予防法

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2018/06/21

産褥熱に罹ったママ

産褥熱とは、出産時にできた傷が、細菌感染で炎症するために引き起こされる発熱のことです。

産後のママの体は、ただでさえ満身創痍。休む間もなく赤ちゃんのお世話に取り掛からなくてはならないママが産褥熱にかかったら、ますます大変です。

産後に発熱したら、すぐに病院で受診することが大事。ご紹介する産褥熱の症状にあてはまるものがあったら、医師にその旨を伝えましょう。

そして、まずは産褥熱にかからないために自分でできる予防法を実践しましょう。

産褥熱とは、産褥期に細菌感染によって起こる発熱のこと

産褥熱の定義は、「出産後24時間以降、および10日以内に、38度を超える発熱が2日以上続くこと」です。

産後すぐは疲労やホルモンバランスなどの生理的な理由で発熱をすることが多いですが、それであれば通常37度台までの微熱以外に症状は無く、産後4日ほどでおさまるはずです。

産後24時間~10日の38度を超える発熱は、生理的ではなく病的なものであることが多いようです。特に、産後4日以降に発熱が見られた場合は注意が必要です。

産褥熱の原因は?分娩方法にかかわらず発症する!

産褥熱は、経腟分娩・帝王切開、どちらの場合でもかかる可能性がありますが、統計上では帝王切開の方が多く発症する傾向にあるそうです。産褥熱の原因を見ていきましょう。

傷口への細菌感染

分娩の際に体にできた傷に細菌が感染し、炎症を起こすことによって発熱をします。

経腟分娩・帝王切開にかかわらず、分娩時には何らかの傷が生じます。細菌の感染場所になりやすいのは、胎盤が剥がれたあとの傷や産道にできた傷、帝王切開での子宮の切開部分などだそうです。

悪露停滞

子宮復古不全(産後、子宮が元の大きさに縮まろうとする働きがうまくいかないこと)により、本来排出されるべき悪露が体内に残ってしまい、そこに細菌が繁殖しやすくなって、細菌感染の原因となります。

このような場合、悪露から悪臭がしたり、悪露が大きな塊となって出て来るなどの異常を伴います。

産褥熱の原因疾患、最も多いのは子宮内膜炎!

子宮内膜炎とは、悪露停滞により繁殖した細菌が原因で、子宮内膜に炎症が起きてしまう病気のこと。特に、お産や流産の後に起きる子宮内膜炎を「産褥子宮内膜炎」と呼び、産褥熱の原因として最も多いものです。

子宮内膜炎は通常産後3~5日後に発症し、発熱とともに、強い下腹部痛と悪露の悪臭が見られます。速やかに治療をすれば数日で治癒しますが、放置しておくと感染部位が広がり、産褥子宮付属器炎、産褥子宮傍結合組織炎、産褥骨盤腹膜炎と進行し、最終的に産褥敗血症になってしまいます。

産褥敗血症は重篤な全身症状(多臓器不全など)を伴う病気で、後遺症が残ったり、最悪の場合に死に至ることもあります。

産褥熱の症状

産後の発熱の原因となるものは、産褥熱以外にも色々あります。発熱した時に、それが生理的なものなのか、乳腺炎などによる発熱なのか、ただの風邪なのか…と判断に悩む方も多いようです。

ここでは、産褥熱の症状をご紹介します。こういった症状が無いかどうかチェックして、問診の際にお医者さんに伝えてくださいね。

  • 38度を超える発熱がある
  • 発熱が2日以上続いている
  • 悪露の量が少ない
  • 悪露から悪臭がする
  • 産後1か月を過ぎても悪露が変わらず出続けている
  • 食欲不振
  • 下腹部痛がある(後陣痛であれば産後2~3日で収まるはずです)
  • 子宮を押されると痛みを感じる
細菌感染による産褥熱かどうかは、最終的には病院での血液検査によって診断されます。発熱が見られた場合、上記の症状リストを見て自己診断するのではなく、必ず病院を受診してください。

産褥熱は、抗生物質の投薬で意外と短期間で治る

産褥熱にかかると、抗生物質の内服や点滴による治療が行われます。多くは2〜3日で解熱し、全身症状も改善されるそうです。

また、子宮内に遺残物がある場合は、それをかき出す処置をしたり、子宮収縮剤を投与することもあります。

処方された抗生物質の種類によっては、授乳ができなくなることもあります。お医者さんの指示に従って授乳を行いましょう。

このような抗生物質が発達していなかった時代には、衛生環境が整っていなかったこともあり、産褥熱は産婦を死に至らしめる恐ろしい疾患だったそうです。

産褥熱の予防法

体を清潔に、特に陰部は意識的に!
産褥熱は細菌感染によって引き起こされるので、まずは細菌が繁殖しないように、体を清潔に保つことが大事。子宮内の傷に細菌が侵入しないよう、陰部の清潔には特に気を配ってください。

産褥パッドやナプキンはこまめに交換しましょう。目安は、少なくとも4~6時間に1回。産褥パッドやナプキンを外す際は、直腸の菌が膣に付着してしまわないよう、前から後ろに向かって引き抜きましょう。

また、排泄後に陰部を拭く時も同様に、前から後ろに向かって拭くよう心掛けてくださいね。清浄綿での拭き上げや、ウォシュレットの使用も併せて行ってください。

悪露の状態をチェック
悪露は産後の体の状態を知る非常に貴重な手がかりです。産褥熱の症状にも大きく関係してきますので、色や量、匂いなどの状態をよくチェックしましょう。

産後1ヶ月を過ぎても色や量が変わらず出る場合や、悪露から酸っぱい臭いや腐敗臭がする時は要注意です!

▼悪露についてはコチラも参考にしてみて!

こまめにトイレに行く
産後は尿意を感じにくくなっています。膀胱が大きくなると子宮収縮を妨げることがあり、子宮復古不全による細菌感染に繋がるため、意識的に排尿することが大事です。

トイレに行く回数を増やすことはすなわち、ナプキン交換や陰部を拭く機会が増えるということなので清潔に繋がりますし、悪露をチェックする回数も増やせます。
バランスのいい食事と休息で、抵抗力を高める
産後は抵抗力が落ちているため、感染症にかかりやすくなっています。栄養バランスのとれた食事や、十分な休息を取って、抵抗力を上げましょう。

自宅で予防しつつ、産後に発熱したらすぐ病院へ!

医学の進歩によって、現在では深刻な病ではなくなった産褥熱ですが、やはり発症しないことが一番。ぜひこちらの記事の予防法を実践してみてくださいね。

万が一産褥熱にかかってしまった場合、大切なのは早期発見・早期治療です。 産後は抵抗力が落ち、ママの体は産褥熱以外にも様々な異常が起こりやすくなっています。体に不調が現れた時には、すぐにかかりつけの病院に行きましょう。

どうしても赤ちゃん第一の生活になりがちですが、ママの体も大切にしてくださいね。

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