妊婦さんはりんご病にも要注意!流産などの感染の影響と対策

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2016/06/29

頬を気にする女性
妊娠中に「りんご病」に感染すると、赤ちゃんに深刻な影響が出るといわれています。でも「風疹」が引き起こす「先天性風疹症候群」と比べてあまり知名度がなく、知らない人も多いですよね。

りんご病は子どもの病気と思われがちですが、大人でも感染します。あまり知られていないため、潜伏期間や症状の出方など知っておかなければ感染に気付くことができません。

妊婦さんが感染した場合のリスクや赤ちゃんへの対応、妊婦さんの感染を防ぐ方法など、妊娠中のママやこれから妊娠を考えているママに知ってほしいポイントをまとめました。


妊婦さんのりんご感染にいち早く気付こう!知っておきたい症状

子どもが感染することの多いりんご病ですが、抗体を持っていないと大人でも感染することがあります。

大人が感染した場合の症状を知ることで妊婦さんの感染に気付きやすくなります。りんご病の症状についてご紹介します。

【赤い発疹・関節痛】こんな症状に要注意!りんご病の主な症状

りんご病は「伝染性紅斑」という正式名称をもつ病気です。その名のとおり伝染する感染症で、赤い発疹が出ることが特徴です。

りんご病の症状の出やすい場所0629-1

特に頬に出る赤い発疹が特徴的でりんごのように染まるため「りんご病」と呼ばれています。赤い発疹は顔・胸・腹・背中・腕・手・臀部・太ももなど、体のあちこちに広がります。

顔の発疹は、鼻をまたいでまるで蝶が羽を広げたように見えます。発疹は細かいもので最初は風疹のように見えます。

そのうち「レース状」「のこぎりの歯状」とよばれる状態になり広がります。かゆみがあることもあり、一度おさまった発疹が刺激によって再発することもあります。

りんご病の感染からの経過について

りんご病の症状は発疹だけではありません。感染からの経過を見てみましょう。

   

日数 症状
感染から
10日~20日
潜伏期間
この間、3日~10日くらいの間に、
微熱・のどの痛み・筋肉痛・だるさといった前駆症状が出る場合もある
前駆症状から
1週間~10日
発症。顔・全身に発疹が出始める。関節痛が出る
発症から3,4日 発疹がピークに達する
発症から1~2週間 発疹が消えていく。刺激によって再発することもある

りんご病の感染からの経過について0629-1

これらが日数から見た一般的なりんご病の症状です。

大人は発疹より関節痛が出る確率の方が高く、7割の人に見られる症状です。関節痛が強い場合は1,2日ほど歩くことが困難になる場合もあります。ただしこうした痛みは数日で自然とおさまることがほとんどです。

大人の場合は不顕性といって症状が出ない感染のことも少なくありません。子どもでも不顕性で感染していることがあり、かかった覚えはなくても抗体ができていることもあります。

予防のためにも知っておきたい、感染経路と薬がないという事実

りんご病は飛沫感染・接触感染で広がります。感染することが多い年齢は0歳から9歳までで、特に5歳くらいから感染が増えるようです。

インフルエンザのように季節的な流行がある病気ではありません。

しかし、年始から初夏にかけて感染者が増えるようです。5年に一度ゆるやかに流行しますが、全国的に大流行するわけではありません。

毎年大流行を繰り返すノロウイルスやインフルエンザウイルスのようには感染力が強いわけではありませんが、家庭や保育園、医療現場といった小さくて接触が濃厚な集団の中では感染が広まります。

りんご病を引き起こしているのは、パルボウイルスB19というウイルスです。このウイルスに対する特効薬はなくりんご病を治療できる薬はありません。

感染したら対処療法で治るまで様子を見るしかないのです。

たいていの場合はかゆみをともなう発疹が広がる程度で、それも数日たてば自然と治ります。あまり重症化することはないため、特別に投薬が必要になることもほとんどありません。

しかしりんご病の症状ははしか・風疹・薬疹といった、発疹が全身に出る病気ととてもよく似ています。また大人の場合に強く出る関節痛や筋肉痛の症状は、膠原病やリウマチと勘違いされることもあります。

逆にいえば他の病気の可能性もあるということです。発疹や全身症状が出る病気には怖いものも多いため、治療薬がなくても診察を受けましょう。

特に家族や周囲に妊婦さんがいる場合は、今後の対策のためにも病院へ行ってくださいね。

りんご病は一度感染すると免疫がつくため、それ以降は感染することがなくなります。大人ではだいたい75%くらいの人が抗体を持っているとされています。

妊婦さんがりんご病に感染した時のリスクと、抗体検査の重要性

最近妊婦さんのりんご病感染が問題視されています。

大人が感染しても不顕性だったり数日出る発疹だけという軽い病気なのですが、妊婦さんが感染するとお腹の赤ちゃんに大きな影響をもたらします。

【胎児水腫と流産・死産】妊婦さんの感染による胎児への影響

妊婦さんがりんご病に感染すると流産や死産が起きることがあります。

りんご病を引き起こすパルボウイルスB19というウイルスは、血液成分のひとつ「赤血球」のなかの細胞にとりついて細胞を破壊します。

一時的に赤血球が作られなくなるという症状が体の中で起こります。ふつうなら数日で回復し感染者が重い障害を負うことはありません。

しかし妊婦さんがりんご病に感染すると、お腹の赤ちゃんにも母子感染します。すると赤ちゃんの未熟な体の中の赤血球が破壊され、赤ちゃんが重度の貧血を起こしてしまうのです。

貧血がどんどん悪化すると、赤ちゃんがむくむ胎児水腫という危険な状態におちいります。こうなると赤ちゃんが亡くなることもあります。

りんご病の赤ちゃんへの感染率0629-1

特に妊娠20週未満のママがりんご病に感染すると、30%くらいの確率でお腹の赤ちゃんにも感染します。さらにその30%前後の赤ちゃんが胎児水腫を引き起こし、死産・流産となるといわれています。

つまり妊娠20週未満のママがりんご病に感染した場合、10%の赤ちゃんに死産・流産の危険が生じるということになり、決して見過ごせる事態ではありません。

【抗体検査を受けましょう!】ママの免疫の有無をチェック

ママの頬に顕著な発疹が出れば「りんご病に感染している」とわかります。しかし大人の場合は不顕性のことも多く、頬が赤くなる人は4分の1程度といわれています。

さらに自分にりんご病の抗体があるかどうかも大きなポイントになりますよね。一度感染すれば免疫がついていますが、不顕性感染だった場合は自分でも感染したかどうかわかりません。

そこでりんご病に感染しているか、またりんご病の抗体をすでにもっているかどうかを検査で確認してみましょう。

りんご病の抗体検査
りんご病の抗体検査は任意で行う血液検査です。無保険ではだいたい5000円前後で受けられます。上の子が感染したなど、ママが現在りんご病に感染している疑いが高い場合は保険が適応されることもあるようです。血液検査ではふたつの抗体がチェックされます。

Ig-M抗体

りんご病に感染してから3ヶ月以内に陽性となる抗体。つまり3ヶ月以内にりんご病に感染していたことになる。

Ig-G抗体

過去にりんご病に感染したことがある人が陽性になる抗体。つまりりんご病の免疫があるということ。

Ig-M抗体が陽性になった場合は産婦人科医と相談し、胎児水腫が起きていないか様子を見ていくことになります。
Ig-G抗体が陽性になった場合は自分で気づいていないうちにりんご病に感染し、すでに免疫を持っていたことになります。安心してくださいね。

どちらの抗体も陰性だった場合、ママは抗体を持っていないということになります。今後妊娠中に感染しないように注意していく必要があります。

妊婦さんがりんご病に感染したら…まずは産婦人科医に相談!

妊婦さんがりんご病に感染した、もしくは家族が感染し感染した可能性がある場合はすぐにかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

妊娠20週未満での感染がもっとも危険といわれていますが、りんご病の潜伏期間は10日~20日程度とかなり長めです。

ママにりんご病の症状が出たときにはかなり前に感染していたと考えられます。

さらにママの感染から2~17週間、だいたい10週間前後でお腹の赤ちゃんに影響が出始めます。赤ちゃんが感染してから4~6週くらいの間が特に危険で、中には亡くなってしまう赤ちゃんも出ます。

妊娠後期に入ると前期よりはリスクが少なくなると考えられていますが、安全とは言えません。妊婦さんは出産までりんご病感染に注意する必要があります。

ママがりんご病に感染し赤ちゃんに母子感染してしまった場合でも、妊娠に異常が起きず無事出産に至る赤ちゃんの方が多数です。しかし死産・流産する危険が1割あることは覚えておかなければなりません。

ママのりんご病感染が判明したら
ママがりんご病に感染したことがはっきりとわかったら、毎週妊婦検診を受けて超音波検査などで赤ちゃんに異常が出ていないか確認していくことになります。

万一赤ちゃんの胸やお腹の水分含有量が高くなっている場合は、胎児水腫が起きている可能性があります。出産可能な週数に至っている場合は緊急に出生させ、輸血などの処置を行って治療することもあります。

ママがりんご病に感染した場合は産婦人科医と二人三脚で赤ちゃんの成長を見守ることになります。無事生まれてくることが多いため、心配しすぎずに医師と相談しながら妊娠ライフを送りましょう。

まずは検査!妊婦さんのりんご病感染を防ぐための予防ポイント

抗体検査でママに免疫がないことがわかった場合は、予防がとても大切です。りんご病の予防法について調べてみましょう。

りんご病にはワクチンがない!予防の基本は【手洗い&うがい】

りんご病にはワクチンがありません。そこで予防接種で病気を防ぐことができないのです。

そのため、りんご病を防ぐにはどんな経路で感染が広がるかを知る必要があります。

りんご病の感染経路はおもに3つあります。

  • 飛沫感染
  • 接触感染
  • 母子感染

妊婦さんが注意したいのは飛沫感染と接触感染です。つまり基本中の基本ですが、手洗い・うがいがもっとも重要なのです。

またできるだけ人混み、とくに子どもの多い場所への外出を避けて外出時にはマスクをつけるようにしましょう。

検査も予防策!子どもが通う園の流行情報もしっかりチェック

免疫がない大人の場合、家族など濃厚接触する相手が感染しているとだいたい50%くらいの確率で感染してしまうといわれています。潜伏期間が長く不顕性感染も多いので、感染に気付かないこともあります。

そこでいつの間にかの感染に注意するためにも、抗体検査を受けることは大きな予防策のひとつと言えます。

妊娠中のママはもちろん、これから2人目・3人目を考えているママも積極的に検査を受けましょう。

上の子が保育園・幼稚園に通っていると静かに流行することもある病気です。妊娠中のママは園の先生やママ友と情報を交換し合って、万一流行のきざしがある場合は注意したいですね。

心配しすぎはストレスのもと!抗体検査で早めに対処しよう

日本人の成人はだいたい75%が免疫を持っているといわれています。また妊娠中にりんご病に感染したとしても、胎児に深刻な影響が出るのはだいたい1割程度です。

妊娠中にりんご病に感染するリスクがもともと少なく、9割近くの赤ちゃんは無事に生まれてきます。心配しすぎて何度も病院へ行けばインフルエンザなどほかの病気に感染するリスクも高まりますし、ストレスは妊婦さんにとって大敵です。

あまり心配しすぎなくても大丈夫です。安心して妊娠ライフを過ごせるように、また感染したときにすぐ対応できるようにまずは抗体検査を受けましょう。

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