子育て世代はローリングストックで日常から防災意識を!賢い備蓄方法

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2018/11/30

日本は自然的な条件から、災害が発生しやすい特性があります。近年は特に、異常気象の深刻化が問題視されています。

EM-DATという災害に関するデータベースによると、2016年度の自然災害の発生件数は世界第5位。大雪・台風・大雨・地震・噴火など、様々な災害が身近でいつ発生しても不思議はありません。

皆さんは、普段からどのくらい防災を意識して生活しているでしょうか。急に日常を奪われてしまう中で、最優先課題は食料の確保です。

最近注目されている新しい食料の備蓄方法「ローリングストック」はご存知ですか?今日から家族みんなで始められる防災です。一体どんな方法なのか、詳しい内容を確認していきましょう。

備えが大事!日常化させる防災

自然災害リスクの高い都市ランキングでは、東京横浜が世界第1位になったことも。日本に暮らす以上、このリスクを抱えながら生活していかなければなりません。

そのため、いかに「非日常(もしも)」を「日常(いつも)」にするのかがとても大切なカギになってきます。

災害が発生してしまうと、ライフラインがストップし、支援物資が届くまで数日かかることが予測されます。食料を確保するのがとても難しい中、最低でも72時間は自力で生き抜くことが求められます。

そこで、3日から1週間分くらいの備えは常に意識したいものです。農水省のHPでは、「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」を掲載し、普段から備えて置きたい物として、次の4つを推奨しています。

  • カセットコンロ
  • 缶詰

備蓄食料品の特徴や、備蓄を使った1週間分の献立例、備蓄品のチェックリストも付いていますので、参考にしてみてください。

【ローリングストック】とは?普段の生活に取り入れる備蓄

ローリングストック法とは、その名の通り「ストック(備蓄)」を「ローリング(回転)」することです。

普段から少し多めに食材や加工品を購入し、使ったら使った分を新しく買い足すことで、常に一定量の食料品を家に備蓄しておく方法が、このローリングストック法になります。

備蓄が大切なのはわかっていても、実際に食料をストックしておくのは管理が大変。保存食は、3年から5年と長期保存できるがゆえに、ついつい忘れがちになり、いつの間にか放ったらかしになっていて、気付けば消費期限切れ…という方も多いかと思います。

つまり、ストックが【非日常化】してしまっているのです。大切なのは、日常生活で消費しながら備蓄するということ。

普段の生活で消費・購入を繰り返しながら一定量の食料を保つことで、備蓄品の鮮度を保つことも可能に。食べ回しながらの備蓄によって、非常食の【日常化】を実現できます。

ローリングストックのイラスト画像

実践方法は簡単!家族でイベントにしても◎ 非常食なのに広がる選択肢

  1. 非常食を4日分ストックする。(朝・昼・晩で計12食分×家族の人数)
  2. 押入れや倉庫などではなく、すぐ使えるようなるべくキッチンに近い場所へ収納。
  3. 月に1度古い物から順に1食分食べる。(家族みんなで「〇日は防災の日」などと決めてみては?)
  4. 食べた分は、すぐ忘れずに補充。(これを毎月繰り返すと、12カ月で4日分のストックが丸々入れ替わる計算に)

防災用の保存食にこだわっていると、備蓄品のメニューは限定されてしまいます。しかし、1年で入れ替える習慣があれば、消費期限が1年のものでも、備蓄品として置いておくことが可能に。

こうすると市販されているレトルト食品はほとんどが対象になり、非常時にもメニューのレパートリーが増えるので、口に合った食事を選べます。

さらに、毎月イベントのように家族で非常食を口にしていれば、防災意識が高まるのはもちろんですが、自分の好みを見つけたり、美味しく食べるためのシミュレーションも。

缶詰を使ったレシピはWEB上にも豊富にアップされていますので、色々と試してみると、いざという時だけでなく、普段の献立にも役立ちますよ。

手前から古い物順に並べていくなど、配置も工夫してより使いやすく整えておきましょう。使ったら必ず補充することを意識していれば、日常生活でどんどん消費していってOKです。

どんな物をストックすればいいの?具体的な量は?

まず、ローリングストックに向いている食料備蓄の具体的な内容をご紹介しますので、参考にしてみてください。

  • 水→飲料水は1人当たり1日1ℓ、調理用を含めると3ℓ程度を目安×人数分。お茶やジュースなどがあっても〇(野菜ジュースなどは缶の方が保存期間が長い)ウォーターサーバーならタンクを少し多めに備蓄。
  • 主食→エネルギー源。2㎏の米があれば1食0.5合の計算で約27食分。他にも乾麺やカップ麺、切り餅もオススメ。
  • 主菜→タンパク質の確保。そのまま食べられる物が便利なので、レトルトパウチのカレーやスープ、フリーズドライ食品、缶詰など(缶切り不要タイプを選ぶ)。
  • 間食→ドライフルーツやナッツ類だと健康面でも◎。非常時は、食事に関してのストレスが溜まりやすいので、甘い物もあると嬉しい。季節に応じて不向きなお菓子もあるが、飴や羊羹、ビスケットなどは比較的保存に向いている。

食料品だけじゃない!生活用品も忘れずに備蓄しよう

災害が発生すると、電気・ガスなどのライフラインがストップしてしまう可能性が高くなります。食材だけがあっても、熱源がなければ調理ができず、意味がありません。

過去の災害被災者から多く聞かれたのは「温かいものを食べたい」という声。せっかくのローリングストック法を活かすためには、日用品の備蓄も欠かせません。

農水省でも推奨している通り、カセットコンロをはじめとした、生活用品の備蓄品も併せてご紹介します。

  • カセットコンロ→ボンベも忘れずに。1本で約65分間の燃焼。6本程度で1週間分が目安。
  • 乾電池→懐中電灯やラジオ、カセットコンロにも欠かせない。サイズも各種揃えて置くと安心。乾電池にも消費期限があり、液漏れの原因になるので注意が必要。
  • 季節用品→夏ならば蚊取り線香、冬ならば使い捨てカイロといった防寒用品など、季節ならではの物。
  • マッチ→コンロで火は着けられるが、焚火、ストーブに直接点火など、火が必要になる場面も。ライターでも良いが、保存中にガスが抜けてしまう恐れがある。
  • 衛生用品→非常用トイレ・ウェットシート・アルコール消毒・ポリ袋・ラップ・マウスウォッシュ・救急セット(常備薬)
  • マルチに使える日用品→トイレットペーパー・ガムテープ・ペン・軍手

消耗しない用品に関しては、防災袋に入れて、出し入れしやすい場所に保管しておけば大丈夫です。

実は食料品以外にも、電池など消耗する生活用品はたくさんあります。いざという時に使えない、ということがないよう、こちらも普段の生活で消費しながら補充していく方法を取りましょう。

災害時のストレスを減らすために 多数のメリットも

突如として日常生活が送れなくなり、戸惑いと不安が続く毎日。小さな子を抱えていれば、その不安は増すばかりです。

ストレスは日を追うごとに溜まる一方で、【食事】というのは精神面・体調面、両面にとても大きな安心感を与えてくれます。

災害が発生し、ただでさえも強いストレスと闘わなければならない中、せめて食生活だけでも食べ慣れた物を口にできたら、ストレスの軽減に大きな力を発揮してくれるはずです。

そういった点からも、ローリングストック法は非常に優れた防災対策のひとつといえますが、ほかにもメリットはたくさんあります。

  • 備蓄に対する取り組みを始めやすい
  • 放ったらかしになりにくい
  • 災害時、いつもの食生活に近い状況を作れる
  • アレルギー対応に困らない
防災意識が高まりつつあるといっても、日本気象協会の防災に関するアンケートでは、3日分の家族の食料を備蓄している、と答えた家庭は約2割程度。まだまだ備えは充分ではない現状です。

その点、ローリングストック法であれば、普段の食生活の延長上で始められ、管理も生活の一部として行えるので、取り組みやすい備蓄方法といえますね。

また、食物アレルギーを持つお子さんが増える中で、災害時にはアレルギー用の物資が手に入りにくいという状況が予測できます。

過去の大規模災害時には、アレルギー用の物資が一般の物資に紛れてしまい、なかなか欲しい人の手元に渡らない、といったケースもあったそうです。食物アレルギーをお持ちのお子さんがいらっしゃる場合は、特に多めに備蓄しておくと安心ですよね。

有名企業も積極的に推奨するローリングストック法

このようにとても効率が良いローリングストック。実は様々な有名企業も、この方法を推奨する動きがあります。

イオン
ローリングストックに最適なプライベートブランド商品を、食品から衛生商品、生活雑貨まで多岐に渡って販売している。アレルギー対応食はもちろん、食事に不安があるシニア世代を対象としたやわらかい食品や、ペットフードも充実。
無印良品
「いつものもしも」という考えで、非常時の備えを提案している。日用品やレトルト食品の他、防災グッズを収納するケースや、家具の転倒防止グッズ、衣料品まで幅広い品揃え。特に停電時に重宝する灯りは、自動点灯のものや、防雨型、単三電池でも単四電池でもどちらでも対応可能な懐中電灯など、災害時を想定した商品が多数。
ハウス
豊富なレトルト食品がラインナップ。電気・ガス・水道が全て遮断されても、温めずにおいしく食べられるカレーは、賞味期限も3年と長い物が用意されている。幼児用のレトルト食品も充実しており、味の種類も多彩。
アマノフーズ
画期的な防災教育普及活動に取り組むNPO法人「プラス・アーツ」と共同企画で作られた、フリーズドライ食品3日分の詰め合わせ「ローリングストックBOX」を販売。(税込¥5,000)お湯が用意できる環境を作ることができれば、フリーズドライ食品は軽量でコンパクトなため、収納も持ち運びも場所を取らずに便利。家族の人数に応じて、小分けに買い足すことも可能。
花王
特に生活用品に重点を置いて、ローリングストック法を推奨。水が使えない時の除菌、汗や体の汚れやニオイの問題、口腔ケア、ストレス解消のためのリラクゼーション、避難所や居住スペースの清掃など、食べ物だけではない避難生活の必需品を紹介している。

どの企業の商品も、手の届く距離にある場合が多いので、手軽に買い足すことが可能ですし、もちろんネット通販もできます。何から揃えればいいのか…と悩んだら、こういった有名企業が推奨している商品から選んでみてもいいのではないでしょうか。

大切なのは続けること!家族みんなで防災意識を高めよう

ミドリ安全が行った、防災の日の実態調査によると、「ローリングストック法を実践している」という家庭は全体のわずか14%に満たないという結果に。

70%以上が「実施してみたい」と答えていても、費用面・保管場所・揃える物がわからない、といった理由で二の足を踏んでいる家庭が多いようです。

「防災用の備蓄品」と聞くと、なんだか難しいような気がしてしまいますが、日常生活の中で普通に食べたり飲んだり使ったりしながら災害に備える、と考えれば、少しは気楽に始められるのではないでしょうか。

災害はいつ発生するか誰にもわかりません。そのための備蓄は「続けること」が最も重要。それなら家族みんなで、より続けやすい方法を見つけたいものですね。

今日から始められるローリングストック法、この機会に実践してみましょう!

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