2歳の子供の効果的な叱り方!心理学に基づく子供心を理解したしつけ
1歳のころはお人形さんみたいで自分の子供が可愛くて仕方ない。しかし、2歳になったとたん「ヤダヤダ!」の連発でパパママはもう育児にクタクタ…
「一体この子は何を思ってるの?」と嘆いてしまいますよね。
そんな子育てに悩めるパパママたちに、子供がなぜ反抗的な態度を示すのか、どういう風に叱ると子供の成長につながるのかについて、心理学者、エリク・H・エリクソンの発達心理学を参考にしながら、紹介していきます。
この記事の目次
2歳でイヤイヤが始まる理由、それは成長の証!世界が広がる時期
1~3歳の幼児前期という時期は子供にとって沢山の発見があり、世界が広がる大事な時です。
とくに2歳という時期は「歩くこと」「話すこと」の能力が開花し、目覚ましい成長を遂げる時期でもあります。
「歩くこと」は思うままに行きたいところへ行くという行動の自由を、「話すこと」は意志の疎通をする自由を子供に与えます。
これら2つの能力は子供が自分の思うままに行動するという自立への第一歩です。またそれと同時に、子供にとって自由をコントロールしなければならない試練の始まりでもあります。
この試練こそが多くのパパママが悩まされる子供のイヤイヤ期なのです。
2歳は心の葛藤が多い時期
冒頭でも言いましたが、ここでアメリカの心理学者、エリク・H・エリクソン(1902-1994)についてお話しします。エリクソンは人間の精神の発達について研究していました。
彼は、一生は8つの段階に分類され、その発達段階によって人間が精神的に成長するためにクリアしなければならない発達課題というものを挙げました。
1~3歳の子供の発達課題は「自律性vs恥・疑惑」です。
人間の発達を、加齢による生物学的な成熟と衰退のみを基礎としたものではなく、「人間とは誕生から死まで生涯をかけて発達する存在である」ことを前提として、出生から、子ども、大人、老人に至るまでの発達を包括的に見ていくことを「生涯発達」といいます。
エリクソンは、フロイトの心理性的発達段階を拡張し、この生涯発達という観点を明解に示したライフサイクルという概念を示しました。
エリクソンのライフサイクル論によれば、一生は「乳児期」「幼児期」「児童期」「学童期」「青年期」「成人期」「壮年期」「高齢期」という8つの段階に分類されます。
そして、それぞれの発達段階において、乗り越えるべき発達課題があり、それが達成できない場合に心理学的な危機の状態に陥るとしました。
さくっと説明してしまいます。
- 「自律性」
-
自分の行動を自らが決定し、実行することです。この時期の子供は身体の成長が目覚ましいため、自分の行動をコントロールしはじめる時なのです。
- 「恥・疑惑」
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失敗にたいして抱く否定的なイメージです。私たち大人は人生のなかで様々な失敗をとうして成長してきたためある程度の失敗には免疫がついていますよね。ちょっと恥ずかしい思いはします。
子供は失敗を私たちほど経験していません。失敗という体験に初めて出会うのです。だから初めての失敗体験は子供にとってはものすごい恥!「こんなこと自分にできるの?」と自分の能力を疑ってしまいます。
この発達課題、「自律性」と「恥・疑惑」を味わうなかで、パパママの叱り方が重要となるのです。
「恥・疑惑」よりも「自律性」を多く味わうと子供の自己肯定感が強まり、精神的な成長をより促すことができます。
そしてこの発達課題をクリアすると子供は「意志」という徳を得ます。この「意志」は子供が自分の行動をおこなうための原動力となるものです。
2歳という年齢はこの「自律性」と「恥・疑惑」を味わっている真最中!子供の心のなかでこの2つが場所を占領しあい、自己を形成しているという葛藤がおきています。これが反抗期なのです。
少しマニアックな話になってしまいましたが、パパママが2歳児の育児に悩みを抱えている一方で、子供も様々な葛藤にでくわし苦しんでいるということだけは理解しておいて下さい。
2歳はパパママから自立する時期!だから反抗的になる
自分の「意志」を自由に発動できることは、子供にとってたまらなく楽しいことです。「歩くこと」「話すこと」は自分で行おうという思い、「意志」がないとできないことですよね。
今までパパママに抱っこしてもらってお出かけ、言葉が話せないために泣いてアピールして自分の気持ちを察してもらえるように、何から何までパパママに頼りっぱなし。でもそれももう卒業。
「歩くこと」「話すこと」という自由を与えられたため自分の「意志」で、ある程度のことができます。自分で自分のことができる、このことがたまらなく子供にとって楽しいのです。
パパママの皆さん、子供がなかなか言う事をきいてくれなくて困ることありますよね。
でも、それは子供が手にしたばかりの自由という楽しみを制限され、「イヤイヤ!」とご機嫌ななめになっているのです。
ですが、いくら楽しいからとはいえ駄目なものは駄目ですよね。ここでどう子供に叱れば良いかが重要となってきます。
イヤイヤと言いつつもパパママが好きだから子供も頑張れる
今までの説明を聞いている限り、この時期の子供はやりたい放題な感じでよね。
しかし、2歳はパパママからうけていた愛情を今度は自分から返そうとする時期でもあります。それにはパパママとの絆が重要です。
ここまでくるのに我が子を優しく腕の中に抱き、泣くたびに寄り添うというパパママの子苦労は子供との絆というかたちで残ります。
この絆は子供に「パパママが大好きだから、パパママが喜ぶことをしなければならない」という自分の欲求をコントロールするハンドルになるのです。
「イヤイヤ!」を連発しながらも子供は自分の欲求をコントロールし、パパママを喜ばせようと苦悩しているのです。子供の頑張りを忘れないであげていて下さい。
2歳の子供の効果的な叱り方のポイント
先に述べたことをふまえ、いよいよ具体的にどのようなイヤイヤ期の対処法があるかをご紹介していきますね。
2歳児を叱る上で大切なポイントはいくつかありますが、大前提として、”同じ土俵で戦わない”ということを頭に入れていてください。
2歳児には理屈で話をしたり、言葉責めで押さえつけようとしても効果はありません。いつでも余裕を持ち、子供の対応に応じて臨機応変に対処できるようにすることが大切です。
実は、男の子と女の子で効果的な叱り方が違う!
簡単に男の子と女の子で、どういう叱り方が良いかを説明します。叱る場所が家であると仮定した場合、男の子と女の子でどういう叱り方が良いかを説明します。
- 男の子への叱る時
-
他の家族がいる前(リビングとかが理想的ですね)で、大きな声で叱る。
- 女の子へ叱る時
-
人のいない部屋にうつし、声を荒げずに静かに問いただす。
男の子、女の子の叱り方で共通するポイントとして、同じ土俵で戦わないということがあります。
ついむきになって、パパママの怒りの声を子供に浴びせてまくっても、子供には瞬時に情報を頭の中で処理する機能が備わっていないため、理解できずにいます。
子供の反応を見ながら、それに応じてどうアプローチするかを臨機応変に考えなければなりません。
なぜ女の子と男の子で効果的な叱り方が違うのか?
先ほども言いましたが、男の子と女の子で叱り方が違います。これは人間の進化の過程に関わっていることなんです。
太古の昔、それはまだ人間が自然のなかで暮らしていた頃のことです。群れをなして生活していくために、男は狩りを、女は男が留守の間群れを守るという役目を担っていました。
そのなかで男の間では競争的な社会、女の間ではコミュニケーションを大事にする社会とそれぞれ違った社会を形成し、ともに生活してきました。その社会の形成の仕方が今の現代社会にも影響しているということなんですね。
男の子は相手との優劣を気にして成長します。女の子は他人との調和を大事にしながら育つのです。
- 男の子
-
説教されている場面を他人に見られる事で、他人に差を付けられたと無意識のうちに感じます。
差がついたぶんだけ取り返そうと、親が喜ぶことをしたりして、自分の評価をあげようと頑張るのです。
- 女の子
- 優劣ではなく、対等であることを望みます。男の子よりも仲間意識が高いです。そのため人前で怒られると自分は浮いた存在であると思い込んでしまいやすいのです。
叱られている姿を他人から隠す事で、女の子がもとからもっている良さを引き出しながら、教育することが出来ます。
叱るとき、甘えさせるときでメリハリをつける
お友達が持っているおもちゃを横取りしたり、「○○ちゃんあっちいけ!」などと、子供が良くない言動をした場合、ちょっと注意するのではなく断固とした態度で叱って下さい。
ここで子供が大泣きしようと厳しく叱りましょう。自分の行動が誤っていることを自覚させなければなりません。
魔法の言葉があるので、これを伝えてあげて下さい。
「自分がこういうことされても良いの?」
2歳の子供は主観的な考えがどうしても強く、客観視するのが難しいです。そこで、この魔法の言葉を使い、相手の気持ちを考えるよう促します。
たいていの子供はこの言葉を聞くと静かになるか、嫌悪感を抱いて泣き出します。でもそれは、自分の過ちに気付いている証拠です。ちゃんと成長につながっています。
他にも子供を制する術として、「なんでこういうことするの?」「これで良いの?」という質問返し。
またお買い物のときに欲しいものを諦めさせるときは、他に選択肢を与えるということもとても効果的です。「これとこれだったらどっちがいいの?」などです。
親の独断ではなく子供にも選択する権限が与えられているため、納得してくれることが多くなるのです。
ですが、注意して欲しいことがあります。それは叱る時間を1分程度にすることです。叱られるという体験に子供はあまり慣れていません。大人でも叱られるのは嫌ですよね。
2歳の子供にとって、叱られるのは子供にとって大恥です。しかしとても必要なことでもあります。だから短く叱ることで、子供が感じる恥を大きくなりすぎないようにするのです。
そして甘えてきたときはうんと甘えさせて下さい。「自分を叱ったりするけど、パパママが自分にとっての1番の味方」ということを忘れさせないためです。
これまでの反抗的な態度にイライラすることがあったとしても、必ず受け止めてあげましょう。自立しだしているとはいえ、まだまだパパママの助けが必要です。
子供にとって叱られることは大事な体験。ですが過度な説教は子供の今後の人生を崩壊へと導きます。
親の都合で叱ってはいけません!
ある時は同じことをしてしまったら感情的に叱って(怒って)しまったり、昨日は叱らなかった事を今日は叱るといった、大人の都合で叱る事は子供を混乱させてしまうのでやめましょう。
子供が人の顔色を見て生活する情緒不安定な子になってしまう可能性も…。
一方的に叱るもNG!子供の言い分も必ず聞いてあげて
子供の話を聞かないで一方的に叱ったり、誰かと比較してその子の人格自体を否定するような叱り方もいけません。
こういった叱り方をしてしまうと、叱られた内容について考えることをせずに、「自分は愛されていない」と子供は傷ついてしまいます。
パパとママが一緒になって叱るのも避けて!子供の逃げ場がなくなってしまう…
パパ・ママ一緒に叱ってしまうと、子供の逃げ場がなくなってしまい、追いつめられてしまうので、パパとママは必ずどちらかが叱る役、もう1人は気持ちを受け止めてあげる役に徹しましょう。
もちろん、危険な事などを叱るという場合は、2人とも同じ気持で向かわなければなりませんが、一人が叱り、もう1人は心配した気持ちを伝えることが必要です。
ちょっとした失敗やいたずらについて叱るのであれば、叱る人と反省した気持ちを受け止めてあげる人とに分かれて、子供が逃げこめる場所を用意してあげましょう。
生活スキルを叱らずに上手に教えるポイント
着替え・ご飯を食べる・帰宅後手洗いやうがいをするなど、生活していく上で必要になる”生活スキル”を教える時は、決して叱らないで!
初めから上手にできなくて当たり前!という気持ちを忘れずに接しましょう。
「なんで○○ができないの?」「どうして△△しちゃうの?」などできない事を責めるように叱るのは、その子のやる気を損ねるだけでなく、生活スキル自体を「苦痛な事」として認識してしまう結果になりかねません。
忙しい朝には、この生活スキルの事に対して目に付くことも多いと思います。見守るということはパパやママににとって大変なストレスですよね…ついつい声を荒げて叱ってしまいがちです。
もし見守っていてイライラしてきたら、手助けをしてあげましょう。
そして「明日はもっと1人でできるようになろうね。今日もよく頑張ったね」と応援しつつ今日の頑張りを褒めてあげて、明日につなげてあげましょう。
生活スキルを教えていく時は、”焦らずゆっくり”につきます。1日1つの事ができるようになれば十分!という気持ちで教える事が大切です。
教えてあげる時は、ママやパパに時間的余裕のある時を選びましょう。慌ただしい朝に色々と教えるとイライラしてしまいます。
例えば洋服の着方などは、お風呂上がりのタイミングや、休日の朝に教えたりなどで対応できますよね。
気持ちにゆとりが持てる、急いでいない時間にしっかりと教えてあげられるという環境を選びましょう。
また、できない事に対しては、自力でできるようになるのを見守る事も大切ですが、手助けする事も大切です。
子供ができなくてイライラしているなと感じたら、手助けしてあげましょう。
生活スキルは身に付くまでは、毎日毎日教えて練習させる事が基本!です。イライラ怒らずしっかりと見守ってあげてくださいね。
育児に疲れ、我慢できない時は遠慮せず誰かに相談を!
子供をきつく叱っては駄目なことをわかっていてもつい感情的になってしまい、子供がさらに反抗的な態度を示し、ストレスがたまってもう限界!という時は遠慮せず誰かに相談して下さい。
今後の親子関係に影響したり、育児中のストレスがたまり子供に怒鳴ってしまったり、精神病をわずらってしまう可能性もあります。
相談する相手はパートナーやママ友、ご自分の親御さんとか、身近な人が良いでしょう。
なかには「旦那は仕事が忙しくて育児に参加できない」「親に迷惑をかけたくない」という方もいるかもしれませんね。
そういう方には育児相談アドバイザーをおすすめします。
- 育児相談アドバイザー
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子育て経験を持つ方や、看護師、保育士など専門知識を持っている方もいます。
子育て相談会などで相談を受けると有料となることもありますが、今ではメールを送って無料で相談することもできます。
1人で悩まず、誰かに相談しましょう。相談してきたパパママの勇気を受け止め、一緒に子育てについて考え、親身に話を聞いてくれる方がきっといるはずです。
叱り方には個人差がある。叱り方に正解は存在しない
ここまで具体的な叱り方をご紹介してきましたがこれはあくまでも1つの案です。個人差は必ず存在し、全ての子供にこれらの叱り方が有効ということではありません。
私自身、女ですが怒鳴られた方が頑張ろうという意欲が増します。
我が子のことを1番理解しているパパママが、我が子に合った対応を知っていると思いますので、その子にあった方法を探してあげてくださいね!
反抗しているかと思えば、急に甘えてくるのが”2歳児特有の反抗期”の特徴です。
一歩引いた所から眺めるような距離感で、子供と付き合うようにしてみましょう。叱り方に正解はありません。適切か適切でないかが大切なのです。
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あさん
男の子は恥をかかせるような叱り方をしない方がいいと聞いたことがあるけど家族の前ならいいってことですか?
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はさん
「男の子は説教されている場面を他人に見られる事で、他人に差を付けられたと無意識のうちに感じます。差がついたぶんだけ取り返そうと、親が喜ぶことをしたりして、自分の評価をあげようと頑張るのです。」
そうですかね?ご自身が怒鳴られた方が頑張ろうというタイプだからそう思うのでは。
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