ターナー症候群。その特徴や症状は?女の子特有の染色体異常
ターナー症候群は、女の子にのみ起こりうる先天性の遺伝子疾患です。あまり聞きなれない名前かもしれませんが、染色体の異常によって引き起こされる障害になります。
ターナー症候群は、いったいどのような症状を引き起こすのでしょうか?また実際に生活している人は、どのように病と付き合っているのでしょうか?
この記事の目次
ターナー症候群とは、女の子に現れる染色体異常
ターナー症候群とは、女の子のみに起こる染色体異常で、様々な先天性疾患の要因にもなっています。
女の子の性別を決める染色体は、通常XXです。ところが、ターナー症候群の女の子は、2つのXのうち1本が不足していたり、損傷しているなどの異常が見られます。
- XXの内、Xが1本不足しており、Xとなっている場合
- XXの内、1本が損傷している場合(モザイク型)
このXの染色体に異変がある事により、体に様々な症状が現れる遺伝子の障害です。
母親がターナー症候群の場合を除いて、原因の多くが、受精の時や受精卵が分裂する初期の時期に起こる突然変異とされています。
また、ターナー症候群の胎児の95%が流産してしまうと考えられており、そんな状況で生まれてくる赤ちゃんは、とても生命力が強い子供と言えるでしょう。
先天性の染色体異常ではありますが、適切な治療を受けて、幸せと感じる人生を送ることができている方も多くいらっしゃいます。
出生前の検査を受けておくと早期に病気に気付けます。出生前診断についてはこちらを参考にしてください。
症状は成長とともに現れてくる場合
ターナー症候群の症状は、体に現れることもあります。例えば、耳の形が奇形だったり、繰り返し中耳炎を患う事も。また、低身長であったりと、目で見てわかる部分にも現れることがあります。
また、成長とともに出てくる症状もみられます。例えば、乳房の発育の未熟・無月経。と、女性の第二次性徴が遅い。というのも特徴の一つです。
これは、成長に必要なホルモンの分泌が少ないことが原因と考えられています。
他にも、心臓や腎臓の病を引き起こしやすいというリスクも持っていますので、体調管理には注意が必要になってきます。
子供がターナー症候群と気が付ないケースも多く、日本全体で2歳までに診断されるのはわずか10%にも満たないと言われています。
子供の成長や症状は、ターナー症候群に気が付くきっかけとなります。ママの感は意外と当たります。「あれ?」と思う事があれば、医師に相談するようにしましょう。
ターナー症候群によくみられる低身長
ターナー症候群でよく言われるのが、低身長です。身長の差は、3歳くらいから気が付く場合もあります。
身長の伸び方は、子供がターナー症候群と気が付くきっかけの1つです。定期検診で身長の伸びがあまり良くない事で、気が付く場合もあります。
原因はホルモンの分泌が少ないため、骨が正常に形成されないことが考えられています。
大人になっても135㎝ほどしか伸びないため、コンプレックスに感じてしまう事があるかもしれません。
5歳~6歳には治療が始まりますので、医師と早い段階から治療計画を立てておくと安心でしょう。
ターナー症候群でも、「モザイク」(染色体の損傷が原因のターナー症候群)と呼ばれる染色体異常の場合、健常な女性と身長が変わらない方もいますので、症状は個人差があると言えます。
合併症に注意して生活する必要がある場合も。
ターナー症候群そのものは、命に関わる重大な障害というわけではありません。ただ、合併症を引き起こしやすいという点では、健常者より健康に注意しておく必要があります。
引き起こしやすい合併症
- 大動脈狭窄
- 大動脈二尖弁
- 心臓血管系障害
- 成長ホルモン分泌阻害による骨粗しょう症
- 腎疾患
個人差はありますが、健常者より体調や生活には注意が必要になります。
ホルモン分泌が少なく、妊娠が難しくなる傾向がある
ホルモン分泌が少ないため、女性的な成長が未熟になる傾向があります。胸の発達が未熟なだけでなく、子宮の発達が未熟になることもあります。
その為、自然に思春期が来るのが約20%ともいわれ、月経が来ない。無月経の症状が現れてしまったり、将来的になかなか妊娠できない体になることもあります。
この場合、女性ホルモンを投与するという治療を開始します。
ホルモン投与の方法は、12歳~14歳のころから内服をはじめ、徐々に量を増やしていきます。
徐々に増やしていくことで、胸が膨らむなど女性らしい体つきとなり、月経も始まるようになります。月経が来る頃には、更に薬の種類を増やし、通常の生理周期を促していきます。
女性ホルモンの投与は、中途半端に止めてしまうと無月経が再発してしまう可能性がありますので、発育が終わるまで投与をし続けることになります。
長い治療となりますが、前向きにゆっくりと医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
妊娠ができても、リスクのある出産となる
昔であれば妊娠すら難しいと考えられていましたが、今では治療をすることで、妊娠・出産ができる確率が上がる場合があります。
このリスクは、もともともっている疾患や症状によっても異なります。個人差はありますが、出産を考えるのであれば、設備の整った大きな病院で出産をすることになるでしょう。
体外受精など出産も様々な方法があります。子供が小さい場合、数年先にはまた新しい医療技術が発見されていることも考えられます。
新しい情報を手に入れながら、ご自身にあった方法で子供の事を考えていくとよいでしょう。
体外受精についてはこちらに詳しく載っています。
耳が聞こえづらい。そんな症状も…
生まれた時から、耳の形が奇形であったり、位置がずれていたりすることもあります。
生まれ持った耳の形や状態により、中耳炎になりやすい傾向があります。
中耳炎を繰り返すことで、難聴になってしまう可能性があるので、注意が必要です。中耳炎が疑われる場合は、できるだけ早い治療が必要になります。
また耳の形に関しては、女の子にとってコンプレックスに感じやすい場所でもあります。何とかしてあげたい!そう感じる親も多いことでしょう。
治療方法の一つとして、ホルモン治療を行う
残念ながら今の医学では、染色体を治すような根本的な治療方法はありません。そのため、ターナー症候群の治療は、対処療法が一般的です。
低身長の場合であれば、成長ホルモンを投与していきます。また、女性ホルモンの不足によっておこる障害は、女性ホルモンの投与によって補っていくことになります。
症状には、個人差があるのでそれぞれに合わせた手術を行い、普通の生活をしていけるように治療を行っていくのが一般的です。
治療期間は比較的長期間にわたって行われます。ホルモン剤の投与であれば、幼少期から発育が完了するまでの、何年にもわたっての治療を行うことになります。
定期的に摂取するホルモン剤の金額も、長期になればかなりの金額になり、負担も大きくなります。
途中でやめてしまうと、症状が戻ってしまう事がありますので、国の助成金を利用してしっかりと治療を進めることをお勧めします。
治療をして普通に生活をしている方もいる
ターナー症候群の方の中には、大きな病気をすることなく成人を迎え、結婚をしている人もいますし、子供を産んでいらっしゃる方もいます。
子供が難しい場合は、養子という形で子育てをして、幸せな家庭を築かれている方もいます。
その方々も手術を受けられたり、生活の上で体調に気を付けながらターナー症候群と付き合っています。
皆さん時に様々な困難を経験されながらも、「その経験のおかげでたくさんの事を学ぶことができた。」というメッセージを発信しています。
症状によっても違うかとは思いますが、周りのサポートで健常者と同じように、その子がもって生まれた能力を引き出し、伸ばしてあげることができるようです。
親の心のサポートも大切。1人で悩まず周りに頼ろう
ターナー症候群を患っている子供には、親のサポートは欠かせません。それは通院のみならず、精神的なサポートや体のサポートが必要なケースもあるでしょう。
不安を解消するためにも、医師に相談したり 同じ症状の子供を育てている方と話したり、コミュニティーに参加するのもよいでしょう。
今後ますます医学が発展すれば、さらに良い治療方法が見つかっていく事も期待できます。コミュニティーに参加することで、そのような情報も耳に入りやすくなるでしょう。
一人で悩まず頑張りすぎず!です。親が笑顔でいるためにも、周りのサポートを受ける事も必要です。
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