陣痛促進剤は主に4つのケースで使用!効果やリスクについて
臨月になり、赤ちゃんがお腹で成長して出産が近づいてくると、子宮収縮を起こすホルモンであるオキシトシンがママの体内で分泌されるようになります。
ところが、陣痛がスムーズに起こらなかったり、陣痛が起こってもなかなか間隔が狭まらず弱い陣痛のママになってしまうことがあります。
こういった時には、陣痛促進剤が使用されることがあります。しかし、薬剤を使っての出産に不安になったり、赤ちゃんへの影響や副作用を心配する人も少なくありません。
今回は、陣痛促進剤とはどんなものなのか、どういったケースで使用されるのか、影響や副作用はあるのかを、かかる費用とともに見ていきましょう。
陣痛促進剤の主成分は2種類…効果の表れ方の違い
陣痛促進剤には2種類あり、それぞれ主な成分は体の中で自然に作られているホルモンです。
また、2種類の薬剤が同時に使われることはなく、どちらかを使用して効果がなければ時間を置いてもう一方の薬を投与し、様子を見ることになります。
では、それぞれどんなホルモンがあり、投薬することでどのような効果があるのでしょうか。また、投与方法はどのような形なのでしょうか。
- オキシトシン
- プロスタグランジン
- 効果の出方
- 費用
かかる費用も合わせて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
オキシトシンは即効性のある陣痛促進剤
オキシトシンは点滴で投与される陣痛促進剤で、即効性があり、すぐに規則的な子宮収縮が起こるのが特徴ですが、出産につながるような効果的な陣痛となるかは個人差があります。
そのため、薬剤を使用する前にある程度子宮口が開いている時や、何らかの事情で早急に赤ちゃんを分娩しなければならない時に使用されることが多いです。
ママと赤ちゃん状態を見ながら投与する量を調整しやすく、万が一の時にすぐに中止する事が可能なので、胎児の心拍やお産の進み具合、陣痛の強さや間隔などを細かくチェックしながら、時間をかけて少しずつ投与していきます。
プロスタグランジンはより自然に陣痛を起こす誘発剤
プロスタグランジンの投与方法は点滴と経口錠剤の2種類があるので、ママの様子を見ながら投与方法が決められます。
投与されると、不規則な子宮収縮から徐々に少しずつ規則的な子宮収縮となり、陣痛につながっていくのが特徴です。
陣痛促進というよりも陣痛を誘発する前駆陣痛を起こす役割に近いので、即効性が求められる場面ではあまり使用されない傾向があります。
個人差の大きい薬の効き方
ここまで陣痛促進剤の成分について解説してきましたが、ここから分かるように陣痛促進剤そのものがは体に害があるものではありません。
ただし、陣痛から出産までかかる時間に個人差があるように、陣痛促進剤を投与してから効果が現れるまでの時間にも個人差が大きいという事実があります。
陣痛促進剤が投与されてすぐに陣痛がスタートし、数時間後には出産したというケースもありますし、陣痛が起きるまで1日以上時間がかかった人もいます。
陣痛促進剤を使っても効果が現れない場合もあることを事前に念頭に入れておくと、いざ薬の投与となった時に慌てずに落ち着いて処置を受けられると思います。
陣痛促進剤は主に保険適用外
陣痛促進剤の費用は、分娩施設の病院や投薬された量、投薬の目的によって異なりますが、少なくとも1万円以上はかかることが多いようです。
特に薬がなかなか効かずに投薬量が多くなった場合は数万円になることもありますが、事前に投与量を決めることはできないので費用をあらかじめ知ることはできません。
自然分娩を誘発する目的で使用された時や、無痛分娩時に投与された時は保険適用にはなりません。
しかし、出産途中でトラブルが起こって緊急で陣痛促進剤を投与することになった場合は保険適用となります。
代表的な陣痛促進剤を使うケース4つ
ここまで陣痛促進剤そのものの効果などについて見てきましたが、実際にどのような場面で陣痛促進剤の投与が決められることが多いのでしょうか。
- 予定日超過
- 前期破水
- お母さんの状態
- 微弱陣痛
いずれのケースでも、陣痛促進剤の投与の前には必ず医師から説明がなされて、薬品投与の同意を求められます。
では、具体例を挙げながらそれぞれひとつずつ詳しく見ていきましょう。
1. 予定日超過、正産期超過にもかかわらず陣痛が起こらない場合
予定日付近から胎盤の機能が徐々に低下してくるのですが、いつまでもお腹の中に赤ちゃんがいると赤ちゃんの状態が悪化してしまう可能性があります。
赤ちゃんが十分に成熟していれば、出産して胎外に赤ちゃんを出すことで胎盤機能低下の影響が及ぶことを避けられるからです。
▼陣痛がこない理由と陣痛促進への対策についてはコチラも参考にしてみて!
2. 陣痛よりも先に破水が起こっている場合
陣痛よりも先に破水が起こる事を「前期破水」と呼び、出産全体の2割ほどを占めます。
また、破水の際に大量の羊水が流れ出てしまうと、体内に残っている赤ちゃんが苦しい思いをすることもあります。
そのため、ママと赤ちゃんの状態を見ながら陣痛促進剤の使用が検討されます。
3. ママの状態と分娩方法
妊娠高血圧症候群などのリスクがあって母子ともに早期の出産が望ましい場合、計画的な自然分娩の場合など母子ともに早期の出産が望ましいと判断される場合に、陣痛促進剤で陣痛を誘発することがあります。
また、無痛分娩の際にも陣痛促進剤を使うケースが多いです。
無痛分娩は全身麻酔ではなく部分麻酔によるものですので、赤ちゃんを出産する感覚はありますし、完全に陣痛を感じないわけではありません。
さらに、麻酔投与後に陣痛が弱くなった場合にも陣痛促進剤が投与されます。
4. 微弱陣痛になってしまった場合
通常は陣痛が始まって時間が経過するにつれて徐々に痛みが強くなり、陣痛の間隔も短くなっていきます。
しかし、陣痛が弱くて子宮口が開かない場合は赤ちゃんが降りてこられず、出産に至れなくなってしまいます。
これらを防ぐために、微弱陣痛がある程度続いた場合に陣痛促進剤の使用を検討します。
陣痛促進剤の投与リスクと副作用
陣痛促進剤自体に危険性がないものの、人工的に陣痛を促す薬であることには違いありませんので、リスクや副作用が心配になる人もいると思います。
ここでは、陣痛促進剤の投与で考えられるリスクと副作用について見ていきましょう。
- 過強陣痛
- 起こりやすい副作用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
最も注意すべき「過強陣痛」
陣痛促進剤を使用する際に最も注意するべきなのが「過強陣痛」です。
これは副作用ではなく、陣痛促進剤は投与された分陣痛が強まる特性をしっかりと認識し、薬剤の投与量や投与の方法に注意が必要であるといえます。
過強陣痛は陣痛が強く出すぎてしまい、胎児を圧迫して胎児機能不全を起こしたり、子宮に傷がついてしまったり子宮破裂を起こしてしまうリスクがあります。
こうした事例を踏まえて、陣痛促進剤の最大使用限度量の改定が1993年に実現し、日本産婦人科学会からは再発防止の報告がされています。
過強陣痛のリスクを回避するために、分娩監視装置を付けての陣痛間隔と胎児心拍のモニタリングを行いながら、慎重に徐々に陣痛促進剤を調整していきます。
危険な兆候があれば、投与をすみやかに中断して緊急帝王切開などの緊急手術に切り替えることもあります。
ただし、子宮破裂や子宮に傷がつく、胎児機能不全などは通常の陣痛であっても起こりうるリスクですので、あらかじめ念頭に置いておくと良いでしょう。
陣痛促進剤の点滴で考えられる副作用
陣痛促進剤の点滴の副作用で代表的なものは以下の通りです。ただし、起こる可能性は0.1~5%未満であり比較的稀な副作用ではあります。
- 発汗、発熱
- 手指がしびれてしまう
- 頭痛がしたり、気持ち悪くなる
- 血圧が下がったり不整脈が生じる
- 呼吸が苦しく感じる
- アナフィラキシー
- チアノーゼ
特に一人目の初産の場合は、陣痛の痛みがどんなものなのかわからない状態でお産がスタートします。
陣痛促進剤を怖がりすぎないで…母子の健康を第一に
陣痛促進剤について見てきましたが、リスクや副作用を知ると使用が怖く思えるかもしれません。
しかし、陣痛促進剤は安全に正しく使うことで陣痛を後押しし、分娩を円滑に進めて母子の負担を軽減することが出る薬です。
分娩時のトラブルというのはどんな出産方法であっても起こり得ることですので、陣痛促進剤の使用を心配しすぎる必要はありません。
もし陣痛促進剤について不安な事が少しでもあれば、事前に担当の先生や看護師、助産師さんによく相談をしておくようにしましょう。
どんな出産方法であっても、赤ちゃんへの愛情に差が出るわけではありません。少しでも負担を取り除いたうえで赤ちゃんを迎えられるようにできると良いですね。
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