妊娠糖尿病のリスクについて。母子・胎児への影響を知っておこう!
妊娠糖尿病にかかると、心配なのが胎児へのリスクです。高血糖状になることで、お腹の赤ちゃんは様々な危機に晒されます。
妊娠糖尿病になると、どんなリスクがあるのでしょう。どんなときに死亡リスクがあるのでしょうか。具体的に説明していきます。
妊娠糖尿病が「母体」に与えるリスク。
母体への影響は以下の通りです。血糖値が高くなると、体のあちこちに不調が現れます。体全体が栄養過多状態になるからです。
主な不調は次の病気として現れます。
- 妊娠高血圧症候群
- 常位胎盤早期剥離
- 羊水過多症
- 流産
- 早産
- 難産
どれもお腹の赤ちゃんに悪影響です。重症化すると、無事に出産することが出来なくなります。出生後も、赤ちゃんが低血糖になることがあります。
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妊娠糖尿病によって起こる合併症
妊娠糖尿病は、妊娠初期は自覚症状がありません。あったとしても、妊娠中にはよくある症状です。早期発見が難しい病気です。
そのため、妊婦検診をきちんと受けて、急な体重の増加があった場合には、血糖値の検査をしてもらうべきです。
先に述べた症状意外にも、次の様な合併症がおこります。
- 糖尿病ケトアシドーシス
- 腎症
- 網膜症
- 神経症
これらは糖尿病の合併症としてよく起こる病気です。糖尿病は体の中の糖質の量が多くなる病気なので、余った糖分と組織が結びついて老化が進みます。
- 糖尿病ケトアシドーシス
- 糖尿病の急性症状で、インスリンが急速に減少し、その結果脂肪が分解されてしまい、副産物のケトン体が血中にあふれるという症状です。
ケトン体が増えてしまうと、血液が酸性に傾いてしまい、ケトン血症やケトン尿症が引き起こされます。
- 腎症
- 腎臓の中には老廃物をこしとるネフロンという組織があります。糖尿病によってこの組織の老化が進みます。
そのため、老廃物のろ過機能が落ちて、腎臓の機能が低下する症状なのです。
- 網膜症
- 糖尿病網膜症は、網膜の組織が糖質が結び付くことによって細胞が老化して、視力が落ちる病気です。
網膜剥離や緑内障の原因になり、最悪の場合失明に至ります。
- 神経症
- 糖尿病によって起こる神経の障害です。全身に痛みを生じる症状です。
「胎児」が発症する病気も。発育や出産、産後にも影響が…
母体の血糖値が高いと、本人だけでなく、お腹の赤ちゃんの発育や、出産の時にも負担がかかります
母体の不健康は、妊娠中よくありません。胎内に居るときに被った影響を、生まれたあとも引きずってしまうからです。
胎児が母体の高血糖下にあるときに、どのような状態になるのかまとめました。
巨大児
出生時の体重が4000グラム以上ある新生児のことを、巨大児と言います。赤ちゃんがお母さんのお腹のなかで、大きくなりすぎてしまうことです。
巨大児は出産の時に難産になりやすく、産後には低血糖になりやすいという危険性を持っています。
低血糖の原因は、お腹に居るときに高血糖状態でインスリンの分泌が過剰になっているので、生まれた後その供給が止まり、インスリン濃度だけが高くなるのです。
そのため、過剰なインスリンが赤ちゃんの体内の糖質を分解してしまいます。結果低血糖になってしまうのです。体の小さな赤ちゃんには大きな負担です。
巨大児は、体が大きい事から検診ですぐに発見されます。出産後のリスクを回避するために、糖尿病の治療を急ぎましょう。
胎児発育遅延
巨大児とは逆に、お腹のなかで胎児が順調に育たないこともあります。出生時の体重は、2500未満になります。
なぜ発育が遅れてしまうかはよく解っておらず、いくつか仮説があります。妊娠糖尿病もその1つです。
母体が低血糖だと、胎児の体を育てるエネルギーが足りません。だから体の発育が遅れ、体重も少なくなってしまうのです。
胎児ジストレス
胎児、または新生児の呼吸と体内の血液循環が阻害されている状態です。胎児ジストレスで生まれた赤ちゃんは、仮死状態になっていることがあります。
主な症状は以下の通りです。
- 一過性頻脈…胎児の心拍数が一時的に高くなること
- 胎動抑制…お腹の赤ちゃんが動かなくなる
- 羊水の量が少なくなる…じん臓への血流が減るから
そのため、経過を観察しながら、場合によっては緊急帝王切開の措置がとられることもあります。
先天性奇形
出生前から赤ちゃんの体に、形質、働きの異常が見られることを、先天性奇形といいます。妊娠糖尿病の場合にも現れやすい症状です。
異常が現れる個所は、脊椎、骨、内臓、皮膚、耳、口など多岐に渡ります。そして治療の難しい症状です。
一生付き合っていかなくてはならない場合もあります。先天性奇形の原因もよく解っていません。
妊娠糖尿病が、奇形になる原因の1つです。ですが糖尿病と奇形の因果関係もまだよく解っていません。
胎児の生命にかかわる合併症
上に述べた症状が主な妊娠糖尿病の胎児へのリスクです。ですが、これ以外にもお腹の赤ちゃん、あるいは出生後の声明に関わる合併症もあります。
- 胎児機能不全
- 胎児の呼吸器や、循環器に起こるトラブルです。肺や心臓に起きる病気なので、お腹の中の赤ちゃんが上手く呼吸することが出来ず、徐々に弱って行きます。
胎児の心拍数は1分間に110~160ほどですが、これ以下になったり脈拍が増えすぎたりすると、胎児機能不全が疑われます。
- 心筋症
- 糖尿病を原因として、胎児の体にエンドリセンという物質が多くなります。これは強い血管収縮作用をもたらすもので、その影響が心筋に現れることで起こる症状です。
- 子宮内胎児死亡
- いわゆ死産です。妊娠22週以降に胎児が死亡してまうことを言います。原因はよく分かっていません。胎盤剥離や妊娠高血圧症候群がその一端と考えられています。
- 羊水過多症
- 羊水は胎児が飲み込んで代謝することによって量が調節されています。糖尿病によって胎児の腎機能が落ちると、羊水の量が増えてしまいます。
- 新生児低血糖
- お腹に居る間は、母体からもらう糖質によって胎児は高血糖状態になっています。出産後はブドウ糖の供給が止まるために、胎児が低血糖になってしまいます。
このように、妊娠糖尿病は胎児の生命を脅かすというリスクを抱えています。妊娠中も出産後も油断ならない症状です。
ママも赤ちゃんにも危険な病気になるリスクがいっぱい!
まだ因果関係が解っていない症状もありますが、ママの妊娠糖尿病は胎児にとって大きなリスクになります。
心配なのは、流産や死産になってしまうことです。悲しいだけでなく、ママの体にも出血などの危険が伴います。
妊娠中だけでなく、出産後も問題の多い妊娠糖尿病です。罹患率も高いですから、すべての妊婦さんがリスクを自覚していてほしいですね。
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