帝王切開出産のリスクを知り不安を減らそう!母体や赤ちゃんへの影響

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2017/04/07

「赤ちゃんを産むため」とはいえ、帝王切開の手術は怖いですよね。いくら周りの人から「大丈夫だよ」と言われても、不安な気持ちはなかなか消えないもの…。

だからこそ、帝王切開のリスクをきちんと知っておきませんか?

1人で悶々と考えているよりも、担当医に疑問なことや心配なことを全部聞いておいた方が心の準備ができるものです。

それに正しい知識を持っておくことで、術後に「こんなことになるんて聞いてない!」という事態を防ぐことができます。

この記事では「帝王切開による母体と赤ちゃんへの影響」と「母体へのリスクについて、お伝えしていきます。

赤ちゃんへの影響は、自然分娩と比べてどう違うのか?

帝王切開は赤ちゃんにとって安全な出産方法ですが、経腟分娩と比べた場合に「産道を通っていない」ゆえの影響が2点あります。

産道を通ってこないため一過性の多呼吸になる

経腟分娩では赤ちゃんが産道を通ってくるときに圧迫されて、赤ちゃんの肺の中にある液体が絞りだされますが、帝王切開では肺に水が残ったまま生まれてきます。

そのため、生まれてから数時間で新生児一過性多呼吸になりやすくなります。

障害が残ることはなく2~3日で通常の呼吸に戻ります。

ママから腸内細菌がもらえない

私たちの腸内には無数の細菌が住んでいて、健康や感染予防に影響を与えていると考えられています。しかし、生まれる前の赤ちゃんの消化器官はまっさらで細菌は1匹もいない状態。

赤ちゃんの腸内に住むことになる細菌は、出産のときにママからもらい受けます。赤ちゃんが産道を通るときに、鼻や口から膣内の細菌が取り込まれるのです。

この細菌は「お母さんの腸内細菌と一緒」という研究結果もあり、「免疫が発達していない赤ちゃんの体を病原菌から守る」役割をしていると考えられています。

帝王切開で生まれる赤ちゃんは膣内で細菌を受け取ることができずに生まれてきます。ですが、帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸がずっと無菌状態なわけではありません。

出生後に看護師や母親、身近な人たちや環境から菌を取り込みながら腸内細菌を構築していきます。

帝王切開で生まれた赤ちゃんは産道を通ってこなかった分、腸内細菌が構築されるのが遅くなります。

帝王切開手術の母体への影響・リスクも知っておいて!

「自然分娩時のリスクを減らせる」とはいえ、手術をするため母体への影響やリスクがあります。

手術中のリスク

帝王切開の麻酔方法は「局所麻酔」と「全身麻酔」の2種類。「局所麻酔」は胸から下の感覚がなくなり、意識がはっきりしています。

赤ちゃんの産声を聞いたり、顔を見ることもできるので、予定帝王切開のときには一般的には局所麻酔が使われます。

「全身麻酔」はその名の通り全身の感覚がなくなり眠ってしまいます。赤ちゃんが生まれる瞬間の意識はありません。全身麻酔は効果が出るまでの時間が早いので、緊急帝王切開のときに使われます。

【麻酔の合併症】ショック状態・誤嚥性肺炎

麻酔のリスクとしては、麻酔薬によってショック状態になることがあります。また、緊急帝王切開などで食べ物が胃に残ったまま麻酔をすると、麻酔の副作用で吐き気が出ることがあります。

その際に食べ物が逆流して肺に流れこみ、誤嚥性肺炎になる場合もあります。(誤嚥性肺炎になるケースは500件に1件程度)

手術後のリスク

術後のリスクは複数考えられます。見ていきましょう。

【術後血栓症】経腟分娩と比べてリスクが高い
産前産後はお産のために出血を止める成分が分泌されている影響で、血が固まりやすくなっています。

そのため心臓から遠くて血流が悪くなりやすい足に血栓(血のかたまり)ができやすい状態になります。

とくに帝王切開の術後は横になっていることが多いので、血栓ができやすくなります。

本当に怖いのは、足にできた血栓が血液に流されて肺に到達すること。血栓が肺の動脈につまると肺の組織が死んでしまう肺血栓塞栓症になります。

肺血栓症はママの死亡原因になりうる病気で、帝王切開をした人が肺血栓症になる確率は通常の分娩よりも5~10倍高いと言われています。
【手術による癒着】子宮と臓器の癒着
手術のときに傷ついた臓器や組織が再生するときにくっついてしまう現象を「癒着」といいます。帝王切開の術後は、子宮とその周りの臓器が癒着を起こします。

すると次回の出産時に子宮の戻りが悪くなったり、帝王切開手術で膀胱や腸といった子宮近くの臓器を傷つける恐れがあります。

【縫合部】お腹にキズが残る
赤ちゃんを取り出すときの切開方法は「緊急か?予定か?」によって変わります。緊急帝王切開のときは赤ちゃんが早く取り出せる「縦切り」。予定帝王切開のときは傷跡が目立ちにくい「横切り」が一般的です。

なるべく跡が残らないような縫合方法を選択してくれる執刀医が増えていますが、どうしても切開部にキズが残ります。体質によりますが縫合部がケロイド状になったり、術後しばらくしてもキズが痛んだりすることがあります。

次回の妊娠時のリスクも…

今回の帝王切開でのリスク以外にも、今後についてのリスクも考えられます。

【胎盤異常】前置胎盤になるリスクが高くなる
帝王切開をしたことがある人は、そうでない人に比べて前置胎盤になるリスクが2倍になると言われています。

(前置胎盤の頻度は帝王切開経験者が約1%。そうでない人は約0.5%)

【胎盤異常】癒着胎盤になるリスクが高くなる
子宮の切開した部分の組織が正常に再生されないと手術の跡ができることがあります。

この近くに次の妊娠時に受精卵が着床すると、胎盤が手術跡に入り込んで胎盤がはがれなくなることがあります。(癒着胎盤)

【子宮破裂】自然分娩時に子宮が裂けるリスクが高くなる
次回の出産で経腟分娩を選択した場合、子宮が裂けてしまう「子宮破裂」のリスクが高くなります。(帝王切開経験者の場合:約0.3~1%、未経験者の場合:0.007~0.02%)

条件をクリアすれば経腟分娩に臨むことも可能ですが、少しでもリスクを避けるために「前回が帝王切開なら今回も」と帝王切開を勧められることが多いです。
【子どもの数】産める人数に制限あり
帝王切開での出産が増えるほど、子宮破裂や臓器癒着といったリスクが増えていくため産める子供の数に限りができてきます。

「何人産めるのか?」は、その人の状況によって違いますが、一般的には「3人まで」が安心して産めるボーダーラインとされているようです。

また、次回の妊娠が双子や三つ子といった多胎妊娠になったときは注意が必要です。子宮の壁に厚さがないと子宮破裂をするリスクが高くなります。

産婦人科医に「妊娠を継続しても問題ないか?」を相談したり、万が一のことを考えて総合病院での出産を検討する必要があります。

母体への負担は大きいけれど、帝王切開は赤ちゃんとママにとっての最善策!

手術への恐怖やお腹にキズが残るなど、自然分娩と比べてママへの負担が多い帝王切開。

けれどママへの負担が多い分、自然分娩では避けられないリスクを回避することができます。

「帝王切開で産む」ことは、妊娠当初に思い浮かべていた出産光景とはかけ離れてすぎて戸惑うこともあるかもしれません。ですが「大事な赤ちゃんを産むこと」に変わりはありません。

不安なことや助けて欲しいことは周りの人に話すようにして、少しでも前向きな気持ちで手術日を迎えられるようにしていきましょう。

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