発達障害の一つADHD(注意欠陥・多動性障害)の子供の支援方法!個性として受け止めてあげよう
集中力がない、落ち着きがない、かんしゃくをよく起こすなど、目に余る問題行動が多く、「問題児」と誤解されやすい発達障害ADHD(注意欠陥・多動性障害)。
しかし、本人は悪意があってやっているわけではなく脳の機能性の問題であることがわかってきましたが、未だに解明されていないことが多いため、理解されにくいということが多くあります。
誤解されやすいADHDですが、正しい基礎知識と支援方法を知っておくで、その子が快適に生活を送れるようになってきます。
そこで、ADHDの特徴や普段の生活面での対応法のポイントなどをご紹介します。
発達障害ADHDの特徴は主に3つのタイプがあります
一言に発達障害と言っても、アスペルガー症候群やLD、自閉症など様々な症状があります。
いずれも脳の機能が上手くできていないがゆえに出てくる症状とされています。
その中で、ADHDは注意力が足りない、怒りが爆発するとなかなか止められず感情を自分でコントロールすることが難しいという特徴が見られます。
注意欠陥/多動性障害(ADHD)の定義 <Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder>
(平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より抜粋)
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
しかし、発達障害はあくまでも「個性」です。
ADHDでも主に3つのタイプに分かれます。
- 不注意型
- 多動性・衝動性型
- 混合型
1つずつ詳しく説明をさせていただきますね。
不注意型は物忘れが多く、集中力がなく注意力が散漫となりやすい
乳幼児期の子どもだと集中力や注意力がないのは個人差はありますが、年齢的に当たり前といえば当たり前なのですが、それゆえに気づかれにくいという特徴があります。
集団の中に入ることで、幼稚園・保育園の先生が、話を聞いていないことが多い、忘れっぽいなどと、担任の先生が他の園児と比較することによって気づくことが多いです。
不注意型は男の子よりもどちらかというと女の子に多い傾向にあります。
多動性・衝動性型は落ち着くことが苦手
他動性・衝動性型は、先生やお友達話している途中なのに無断で立って歩いてしまったり、話をさえぎってしまったり、滑り台やブランコなど遊びの中で順番が守れない、などの兆候が見られます。
また、カッとなると口よりも手が先に出てしまう、怒りやモヤモヤした感情を言葉にできなくてかんしゃくを起こしてしまうということもあります。
他動性・衝動性型も女の子よりも男の子に多い傾向があり、大人から見ると問題児扱いされやすいです。
2つの型の特徴を併せ持った混合型
不注意型と多動性・衝動性型のそれぞれの特徴がいくつか混ざっている型です。実はADHDの多くの子どもはこの混合型です。
発達障害についてはわかっていないことも多いため診断基準も実は曖昧なことが多くあります。専門家でも「○○型ですね」と診断をするのが難しいのが現状です。
ADHDのその他の特徴として、些細な事でもカッとなりやすく、考えてから行動するのが苦手です。
それゆえに後先考えずに木に登って下りられなくなったり、道路に急に飛び出してケガや事故に遭いやすいなどがあります。
「ADHDかも?」という判断は難しいけど、様々な例があります
「ADHDかも?」と気づくためにはいくつかの具体例を挙げることができますので、詳しく見ていきましょう。
大人が気づいてあげたいサインの例がこちら
ここで注意していただきたいのが、すべての項目に当てはまるから「あなたの子どもはADHD児です」と確定するわけではありませんし、ADHDですよということを伝えてりるわけでもないということです。
このような事例が挙げられます。
- モノをよくなくす、忘れっぽい
- 集中できないので落ち着いて話を聞けない、フラフラする
- 自分の思い通りにいかないとかんしゃくを起こし、なかなか収まらない
- カッとなると口よりも手が先に出てしまう
- ブランコや滑り台など、順番待ちができない
ただし、例えば2歳の子が、滑り台の順番待ちができないでお友達と喧嘩になったりするのは幼児期ならよくあることですよね。
これらに当てはまるからADHDというわけではなく、あくまでも目安の1つとして扱っていただければ幸いです。
では、どの段階で「ADHDかも?」と思うのかを見て行きましょう。
集団生活に入ることで、気づかれることがほとんど
個人差はあるものの、落ち着きがなかったり注意力がなかったりするのはどの子でもあること。
小さい頃はやんちゃや元気があっていいなどとむしろ評価されることもあるので保護者が気づくことは難しいと言えるでしょう。
先ほども少し触れましたが、3,4歳頃に幼稚園・保育園など集団生活に入っていくことで、「今は遊ぶ時間、次は工作の時間、何時までにお片付けしましょう。」とある程度、行動が制御されたり、我慢したりする場面が増えていきます。
そのような集団生活のなかで、先生や友達が話しているのに聞いていない、話に割って入ってくる、かんしゃくを起こすと言葉が出ず、乱暴になる場面が多いなど、年齢に応じた集団行動ができていないことが多いということにより、ADHDは先生が気づいていくというケースがほとんどです。
行動療法に薬など…ADHDを専門的に支援する方法は色々あります
発達障害は、担任の先生や園との連携や専門機関による療育によってADHDの子が日常生活を送りやすくなるように支援します。
また、薬を服用するという選択肢もあります。
チェックリストを作って園で子どもの行動をチェックしてもらう
もし担任の先生にADHDの疑いを指摘された場合、ADHDのチェックリストを作って先生に記入してもらう方法があります。
注意力や多動性・衝動性・友達関係などを本や療育機関等と相談しながら、保護者が気になることなどを簡単でいいので独自のリストを作ってみます。
全ての特徴にあてはまるからといってADHDと決定づけるものではありません。
チェックリストを作る意味は子どもが集団生活の中でどんな行動をとっているのかを把握するために重要な役割を果たします。
チャックリストについてはこちらに詳しく載っていますので、参考にしてみてください。
専門家の指導による行動療法という選択肢
専門家による療育支援の中に行動療法というものがあります。
トークンエコノミー
子どもが適切な行動をとれたときに点数を与え、目標点まで達成したらご褒美を与えるという行動療法の1つ。
かんしゃくを起こしたな不適応行動をとった場合は減点として、子どもがどの場面でどんな行動をとると減点になってしまうのか、という経験を繰り返されることによって学習していきます。
逐一、行動に点数を付けられればいいのですが、それでは親の負担も大きいためできる範囲でOK。
目に見えて点数が増えたり減ったりゲーム性があるので、比較的楽しく続けることができます。
気持ちをコントロールするために薬を服用する方法もあります
ADHDは脳機能の働きが不十分なために物忘れが多い、集中力がない、注意力散漫といった行動が見られると考えられています。
そこで、「コンサータ」や「ストラテラ」という薬によって、一時的ではありますが、多動性・衝動性を抑えることが可能に。
薬を服用するメリットとして、薬が効いている間は落ち着くので、生活への困り感が軽減された実感を本人が経験することができます。
落ち着いているときの生活や行動を経験することで、自分なりの解決方法を発見したり、感情をコントロールする力が徐々に身についてきます。
ただし、薬はあくまでも一時的なものであって特効性はありません。しかし、一生飲み続ける必要もありません。
また、コンサータも6歳未満の子には安全上処方されませんし、体質によっては食欲不振、体重減少、頭痛、腹痛などの副作用が出ることもあります。
4.副作用 AD/HD 患児を対象として国内で実施した第 II 相試験、第 III 相試験 及び長期投与試験の総症例 216 例中、副作用(臨床検査値異常を 含む)は 174 例(80.6%)470 件に認められた。その主なものは、 食欲不振 72 例(33.3%)、初期不眠症 29 例(13.4%)、体重減少 26 例(12.0%)、食欲減退 19 例(8.8%)、頭痛 18 例(8.3%)、不眠症 13 例(6.0%) 、腹痛 12 例(5.6%) 、悪心 12 例(5.6%) 、チック 11 例(5.1%) 、 発熱 11 例(5.1%)であった。
薬の服用を視野に入れた場合は必ず医師に相談しましょう。
ADHDの子に合わせた家庭での配慮や支援も必要です
ADHDの子どもは注意欠如や後先考えず行動することによってケガをしやすいということがあります。
よって、過ごしやすいように配慮や生活面での支援が必要です。
外や家の中で思わぬ事故にならないために
外はもちろんのこと、家の中でも思わぬケガをしたりする危険があります。
ベランダからの転落や、おもちゃを振り回してしまったことによるケガなど家の中でも案外危険は潜んでいるものです。
過剰に安全対策をとる必要はありませんが、ベランダに踏み台になりそうなものは置かないなど環境整備は必要です。
安全対策を行ったうえで本人にはなぜ危ないのかを何回も繰り返し言い聞かせるよう心がけましょう。
また、興味のあるほうにピュッ!と飛び出してしまうこともしばしばあるので、道路や駐車場での事故にも要注意です。
外出の際は必ず手をつなぐ、外出前に今日のスケジュールを話しておいて「急に走り出さない」と約束をしておくなどの対策を立てます。必要ならばハーネスを使うことも検討してみて下さい。
整理整頓で視覚からの情報量を減らして!注意散漫を防止
年長児のお子さんをお持ちの親御さんにとったら、「勉強大丈夫かな」、「授業を黙って聞けるのかな」と小学校生活に対して心配に思っている方も多いと思います。
ADHDの子は身の回りのものに(特に自分の興味が向いたもの)飛びつきがちです。
小学校に向けて宿題など学習面をサポートするためには環境作りも大切です。
ゲームなど子供の注意を引いてしまいそうなものは収納し整理整頓し、目に付きにくいようにするなど、外部からの視覚的な情報をできるだけ少なくすることで集中しやすい環境を作り出してあげましょう。
神経質になりすぎないで!「ほどほどにしよう」という気持ちが大切
ADHDの子は「問題児」と誤解されやすいですが、悪意があって問題行動をとるわけではありません。
なぜその行動が問題なのかを経験を積むことによって子供自身も学んでいきます。根気はいりますが、繰り返すことによって必ず成果は現れます。
しかし、療育や家庭でのサポートなど親御さんにとっては肉体的にも精神的にも想像以上に負担がかかります。
「この子のために頑張らなくっちゃ!」と一生懸命になりすぎると疲れてしまいます。
なので、あまり神経質になりすぎずに、「支援するのも一生懸命になりすぎずに、ほどほどに」という気持ちを忘れないことが大切です。