ワーママを悩ます育児ハラスメント…知っておくべき実態!
育児中に仕事をすることが、「普通」になってきています。
多くの女性たちが経験する妊娠中・育児中のハラスメントには、どのようなものがあるのでしょうか。
この記事の目次
育児ハラスメントとは、育児中に職場で受ける嫌がらせや不当な扱い
妊娠中や育児中に受けるハラスメントのことを、マタニティハラスメント、通称「マタハラ」と言います。
妊娠や出産を経験しても、「仕事を続けたい!」と願うのは、労働者の当然の権利。
妊娠・出産・育児休業など、マタニティハラスメントには、非常に幅広い内容の嫌がらせや不当な取り扱いが含まれています。
ときにはパワハラやモラハラ、セクハラと組み合わせて行われることもあり、大きな社会問題の一つとなってきています。
派遣社員の5割、正社員の2.5割が経験あり…
2015年に厚生労働省が行った調査によると、派遣社員として仕事をする女性の、約2人に1人が「マタニティ―ハラスメントを受けた経験がある」と回答しました。
正社員の場合は、約4人に1人。派遣社員程ではありませんが、こちらも高い割合であることがわかります。
この調査は、25歳から44歳までの働く女性3,500人を対象に行われました。会社での立場が弱い人ほど、妊娠や育児に関連して不当な扱いを受けやすいことが明らかになっています。
妊娠や出産を機にキャリアを中断した場合、時間の融通が利きやすい派遣社員として仕事をスタートしようと考えるママは多いはず。
また比較的立場が安定しているはずの正社員でさえ、マタハラ被害を受ける女性が少なくないことを考えると、育児ハラスメントは誰にとっても他人事ではありません。
具体的に「育児ハラスメント」と認定される事例
誰が経験してもおかしくはない育児ハラスメントだからこそ、どのような扱いがハラスメントに当たるのか、頭に入れておきましょう。
実際に働く女性たちが遭遇した、育児ハラスメントの体験談を紹介します。
妊娠したら「辞めるが慣例」という雰囲気
妊娠中の女性には、さまざまな変化が訪れます。周囲には、妊娠中の女性に対して、その状況に応じた配慮をすることが求められるでしょう。
職場においても、それは例外ではありません。たとえば仕事内容が、体に大きな負担を与えるものだとしたら、調整してもらう必要があります。
また時期がきたら、産休や育休をとることも労働者の権利です。
しかしこれらの配慮を全くしないまま「妊娠したら辞めるのが慣例」という会社の雰囲気も、現実にはまだまだ存在しています。
会社に妊娠を伝えたあと、「辞めてもらわなければ困る」という意味の言葉を言われたり、実際に解雇されたりしたら、それは立派なマタハラにあたります。
体調が悪くても配慮なし…
妊娠は病気ではありませんが、女性の体に多くの変化をもたらします。また、妊娠の経過が常に順調に進むとは限りません。
たとえば切迫流産や早産の危険性があれば、仕事を休み、お腹の赤ちゃんの命を守る必要があります。
医師の診断書があるにもかかわらず、出社や残業を強要したり、「それならば辞めるしかない」と伝えたりするのは、立派なマタハラです。
育休が取れない!
育児休業は、出産後の母親や父親を助けてくれる、非常にありがたい制度。この制度を使えば、産休が終了したあとも、育児に専念することが可能です。
育休は、法律で定められている制度で、条件に当てはまる全ての労働者が取得できます。しかし「1年も休まれるのは困る!」という事業者が多くいるのも現実なのです。
そのため、「育児休業の前例がない」「育休をとるぐらいなら、きっぱりやめてもらう」などのハラスメントも実在しています。
育休は、これまでに前例がなくても、また規模の小さな会社であっても、取得することが可能。
労働者の権利ともいえる、各種制度の利用を拒むようなや言動も、ハラスメントにあたります。
時短勤務…周囲からの冷たい目線
会社全体としては、働くママたちが業務に就くことを応援していても、周囲がそれを許してくれないようなケースも実在しています。
子どもがある程度大きくなってきたら、時短勤務で職場復帰を果たす女性労働者も多くいるでしょう。
しかし働く時間が限られるため、「何もかもこれまでどおり」というわけにはいきません。上司や同僚など、周囲の人から冷たい目線を向けられることもあります。
たとえば「休んでばかりで全然仕事をしてくれない」や「誰があなたのフォローをしていると思っているの」など、同僚から暴言を吐かれるのもマタハラの一種。
一緒に働く仲間から向けられる悪口は、ワーキングマザーの感情を追い詰めていきます。「もう限界だ」と退職してしまう事例も、決して少なくありません。
一方的な異動宣告
育児中の時短勤務や有給の使い方を理由にして、一方的に社員に「異動」を言い渡すことも、育児ハラスメントにあたります。
もちろん、育児中だからという理由で、雇用主と労働者の双方が納得した上で異動を決めるのは問題ありません。
しかし妊娠や育児、そしてそれに伴う制度利用を理由にして、相手を勝手に異動させようとすることは、不利益取扱いにあたります。
パパへのハラスメントも増加中
これまで、育児ハラスメントといえば「働く女性が受けるもの」という認識がありました。しかし近年では、パパがハラスメントの被害者となるケースも増加しています。
パパに対するハラスメントは、パタニティハラスメント、通称「パタハラ」と呼ばれています。
イクメンとして家事や育児に積極的に関わったり、育児休業で妻をサポートしたりしたいと考える男性が増える一方で、男性社員に対するパタハラ被害も深刻になっています。
▼育児ハラスメントの対処法についてはコチラも参考にしてみて!
▼ぱたにてぃハラスメントについてはコチラも参考にしてみて!
改善措置は事業者の義務!求められる防止措置について
育児ハラスメントに関わる法制度には、大きく分けて二つあります。一つは「男女雇用機会均等法」で、もう一つが「育児・介護休業法」です。
両制度が改正されるタイミングで、新しく加わったのが「育児ハラスメントを防止するための措置を、企業側が講じなければならない」と義務付けた文言。
2017年1月から施行されたこの法律により、企業側が、状況改善のためにこれまでよりも積極的に動くことが求められるようになりました。
具体的な防止措置として、以下のような行動が求められています。
- 妊娠・育児中に、働くママたちが利用できる法制度について周知徹底すること
- 事業主として、ハラスメントを行う者に対して厳正な対処を行うこと
- またそれを、就業規則などで広く周囲に知らしめること
- 育児ハラスメントと思える事態が起きたときに、相談できる窓口を整備すること
- 万が一被害が報告されたときには、速やかに調査や対処を行うこと
また、育児ハラスメントが起きる原因として、「職場の人手不足」や「就業環境が悪いこと」など、雇用管理ができていないことも考えられます。
こうした状況を改善し、ハラスメントが発生しにくい環境を整えることも求められています。
会社の規模は関係ない
マタハラ防止措置を講じるのは、事業主の義務。そしてこの義務は、会社の規模によって制限されるものではありません。
「小さな会社だから、仕方がない」と諦める必要はありません。苦情相談などを積極的に利用し、真摯な対応をお願いしてください。
どれだけ従業員数が少なくても、事業主には育児ハラスメントを起こさないための対策が求められているということを、しっかりと頭に入れておきましょう。
ハラスメントを受ける側のワーママも「戦力になれない」と悩んでいる…
育児ハラスメントについて知る際に、実態や制度と共に、もう一つ頭に入れておきたいポイントがあります。
それは、ハラスメントを受けるワーキングマザーたちの心理について。辛い思いをしながらも、複雑な感情を抱く方が多くいます。
悩んでいるため、ハラスメントを我慢してしまう傾向にある
ワーママとして仕事をしていれば、仕事以外にも、家事や育児をこなしていくことになります。
保育所や幼稚園、もちろんパパや自分の両親、そして周囲の人々など……ママたちを助けてくれる人は、たくさんいるかもしれません。
しかし急なお迎えや子供たちの体調悪化に対応できるのは、「ママ本人だけ」というケースも少なくないのが現実です。
職場で急に仕事を休む人がいれば、そのフォローは周囲の仕事になってしまいます。何度も「休みます」連絡をするたびに、追い込まれていくママも決して少なくありません。
実際には育児ハラスメントを受けていなくても、周囲に対して「申し訳ない」という感情を抱くママは非常に多いです。
また、たとえハラスメントを受けていても、「自分が迷惑をかけているのだから」と我慢してしまう傾向もあります。
▼ワーキングマザーの悩みについてはコチラも参考にしてみて!
やっぱり気になる!同僚との関係
急に休むこと以外にも、時短勤務で自分だけが早く帰ること、所定外労働免除をお願いすること……。
ワーママたちが他の社員に対して「肩身が狭い」と感じるポイントは、非常に多くあります。
仕事をする上で、一緒に働く同僚との関係は非常に大切なもの。しかし自分ばかりが一方的にフォローしてもらう中で、対等の関係を結ぶのは難しくなってしまいます。
同僚との関係悪化が育児ハラスメントにつながっても、やはり「私が悪い」と自分を責めてしまう方も多くいるのです。
悩みが深くなれば、「うつ」などの心の病を発症してしまうことも…。決して簡単な問題ではありません。
▼うつにならないためのワーママの対処法についてはコチラも参考にしてみて!
育児ハラスメントは加害者に自覚がないケースも多い!
退職強要や周囲からの心ない言葉など、育児ハラスメントの中には、相手に「ハラスメントをしている」という自覚がないものも多数存在しています。
とはいえハラスメントを受ける立場のワーママとしては、どれもこれも深刻な問題。まずは自分自身が、ハラスメントに対する正確な知識を身につけておきましょう。
家事と育児、そして仕事を両立するのは、ただでさえ大変なこと。精神面で追い詰められることがないよう、できる対策は事前にしっかりと講じておくと安心ですよ。
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田舎にすみたいさん
出産後どこで働いても、嫌がらせやパワハラ、セクハラにあってしまう。あまりに酷いので、調べてみると
医療の専門学校を卒業した後2年、非常勤で働いた、
病院の関係者と裏側の人達、めちゃくちゃ陰湿で恐ろしい。20年以上前に2年非常勤で働いて、嫌がらせや脅かされたので、退職しました。2週間前に医事課に辞める旨伝えて、非常勤だから退職金もなし、当時月給13万円で現在も脅かしてきます。二度と病院で働く気にならないし、専門学校に通っても他の同期とは全く違って、ターゲットにされてます。 -
子なし社員さん
育児休暇も取得し子供が就学して尚、時短勤務を要求する人もいます。家庭の事情でやむをえないとしても、それをフォローする周囲にとっては正直迷惑です。それを「育児経験がない人たちから理解されない」と会社に訴えるのは逆マタハラではないでしょうか。常にフォローを強いられた上に、ハラスメント扱いされる悩みをいったいどこへ訴えたらいいのでしょう。
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shi19さん
時短勤務で会社に復帰して思う事は、会社や上司に何らかのフォローがあるのと無いのでは随分と差があると思いました。
フルタイムで勤務する人にも必要ですしと時短勤務者も。 -
ワーキングママさん
一年前から従業員は私を入れて4人の、小さな会社で働いています。
小学低学年の子供2人がいるため、ここの社長に誘われた当初より、子供についての話等して来たのに、いざ、子供が体調崩したりするたびに、嫌味を言われ、時にはクビ!と脅される事も多々ありました。
私からの意見や提案は全て聞き流され、今は子供達が体調を崩したり、学校が休校である事を会社に言うのが怖くてたまりません。
子供の事で会社を休むと次のシフトが凄い事になっていたりします。18時までの仕事なのに、時に21時を過ぎることもしばしば…その際も残業代も出ず。
まだ低学年の子供を夜遅くまで留守番させたくない。
体調不良等で、休まざるおえない事を理解していただいてたはずなのに、何かあるとクビ!と言われたり自分が休みたいだけだろ?と言われたりする事が怖くて何も言えません。小さい会社だから仕方ないのでしょうか…それとも、私自身がいけないのでしょうか…何より辛いです。
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通りすがりさん
子供が小学生になったからと言って、いきなり手が掛からなく訳ではありません。子供は機械ではありません。
子供の発達も様々で、日常生活に手が掛からない子もいれば、発達に問題なくてもかなりの労力と胆力が
必要となる子供がいるのも事実です。周囲のサポートもあるなしの人もいるでしょう。日本では、きょうだい数が少なく、きょうだい間年齢差もあまりなく、
幼い頃から乳幼児をみる機会も、お世話をする機会が持てる人も少ないのが現状です。日本は男性社会で成り立っています。子供を持っていても子育てを主体的におこなっていない人は特に男性ですし、男女問わず子を持っていない人もいるでしょう。
そのような理由で、日本では「子供や子育てについての理解」のある大人が少なく、「子供を育てることを基軸に置く社会の風潮を作ること」に疎いのだと思っています。サポートする側のご苦労はよくわかります。切実です。
それでも子供を社会みんなで育てる、子育てに理解のある社会になるといいなと切実に思います。
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