妊娠高血圧症候群の悪化を予防!体重と血圧のコントロールが重要

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2017/10/25

体重コントロールしている妊婦さん

現在、妊娠高血圧症候群の発症を予防する明確な方法はみつかっていません。しかし、軽症であれば、日常生活の過ごし方に注意することで悪化を食い止めることができます。

この病気の悪化を予防するには、体重管理と血圧のコントロールが重要です。食事の塩分とカロリーに気をつけ、疲れやストレスを溜めないように適度な運動と休養を心がけましょう。

まずは、妊娠中の体重と血圧の適正値を知りましょう。そして、上手にコントロールするたの対策について理解を深めてください。

妊娠中の「体重増加」と「血圧」の適正値

妊娠高血圧症候群を抑えたいからといって、やみくもに体重や血圧を下げればよいというものではありません。

母子ともに健康的に過ごすためには、ある程度の体重増加が必要です。また血圧が下がりすぎるとめまいが起きたり、疲れやすくなったりしてしまいます。

ここでは、体重と血圧を測定するときに参考にしてほしい、数値について説明していきましょう。

体重はどれくらい増えてよい?推奨体重増加量の範囲内に抑えよう

妊娠中は赤ちゃんの成長に伴って体重が増えるものです。胎児・胎盤・羊水のほかにも、体の脂肪量が増え、ふっくらとした体つきになります。

しかし、体重が急激に増えると、妊娠高血圧症候群の発症リスクが高くなるため、食事や運動による体重管理が重要です。

健康的に妊娠生活を送るための理想的な体重増加は、妊娠前の体型によって異なります。
厚生労働省の「妊産婦のための食生活指針」には、次のように示されています。

【妊娠全期間における推奨体重増加量】
やせ(BMI18.5未満) 9~12kg
ふつう(BMI18.5以上25.0未満) 7~12kg
肥満(BMI25以上) 個別に対応

※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

【妊娠中期以降における1週間あたりの推奨体重増加量】
やせ・ふつう(BMI25.0未満) 0.3~0.5kg
肥満(BMI25以上) 個別に対応

妊娠高血圧症候群のリスクを下げるためには、これらの数値を参考にして、急に体重が増加しないように気をつけましょう。

しかし最近では、妊娠中に太りすぎることを気にする妊婦さんが多くなり、胎児の低体重や母胎の栄養不足の問題も指摘されています。

体重管理については、お医者様や助産師さんとよく相談したうえで、適正値の範囲でコントロールするようにしましょう。

血圧は135/85mmHg未満に!家庭血圧の計測で血圧上昇を見逃さない

妊娠高血圧症候群のリスクが高いと、自分が高血圧になっていないか、毎日の血圧が気になるものだと思います。

また、「白衣高血圧」といって、本当は高血圧ではないのに、病院で看護師さんやお医者さんを前にすると血圧が上がってしまう方もいます。

血圧に不安を感じる場合には、自宅で血圧を測ってみるのもよいでしょう。家庭での血圧が135/85mmHg以上の値を示した際には注意が必要になります。

毎日同じ時間に計測することで自分の平常時の血圧を知ることができ、ちょっとした変化にも気付くことができます。

医療機関の中には、血圧計を貸し出し、患者さんの家庭血圧をクラウドサーバーで管理するサービスを実施しているところもあります。

【家庭血圧の測り方】
  • 上腕(二の腕部分)で測定する
  • 起床後1時間以内と夜寝る前に測る
  • トイレを済ませ、1~2分リラックスしてから、座った状態で測る
【こんな場合は要注意】
次のような場合には、かかりつけの産婦人科に連絡をしましょう(日本妊娠高血圧学会編集「妊娠高血圧症候群の診療指針2015」による)

  • 数日間の家庭血圧の平均が135/85mmHgより高い場合
  • 連続して140/90mmHg以上だった場合
  • 一度でも160/110mmHg以上の数値が出た場合

ただし、妊娠中の血圧は、妊娠20週にかけて少し低下し、妊娠20週前後から40週にかけて7~10mmHgほど上昇します。

このように私たちには判断しづらい生理的な変化もありますので、家庭血圧を測定する場合は、かかりつけのお医者様に相談しながら行うようにしましょう。

食事療法で症状の悪化を食い止める!

体重と血圧をコントロールするのに欠かせないのが食事療法です。1日にどれくらいの塩分とカロリーを摂取していいのか、ご存じですか??

まずは妊娠中に摂取してよい塩分とカロリーの量を知りましょう。また、葉酸を摂取すると妊娠高血圧症候群を抑制する効果が期待できる、とも言われています。

ここでは、妊娠高血圧症候群の悪化を防ぐための食事についてご説明しましょう。

塩分控えめ&低カロリーで、血圧上昇と体重増加を抑える!

妊娠高血圧症候群の悪化を防ぐには、食事への注意が大切です。塩分の摂りすぎは血圧上昇につながり、高カロリーは体重増加の原因となります。

日本産婦人科学会「妊娠高血圧症候群の生活指導および栄養指導」には、妊娠中の食事について、次のように書かれています。

塩分摂取量
妊娠高血圧症候群発症後 1日あたり7~8g
妊娠高血圧症候群予防 1日あたり10g以下
カロリー摂取量
BMI24以下 30kcal× 理想体重(kg)+200kcal/ 日
BMI24以上 30kcal× 理想体重(kg)/日

※BMIは妊娠する前のもの。
※理想体重とは、BMIが22となる体重のこと。

塩分とカロリーを控え、バランスのよい食事を摂るようにしましょう。詳しくは「妊娠高血圧症候群を抑える食事方法!塩分とカロリーを控えるコツ」の記事をご覧ください。

葉酸を摂取!妊娠高血圧症候群の発症予防につながる期待あり

まだ研究段階ではありますが、現在、葉酸の摂取について「妊娠高血圧症候群の発症予防に効果があるのではないか」と専門家が指摘しています。

日本妊娠高血圧学会の「妊娠高血圧症候群管理ガイドライン」には、いくつかの研究で葉酸の摂取により妊娠高血圧の発症が抑制されたと書かれています。

葉酸摂取による神経管閉鎖障害の発症リスクを下げる効果はよく知られていますが、今後の研究によっては、妊娠高血圧症候群への効果が明らかになってくるかもしれません。

現在、妊娠前から妊娠3ヶ月までは、葉酸を通常の摂取推奨量250㎍に加え、400㎍を追加摂取するように勧められています。

妊娠中の高血圧を防ぐためには、妊娠3ヶ月以降も推奨量を満たすようにしましょう。ただし、1日の摂取量が1000㎍を超えないように注意してください。

適度な運動を取り入れよう!体を休める時間も必要

体重管理のために、適度に体を動かしてカロリーを消費しましょう。妊娠中の運動は筋力アップにつながり、出産時に必要な体力を養うことができます。

また、疲れやストレスが多くなると、体の異変に気付く余裕がなくなってしまいます。意識的に休息をとって、ゆったりとした気持ちで過ごすようにしましょう。

適度な運動は体重管理に効果あり!水中散歩がオススメ

食事で摂取したカロリーは、体を動かすことで消費されます。食べるだけ食べて、体を動かさなければ、カロリーが使われずに蓄積され体重増加につながります。

急激な体重増加を防ぐには、マタニティエクササイズなど、妊娠中でもできる運動を取り入れ、体重管理につなげましょう。

また、福岡市の久保田産婦人科麻酔科医院の研究によると、「水中散歩は腎血流量を増やし、妊娠高血圧症候群の予防につながる」といわれています。

約90%の妊婦さんが水中散歩に参加しているこの医院では、妊娠高血圧症候群の発症が極端に少なく、約10,000件の出産件数のうちHELLP症候群や子癇が1例もないのだといいます。

水中散歩は浮力が働くため、お腹の重みを感じることなくウォーキングをすることができます。大きなお腹で動くのが億劫になってしまう妊婦さんにもオススメです。

ただし、妊娠高血圧症候群軽症と診断され、日常生活以外の運動を制限されている場合は、運動を自粛するようにしましょう。

休息をとり、ストレスをためない!体の異変に気付く余裕をもって

妊娠すると、それまでと同じようには動けなくなっていきます。自分では大丈夫と思っていても、心や体がムリをしていて、疲れやストレスが溜まってしまうようになります。

最近では、妊娠後も仕事を続ける女性が増えています。しかし、「職場に迷惑をかけるから」といって、妊娠したことや体調が悪いことを切り出せずにいる方もいます。

妊娠前と同じように仕事を続けてしまい、気づいたときには重症の妊娠高血圧症候群を発症しており、医師から緊急帝王切開を言い渡されたという人もいます。

立ち仕事や重い荷物を持つ作業をしたり、夜遅くまで残業をする生活を続けていると、ストレスや過労により自分の体調の変化に気付きにくくなってしまうものです。

また、忙しさを理由に妊婦健診をきちんと受診しないことも出てきてしまうでしょう。知らないうちに血圧が上がっていたり、尿にたんぱくが出てきているかもしれません。

どんなに忙しくても、妊娠中は意識的に休憩する時間をとり、体に疲れをためないようにしましょう。赤ちゃんのためにも、無理は禁物です!

妊娠高血圧症候群はレベルに合わせた対処が大切

妊娠高血圧症候群を予防したいからといって、むやみに安静にしたり、過剰な食事制限をすると、かえって体調の悪化につながることがあります。

お医者さまから気をつけるように言われた場合、軽症と診断を受けた場合には、それぞれのレベルに合わせた対処をしましょう。

日本医科大学多摩永山病院女性診療科医局のホームページに記されている、妊娠高血圧症候群のリスクサインが出た場合の対応方法についてご紹介します。

妊娠高血圧症候群への「注意」が必要といわれた場合

むくみや急激な体重増加があり、妊婦健診で「妊娠高血圧症候群になるかもしれないから注意しなさい」と言われた場合には、次のことに気をつけて生活をおくります。

  • 仕事や日常生活への制限はありません。
  • 過度な安静は必要ありませんが、1日7時間以上の睡眠とり、規則正しい生活を送りましょう。
  • 妊娠中の水泳運動は、むくみの改善に役立つので中断する必要はありません。
  • 食事で摂取する塩分は、正常妊婦と同様、1日あたり10gにします。
  • 1日に摂取するカロリーも、正常妊婦の基準値を超えないようにします。基準値は体型により異なります。
  • ビタミンやミネラル、カルシウムを積極的に摂るようにします。

妊娠高血圧症候群「軽症」と診断を受けた場合

高血圧や蛋白尿が確認され、妊娠高血圧症候群軽症と診断を受けたら、次の点に気をつけて生活を送ります。

  • 体重管理と栄養管理を徹底して行います。
  • 仕事は一時的にお休みし、安静にしましょう。ただし、洗濯やお掃除などの日常の家事は通常通り行って構いません。
  • 1日1~2時間程度、お昼に体を横にして休息するようにしましょう。
  • お腹の赤ちゃんの動きに変化はないか、胎動の自己チェックを行いましょう。
  • 子癇やHELLP症候群の前触れはないか、気をつけておきます。

自己判断はNG!お医者様と相談して自分と赤ちゃんを守ろう

妊婦健診で「妊娠高血圧症候群を発症するかもしれない」と注意を受けた場合には、悪化しないように食事や運動に気をつけましょう。

ただし、自己判断で行動してはいけません。たとえば、血圧が高くなってきたからと、自己判断で水分摂取制限をしたり、利尿剤を使用したりすると、血栓症のリスクをあげてしまいます。

また、症状が悪化してしまった場合には、安静を心がけましょう。1日でも長く妊娠を続けるためや、子癇などの緊急事態に備えるために入院になることもあります。

少しでも長く妊娠を継続できるよう、日常生活の送り方について担当の先生とよく相談することが大切です。

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