妊娠高血圧症候群は合併症が怖い…赤ちゃんへの影響も!

コメント0
2017/10/25

妊娠高血圧症候群で赤ちゃんへの影響を悩んでいる妊婦さん

妊娠高血圧症候群で気をつけたいのは「合併症」の発症です。高血圧・蛋白尿が重症化すると、様々な合併症のリスクが高くなります。

ここでは、母体に起こる合併症4つと胎児への影響をご紹介します。どれもママや赤ちゃんの命に関わる病気ばかりです。

妊娠高血圧症候群の合併症について詳しく知り、重症化しないように心がけましょう。妊婦健診の定期受診による早期発見と早期治療が大切です。

妊娠高血圧症候群の悪化で起こりうる4つの合併症

妊娠高血圧症候群は、「高血圧」と「蛋白尿」で診断される病気です。症状が悪化すると合併症を引き起こし、母体や胎児の命を落とす危険もあります。

妊娠高血圧症候群が引き起こす合併症には以下のものがあります。

  • 子癇・・・妊娠20週以降のけいれん発作
  • HELLP症候群・・・血液異常と肝機能低下によって引き起こされる病気
  • 肺水腫・・・肺に水が溜まり呼吸困難を引き起こす病気
  • 急性妊娠脂肪肝・・・妊娠30~38週頃、肝不全と脳症を発症する病気

それぞれ詳しくみていきましょう。

子癇発作・・・急な血圧上昇によって引き起こされる痙攣

「子癇(子癇発作)」は、 妊娠20週以降に初めて起きたけいれん発作のことです。子癇による痙攣発作が治まらない場合には、 母子の命に危険が及ぶ恐れがあります。

子癇の兆候
前触れとなる確かな症状はありません。ただし、 高血圧の妊婦さんに次のような症状があった場合には、 子癇の発症が疑われます。

  • 脳・神経症状・・・強い頭痛が続く、頭が重たい
  • 眼症状・・・目が見えなく感じる、 目の前で火花が散ったように感じる
  • 胃腸症状・・・みぞおち付近が急に痛くなる、気分が悪い、 嘔吐してしまう

妊娠中、分娩中、分娩後に発症し、患者のほとんどが妊娠高血圧症候群の妊婦さんです。

子癇の危険性
発作が止まない場合や赤ちゃんの状態が良くない場合には、 赤ちゃんを早くお腹から取り出すことが必要となります。

子癇が治まらずに脳の浮腫が進行すると、 脳ヘルニアとなってしまい、母体の命が危うくなります。

HELLP症候群・・・出血が止まらなくなる危険性あり

HELLP症候群は、血液の異変と肝臓機能の低下によって引き起こされる病気です。妊娠高血圧症候群になるとHELLP発症のリスクが高くなります。

HELLPとは、3つの体の異変を英語で表し、頭文字をとったものです。

H Hemolysis 溶血のこと。赤血球が破壊されることを示します。
EL Elevated Liver enzymes 肝機能が低下する「肝酵素の上昇」を表します。
LP Low Platelet 「血小板が減少する」という意味です。
症状と危険性
HELLP症候群では、次のような症状を感じます。

  • 上腹部(おへそより上のお腹)の痛み
  • みぞおちの痛み(心窩部痛)
  • 吐き気、嘔吐
HELLP症候群の約2割の人に、血液が止まらなくなる「血液凝固障害」や複数の臓器が正常に働かなくなる「多臓器不全」を引き起こします。

そのほかにも、常位胎盤早期剥離や腎不全、肺水腫などを合併することもあり、早期診断が重要な病気です。

発症時期と兆候
妊娠後半~分娩後に発症しやすい病気です。初期は胃腸の痛みや嘔吐が主な症状なため、内科症状と勘違いされることがあります。

また、肝臓の機能が低下すると黄疸が出ることがあったり、肺水腫を合併している場合には動悸・せき・呼吸困難などの症状がでます。

肺水腫・・・血液の液体成分がにじみ出し、肺に水が溜まる病気

肺水腫は、血液の液体成分が血管から外に漏れ出し、肺に溜まる病気です。酸素を体に取り込むことが難しくなり、呼吸困難になってしまうことがあります。

発症してしまった場合には、できるだけ早く妊娠を中止することが求められます。

妊娠高血圧症候群で肺水腫を発症するケース
妊娠高血圧症候群を発症している妊婦さんのうち、重症の場合には肺水腫を引き起こしやすくなります。

大阪府立母子保健総合医療センターの8年間(2003~2010年)の分娩例調査によると、重症高血圧症候群(帝王切開)の肺水腫発症は、一般分娩に比べて約72倍になるとしています。

妊娠高血圧症候群の妊婦が肺水腫を発症するケースは、妊娠中に発症する場合と、帝王切開中に発症する場合があります。

  1. 妊娠中に発症
    ・・・高血圧と蛋白尿の両方がある場合や重症高血圧症合併妊娠の場合には、肺水腫をひきおこすケースがみられる。
  2. 重症妊娠高血圧症候群の帝王切開
    ・・・重症妊娠高血圧症候群の場合、帝王切開時の肺水腫発症確率が高くなる。

血圧・蛋白尿の度合いが高い、重症の妊娠高血圧症候群の場合には、肺水腫への注意が必要となります。

肺水腫の症状
肺水腫の主症状は呼吸困難です。肺に水が溜まると呼吸をする際に苦しくなり、次のような症状が現れます。

  • 仰向けに寝るのが苦しい
  • 夜中に息苦しさで目が覚める
  • のどの奥でゼーゼーと鳴る
  • 泡状のピンク色のたんが出る

さらに症状が悪化すると、皮膚や唇が紫色になる、ひや汗が出る、血圧が下がり意識が低下するなど重篤な状態に陥ります。

急性妊娠脂肪肝・・・肝不全と脳症を引き起こす病気

妊娠高血圧症候群の患者さんが発症しやすい合併症に「急性妊娠脂肪肝」があります。症状がHELLP症候群に似ていて区別が難しいとされています。

では、急性妊娠脂肪肝とはどのような病気なのか、みていきましょう。

病気の危険性
急性妊娠脂肪肝は、妊娠30~38週頃に肝不全と脳症を発症する病気です。発見が遅れると、母子ともに危険な状態になる可能性があります。
症状
急性妊娠脂肪肝の症状は、HELLP症候群とよく似ています。発症時にこの2つの病気を明確に区別することは難しいと考えられています。

【急性妊娠脂肪肝の症状】

初期 頭痛、疲れやすい、倦怠感、食欲不振、嘔吐、吐き気、
みぞおちの右部分の痛み、黄疸などを発症する
中度 低血糖、胃腸からの出血、腎不全を起こす
重症 肝性脳症、多臓器不全を発症し、死亡に至る

赤ちゃんの成長や命にも影響が!胎児への影響

妊娠高血圧症候群はママの体に危険を及すだけでなく、お腹の赤ちゃんにも影響を与えてしまいます。

妊娠高血圧症候群が胎児に及す影響には、次のようなものがあります。

  • 常位胎盤早期剥離
  • 胎児発育不全
  • 低出生体重児
  • 子宮内胎児死亡
  • 胎児機能不全

それぞれ、赤ちゃんに与える影響についてみていきましょう。

常位胎盤早期剥離・・・拡張期血圧が高いほど発症リスクが増加

常位胎盤早期剥離(早剥)は予知が不可能であり、発症すると母子ともに命に危険が及ぶ、おそろしい病気です。

妊娠高血圧症候群の重症化は、早剥の発症リスクを高めてしまいます。早剥のリスクを抑えるためにも、妊娠高血圧症候群の早期発見はとても重要です。

早剥の危険性
常位胎盤早期剥離とは、赤ちゃんが生まれてから出てくるはずの胎盤が、何らかの理由で生まれる前に剥がれてしまう病気です。

発症した場合、妊婦の死亡率は5-10%、胎児の死亡率は30-50%です。命の危険性がとても高く、危険な病気であることがわかります。

発症の原因は明らかになっておらず、予防することはできません。全妊婦さんの0.5-1.3%におこると言われています。

妊娠高血圧症候群と早剥の関係性
妊娠高血圧症候群は、早剥のリスク因子とされています。特に、症状が重症化しているほど早剥のリスクが高くなります。

中でも、拡張期血圧(下の血圧)が高いほど発症リスクが上がります。日本妊娠高血圧学会によるPIH管理ガイドラインには、以下のようにリスクの高さが記されています。

拡張期血圧 早剥発症率
90~99mmHg 1.3%
100~109 mmHg 3.5%
110~119 mmHg 4.7%
120 mmHg以上 9.5%
症状
早剥がおきると、次のような症状が現れます。胎盤が大きく剥がれてしまうと、出血性ショックを起こしてしまうこともあります。

  • 性器からの出血
  • 腹痛
  • 子宮が板状に硬直する
  • 胎動の減少

栄養や酸素の不足が及す胎児への影響

妊娠高血圧症候群が重症化すると、赤ちゃんに酸素や栄養を届けるための血液が子宮や胎盤内十分に流れなくなります。

その結果、赤ちゃんが酸素不足や栄養不足になってしまうことになり、次のような影響が起こりやすくなります。

  • 胎児発育不全・・・栄養が不足し、おなかの赤ちゃんが十分に育たないこと
  • 低出生体重児・・・出生時の体重が2500g未満の赤ちゃんのこと
  • 子宮内胎児死亡・・・おなかの中で赤ちゃんが亡くなってしまうこと
  • 胎児機能不全・・・赤ちゃんが酸素不足になり、胎児心拍に異常がおきること

発症リスクが高い人は合併症の初期症状に注意

妊娠高血圧症候群の合併症は危険なものが多く、重度の場合には妊娠の終了を余儀なくされることにもなります。

現在、妊娠高血圧症候群の有効な予防策はみつかっていません。発症リスクが高い方は、血圧や体重のコントロールに注意して妊娠生活を送ることが求められます。

また、子癇やHELLP症候群などの初期症状に注意し、「頭痛」「目がチカチカする」などの症状がみられた場合には、すぐに受診するようにしましょう。

みんなのコメント
あなたの一言もどうぞ