保育士試験の実技対策は?【音楽】【造形】【言語】のアドバイス
保育士の実技試験は、音楽・造形・言語の3分野の内2種を選ぶことができます。
試験対策と選択のヒントをお伝えします。
【音楽】課題曲を練習して落ち着いて弾き語ろう
音楽は、基本的にピアノで弾き語りをします。自分で楽器を持ち込めば、ギター・アコーディオンでの受験も可能です。得意な楽器で勝負することが良いでしょう。
- 音楽のメリット
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- 事前に課題曲2曲が分かるので練習ができる…「受験の手引き」に添付
- 市販の楽譜でもOK
- 楽譜を見て受けられる
- 音楽のデメリット
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- 風邪をひくなど、声の調子が影響する
- 緊張が試験に直結しやすい
- ミスのカバーができない
音楽の試験は、ピアノのコンクールやのど自慢大会ではありません。秀でた才能よりも地道な努力と優しい声・表情を大切に対策していきましょう。
課題曲を自分のものに!ピアノは編曲&楽譜選び
音楽の試験でネックになるのは、歌よりもピアノという方の方が多いです。でも、このピアノ伴奏は自分に合わせて作り替えることができます。
多くの動揺・唱歌の楽譜集では、右手・左手・歌のメロディーがバラバラなことも多く、練習もどう始めたらよいのかわからないという声も。
まずは、自分の技量に合った伴奏の楽譜を探すか、作りましょう。
移調も可能です。黒鍵が苦手な方は、声が出るキーであることは最低条件ですがハ長調にしてしまいましょう。
ある程度弾ける方は、市販の楽譜で十分です。勿論「ジャズアレンジ」などがされているものはアウトなので、幼児向けの伴奏楽譜を入手しましょう。
ピアノの練習は片手から両手、スローからハイテンポに
ピアノの練習の方法は、まず右手から。右手がスムーズに弾けるようになったら左手です。この時に、ゆっくりから始めて、歌えるテンポで弾けるようになりましょう。
添付の楽譜には、テンポの指定がありませんが、市販のものには「♩=60」といったテンポの指示があるものもあります。合格には、遅すぎなければ少しゆっくりでも正確に弾くことが大切です。
片手で弾けるようになったら両手です。同じところ(1~2小節程度)を繰り返し練習することで、指が覚えていくので、何度も間違えながら1曲を終えるより効果的だと思います。
- テンポは一定に
- 歌を超える音量・テクニックは不要
- 間違えたときは歌・単音でカバー
- 楽譜は画用紙を台紙にして厚めの一枚に
歌はウマさよりも正確さ!歌詞とリズムをチェック
音楽の試験で最も大切なのは歌唱です。ピアノの技術よりも歌は苦にならない人が多いですが、大事なポイントがあります。
- 歌詞(1番だけ)は正確に
- リズムは付点に気を付けて
- 発声は基本的にお腹から
- 大きすぎる声ではなく優しく促す歌を
- 歌詞
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時々思い込みやうろ覚えで保育をする先生がいます。試験では、きちんと手引きに載っているのでしっかり確認をしましょう。
- ×ゆきやこんこん ○ゆきやこんこ
- ×どんぐりころころどんぐりこ ○どんぐりころころどんぶりこ
- ×あんまりいそいでごっつんこ ○あんまりいそいでこっつんこ
例のように間違った歌詞で歌い慣れていると、つい出てしまうことも。幼児期にインプットしたものを訂正しておくことも大切です。
- リズム
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歌詞と同じく正確さが問われます。特に三連符や付点は、歌詞のどの部分で切り替えるか注意しておくと良いかもしれません。
添付楽譜は、歌詞が音符の下についています。確認してから練習をすることで癖が直ったりつきにくいのではないでしょうか。
特にピアノが得意な方は、一音ずつ見なくても楽譜全体を大まかに見て弾き語りができます。思わぬ見落としを防ぐためにも一度確認しておくことは大事かもしれません。
- 歌
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いわゆる「ウマい」はNGの場合が多いです。カラオケの点数になる「しゃくり」「こぶし」「フォール」はやめた方が良いでしょう。癖のある方は、抑えることをおすすめします。
合唱部出身者の響く歌い方も、子どもたちには不向きです。子どもたちの元気な歌を引き出す伴奏のつもりで歌う方が好印象でしょう。
過度のビブラート、抑揚も必要ありません。子どもが歌いやすいように優しく発声して歌うことを心がけましょう。
声量は、ピアノに負けたらいけません。でも、元気な声と大きな声を混同しないことも大切です。実際に録音して聞いてみて、子どもが一緒に歌うことを想像してみましょう。
声の質は、個人差があります。合否には直接響かないと思って大丈夫です。
弾き語りは落ち着いて。ミスはどちらかでカバー
ピアノと歌を合わせて、ゆっくりから練習をしましょう。歌>ピアノのバランスは大事です。
試験当日は、落ち着くことが一番です。試験官は、堂々と上手に弾き語るコンサートを聞きに来ているわけではありません。そこには子どもたちがいるとイメージして臨むと緊張が和らぐのではないでしょうか。
- 椅子を合わせる(高さ・位置・ピアノとの距離)
- 楽譜を置く
- 深呼吸をする
- 課題曲の1曲目から2曲弾く
もし、歌を間違ってしまっても、伴奏があれば子どもたちは歌い続けます。そんな実際の保育現場を想像して、楽しく実技試験を乗り越えてくださいね。
50点中30点以上で合格です。どうか気負い過ぎずに楽しんでくださいね。
【造形】色鉛筆で数パターンの練習を
造形は、色鉛筆画です。絵のテーマとなる状況の説明と絵画の条件が提示されます。制限時間内に絵を仕上げるという試験になります。
- 造形のメリット
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- 時間の中で自由に構成することができる
- 少々のミスはカバーできる
- 得意なテクニックを使える
- 造形のデメリット
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- 時間制限がある
- 色鉛筆の持ち込みが必要
- テーマが当日までわからない
- 造形対策のステップ
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- 造形の試験の概要
- 制限時間45分間
- 鉛筆かシャープペンシル、色鉛筆12~24色、消しゴム持参
- 用紙はA4用紙の19㎝×19㎝の枠内
- テーマは保育園生活の一部で保育士と子どもたちの一場面
テーマのとらえ方に保育士の感性が出る!イメージを大切に
保育の一場面が題材になります。子どもの反応はどんなものがあるでしょうか。泣く子、喜ぶ子、困っている子など、子どもの姿をいかにイメージできるかが問われます。
大切なのは、絶対に子どもの表情は同じではないということ。姿勢や居場所も様々です。保育士の位置や表情、動きも大切です。
テーマをリアルに捉えて構図につなげるには、保育現場の一日をしっかりイメージすることです。
- 【登園する】荷物をロッカーに入れる子、泣いて保育士に抱かれる子…
- 【おやつ】座って笑顔で食べる子、隣の子のおやつに手を出す子、こぼす子…
- 【室内遊び(絵画)】クレヨンを転がす子、両手に持つ子、描く子、顔についている子…
- 【室内(読み聞かせ)】体操座りの子、隣の子が気になる子、横座りの子、乗り出す子…
- 【園庭(砂遊び)】山を作る、トンネルを掘る、型抜き…
- 【園庭(鉄棒)】回る子、見る子、できない子、ぶら下がる子…
- 【お昼寝】着替える子、寝る子、泣く子、お友だちにトントンする子…
- 【園外(散歩)】列を守る子、花や虫が気になる子、空を見上げる子、遅れる子…
- 【園外(お弁当)】嬉しそうに食べる子、おかずを自慢する子、おかずを転がす子…
季節によってもテーマが色々あります
- 【4月】桜、チューリップ、入園式、ぶかぶかの制服、健康診断
- 【5月】こいのぼり、母の日制作、給食、保育園探検
- 【6月】歯磨き、父の日制作、雨の日の遊び、てるてる坊主、水たまり
- 【7、8月】水遊び、夏祭り、プール開き
- 【9月】落ち葉拾い、運動会、敬老の日
- 【10月】遠足、バス、どんぐり拾い
- 【11月】お遊戯会、ダンス、合奏、劇
- 【12月】クリスマス会、おもちつき
- 【1月】凧揚げ、こままわし、ふくわらい、すごろく
- 【2月】雪遊び、ゆきだるま、雪合戦、節分、豆まき、マラソン、縄跳び
- 【3月】進級、ひな祭り、卒園式
どんなテーマが来ても、すぐにある程度のイメージができるように準備をしておくと良いと思います。
ポイントとして、保育士の姿があります。保育士の描き方は、理想の保育士像ととらえられます。保育士とは、現場でどうあるべきでしょうか。
- 基本的に優しい笑顔(叱るときにも、口元などに優しさを出す)
- 目線は子どもと同じ高さ
- 子どもや、子どもが見ているものを見ている
- 手は子どもに触れている
- 安全に配慮する
このような保育士を描く練習をしていると良いと思います。
色使いは原色よりパステルにして温かみのある絵に
造形は、例年色鉛筆画です。時間制限があるため、色鉛筆は発色が良い柔らかく塗りやすいものを準備しましょう。
色は、12~24色と指定されています。基本的に、単色・原色は好まれません。保育士として、絵画で子どもと関わる中で、自然の色への気付きはとても大切になります。
顔の色も、薄橙、茶、薄茶、橙、黄、桃…2色以上で塗ることをおすすめします。口も、赤、桃、橙を混ぜたり、濃淡を出しましょう。
ある程度練習を重ねる中で、持っていく色鉛筆の色も定まってくるのではないでしょうか。
構図は遠近感を出す!保育室内もお外も描けるように
絵画の技術に構図があります。手前の子どもや保育士は大きく、遠くの人物は小さく描きます。
背景も必ず書きますが、細かくしすぎると時間が足りなくなり、肝心の人物がしっかり描けなくなります。
- 保育室とわかるアイテム
- 窓・カーテン
- ロッカー(中にはお道具箱、リュック、園バッグ、帽子等)
- おもちゃ…車、積み木、ままごとコーナー、人形(棚、衣装ケース、床に直置き)
- 絵本(本棚、提示、床に)
- ピアノ、黒板、掲示物(絵画、折り紙、壁面)
試験当日に慌てないよう、何を描くかはある程度決めておきましょう。
アニメチックな絵はダメ?描き方のコツ
絵が上手な人には、デッサンが上手な人とイラストが上手な人がいます。デッサンが上手な人は、時間さえかからなければある程度ご自分のテイストで大丈夫なようです。
イラストが得意な方は、ちょっと写実的に寄せていく必要があるかもしれませんね。表情をつけるなどの工夫をしてください。
造形の練習は制限時間内で
- 構図…背景、保育士1人以上、子ども数人をレイアウトする
- パーツの練習…座る、立つ、歩く、走る、笑う、泣く、怒る、手をつなぐ…
- 細かい描き込み・塗りこみ…服の色は決めておくと良い
- A4用紙に19×19の枠を作り、時間を計って描いてみる
自分の苦手な部分にどれくらい時間をかけるかも考えておきましょう。どうしても構図に10分かかる方は、30分で書けるようになっておく必要があります。
本番では、落ち着いて丁寧に塗ることを心がけましょう。ある程度の絵の巧拙は、画家を目指す試験ではないことを頭に入れておくと、あまり気負わずに臨めるかもしれませんね。
50点中30点で合格です。しっかり準備をして、保育士になった自分を描くつもりで楽しんでください。
【言語】暗記する台本を繰り返し練習して
言語では、手引きにある4タイトルから1つを選んで語り聞かせをします。手引きに記載されているポイントは以下の3点です。
- 3歳児
- 20人
- 3分
実際にお話を暗唱して実演する試験です。
- 言語のメリット
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- 事前に本番を想定した練習ができる
- 特別な技術を要しない
- 持ち物がない
- 言語のデメリット
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- お話を作らなければならない
- 3分間の暗唱
- 緊張・風邪の影響が出やすい
4タイトルからどのお話を選ぶ?選び方のポイント
好きな話だと、実際に笑顔で楽しそうにお話しできて合格に近づくかもしれません。
好きな話でも、3分の構成がしやすいとは限りません。ストーリーをよく理解して、3分で3歳児に楽しめる展開に持っていけるかも考えてみましょう。
- 3歳児の知っている内容、わかりやすい内容か
- 演じ分けがしやすいか
- 抑揚がつけやすいか
台本作りは3歳児20人を想定して
3分間の台本を作ります。試験では、想定だけなので、ハプニングはありませんが、ただの朗読ではありません。台本に入れるべきポイントを参考にしてみてください。
- 保育士から子供への語りかけ
- 難しい言葉のフォロー
- 表情(顔と声)
- 登場人物のセリフ
- 間(子どもたちの反応・表情を見る)
実際の保育現場では、子どもたちの反応に応じてお話を早めに切りあげたり、歌を入れたりします。
台本に保育士の在り方を組み込むつもりで作ってみると良いかもしれません。
- 参考例
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- (20人を見まわして)わぁ、みんなお目々が真っすぐ先生を見てくれてるね。ではおはなしを始めます。「3びきのこぶた」(こぶたの前に一呼吸)
- (てぶくろ)もう これで 5ひきになりました。(間)次は誰かなぁ?(小声で)「(静かにゆっくり猪っぽい声)ふるんふるんふるん(間…子どもたちを見る)」
- (子どもたちと一緒に歌えるように間をあけてブレスをする)「お~むすび ころりん すっとんと~ん」(飛び切りの笑顔で間)
実際に、間で子どもたちは保育に目をやります。ちょっと気を付けてみると良いと思います。
3歳児向けには優しい声で、怖すぎるのは逆効果
基本的に、保育士から園児への語りかけは、大きすぎない声で優しく発声すると思います。練習になかで声の演じ分け方に迷っている方が多いのではないでしょうか。
基本的に小さいと高い声、大きいと低い声になります。「3びきのこぶた」も「3びきのやぎのがらがらどん」も、一番下は高い声で速めに話します。
一番上のぶたも声色は優しくて良いのですが、がらがらどんは少し怖いと感じる低さです。3歳児は、演技力がありすぎると泣く子もいます。
わざわざ年齢の設定があるので、低くても大きすぎない声で、勢いをつけすぎないことが大切です。
トロルも、怖すぎると子どもたちの集中がそれてしまいます。低い声も静かに言うことで雰囲気は出しながら子どもたちに恐怖を与えずにお話に惹きつけることができます。
3分間に抑揚があることで、子どもたちが退屈しない
3分間は、ただお話を聞いていると大人でも退屈する長さです。途中の語りかけやお話の抑揚で、子どもたちは飽きずにいられます。
お話の盛り上がる部分をよく読み取り、構成をしていきましょう。
中盤で盛り上がるお話と、どんどん盛り上がっていくお話、選択したものがどういう構成になっているかの分析も大切です。
演技力ではなく保育士の力を問われている
手引きにも求められる力とありますが、言語でお話をするとはいえ、保育士の試験です。
- 基本的な声の出し方は、舞台映えより温かさ
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舞台での演技のようにお腹から大きな響く声を出す必要はありません。あくまで保育室で20人に届く声です。
優しい声色がベースになることを忘れないで、いつも、子どもに語り掛けていることを意識してみましょう。
- 表現上の技術は演技力より保育士力
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ある程度役になりきることは必要ですが、自分がその役になってはいけません。保育士が演じているという演技力だと思ってみると、ちょっとソフトになるのではないでしょうか。
特にオオカミやいじわる爺さん、トロルなど、怖い役に徹するのは禁物です。
例えば子供を叱るときも、どこかに温かみを持たせてお話をする保育士が良いと思いませんか?
- 幼児に対する話し方の見せ所は語りかけと視線で演出
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ただの朗読ではなく、目の前に子どもがいる設定なので、子どもへの語りかけが重要です。「誰かな?」「どうなるのかな?」と、子どもたちのワクワクを誘い、集中を向けましょう。
声の出し方やセリフだけではなく、保育士は目で語ります。首をかしげて子どもたちに目をやる、全員を見まわすなど、言葉だけではなく仕草でその技術をアピールすることも大切です。
練習は録画をして客観的に評価を
言語の練習も録画することをおすすめします。姿勢、表情、声色、スピード…客観的に見てみると意外と気づくところがあるのではないでしょうか。
録画をすると自分の声が違って聞こえます。また、姿勢も意識しているのに…ということが良くあります。胸を張って偉そうに見えたり子どもから怖がられたりすることも。
何に関しても優しさや元気な雰囲気が重要になります。
50点中30点で合格です。しっかり台本を作り込み、練習を重ねたら、本番は笑顔で乗り切りましょう。20人の3歳児があなたのお話を楽しみに待ってくれていますよ。
保育士試験を受ける皆さんへ
保育士は、とても楽しいお仕事です。子どもたちは、皆さんの明るく優しい笑顔を待っています。
試験は、音楽家、画家、俳優になる為のものではありません。どの科目も、理想の保育士像をもとに対策していただきたいと思います。
皆さんが保育の現場で楽しく活躍される日を楽しみにしています。
MARCH(マーチ)では、妊娠や子育ての先輩たちが、ためになる情報を毎日配信しています!新米ママ&パパはぜひご覧ください♪
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