ぬいぐるみを離さない子供の心理…ブランケット症候群?依存の理由と対処法

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2017/03/03

お子さんがお気に入りのぬいぐるみと常に一緒に居て、なかなか手放さないということはありませんか?

小さな子どもたちが、いつも同じぬいぐるみを抱えている姿は、なかなか可愛らしいものがありますよね。

でもあまり大きくなっても、幼児期に与えたおもちゃやぬいぐるみを手放せない、どこに行くにも持っていくとなると、ちょっと気になってきますよね。

親の愛情不足なのかな、と不安になってしまうお父さんお母さんもあるのかもしれません。

子どもたちはどうして、特定のおもちゃや人形に執着を示すようになるのでしょうか。そこには発達心理学的にどのような秘密があるのでしょう。

子どもがぬいぐるみを手放さない理由には様々なものが考えられています。以下にその意味を考えていきましょう。

特定のぬいぐるみを手放さないのは、幼児の心理的特徴

子どもがお気に入りになるアイテムとしては、出産の時のプレゼントとしてもらう機会の多いアンパンマンやしまじろうなどの人気キャラクターが多いようです。

うちの息子も親戚の人からもらったアンパンマンのおもちゃがお気に入りで、どこに行くにもそのおもちゃを必ず持っていきます。

これは移行対象と呼ばれる存在で、赤ちゃんや幼児が特定のアイテムに深い関心を示して常にそばに置きたがる、心理学的な行動とされています。

俗に「安心毛布」とも呼ばれる、小さな子どもに良くある行動の一つです。特定のぬいぐるみなどに愛着を示すのは、子どもらしい行いと言ってもいいでしょう。

何故それが多くおもちゃではなくて、特定の一つに絞られるのでしょうか。そして、ある程度年齢上がっても赤ちゃんの頃のおもちゃを手放さない。

そんな子どもの心理には、どのような秘密が隠されているのでしょうか。ぬいぐるみに執着を占める子どもの心に迫っていきましょう。

発達心理学的な見地から見た「安心毛布」

安心毛布とは、文字通りそれを持っていると安心できる、赤ちゃんや幼児の特別お気に入りのアイテムです。

こうした安心毛布現象は、赤ちゃんだけではなくある程度大きくなったお子さんや、大人にも突然起こることがあると言われています。

赤ちゃんや幼児は、特定の毛布やぬいぐるみに触れたり口にいれたりすることで、気持ちの安定を得ていると考えられています。

そのために、安心毛布は子どもの精神発達上の見地から、とても重要な指標です。安心毛布という方法によって赤ちゃんの心を測れます。

傍に置くだけで安心感を与えてくれる特定のアイテム。それは、発達心理学的には子どもの成長にどんな影響をもっているのでしょうか。

「ライナスの毛布」とも呼ばれる心の拠り所

安心毛布の概念は、漫画作品「ピーナッツ」に登場するキャラクター“ライナス”が常に同じ毛布を手にしていることから「ライナスの毛布」とも呼ばれます。

ライナスは同作品の中で、常に同じ毛布を手にして頬ずりしている姿で描かれています。まさに「安心毛布」の典型なのですね。

このようにおもちゃやぬいぐるみだけでなく、毛布やタオル、ブランケットなど日常的に常に同じものを手にして、子どもは安心感を得ています。

時にはお母さんがそれを洗濯しようとしても、頑として受け入れず、ぼろぼろになったり汚れてしまっても絶対に手放さないことも多いのです。

中には外出するときも常に手放さず、旅行にまで持って行こうとしてちょっとした喧嘩になっていまうこともあります。

こっそり洗濯しようとしても、洗濯物の中から自分の安心毛布を見つけてしまって、やっぱり手放さないことがあったりなど。

これほどまでに、幼児にとって安心毛布という対象は重要な存在なのです。それは安心毛布が、赤ちゃんにとっての大切な心の拠り所だからです。

赤ちゃんの小さな心はまだまだ不安や心配で一杯です。当然ですよね。生まれてからまだ1年ほどしか経ってなくて知らないことの方が多いのですから。

そのため、日々のちょっとしたストレスや恐怖感に打ち勝つための心の拠り所が必要になってくるのです。

それが子どもたちにとっての安心毛布、まさに、安心をもたらしてくれる大切な宝物になるというわけなのです。

自立を促されるとき、突然安心毛布が必要になることも

安心毛布現象は大人にも起こると先に書きましたが、実はそれまで移行対象を持っていなかった子どもが、突然特定のアイテムに執着しだすこともあります。

それは、強い心理ストレスに晒されて、なんとか心の安定を得ようとしているからです。たとえば自立を促される環境に陥った時などがそうです。

例えば

  • 下の兄弟が生まれて、お母さんが自分から離れて行くような感覚を覚えた時
  • 保育園や小学校に入って、新しい人間関係を築くかなくてはならない時

などがそうです。

ママからの自立した行動を期待される時に、強い不安感を鎮めるため、安心毛布を突如求めるようになるのです。

もう大きくなったのに、急に子供の頃のおもちゃで遊び始めた。そんな姿を見ているとママは何があったのかと不安になるかもしれません。

私自身も、高校生の一時期それまで見向きもしなかったくまのぬいぐるみを急に持ち歩いて家族を驚かせたことがありました。

今思うと、受験ストレスの悩みを感じて、心が無意識に安心毛布を求めていたのかもしれません。このように大人用の安心毛布も時として必要なのです。

いつも一緒のぬいぐるみ、それは母親と自分の姿を重ねたもの

では、安心毛布が特定の何がに絞られるのはなせなのでしょうか?たくさんおもちゃやタオルがあるのに、一つだけ、一枚だけの対象に愛着を示す。

ちなみに、いつも手放さないと言っても、どんなタオルでもいい、どんなおもちゃでもいいといった場合は、安心毛布とは呼びません。

あくまでお子さんが特定の一つのアイテムに執着している状態を、安心毛布と呼ぶのです。たった一つの対象への愛着、それはどんな意味をもっているのでしょうか。

いつもお母さんが一緒に居てくれるという安心感の表現

実は、お世話になった保健師さんに、安心毛布が出来るのはママとの心の繋がりがしっかりできているからなのだ、とアドバイスされたことがあります。

その当時長男が5歳になるのに、いつも同じぞうのぬいぐるみを持っているので心配になって、相談してみたのです。

すると、「それはお母さんのマネをしているんですよ」と意外な回答をもらいました。お母さんのマネとはどういうことなのでしょうか。

保健師さんは、「お母さんがいつも自分の傍に居てくれるから、自分もそれを真似して、ぬいぐるみの“傍にいてあげている”んですよ」。そう言われたのです。

つまり、安心毛布とは、ママのことを表しているのですね。特定の何かに執着を持っているのは、ママが一人きりだからに他なりません。

ですから、ぬいぐるみを手放さない子どもほど、ママに愛着を感じていると言えるのです。だから安心毛布が出来ることは、是非とも歓迎すべきことなのです。

決して愛情不足なのではありません。むしろ、たくさん愛情をもらっているからこそ、安心毛布に執着しているのです。

年齢上がっても執着心が強い子どもは心理ストレスを感じているかも

ここまで幼児期の安心毛布について見てきました。小さなお子さんがママとの繋がりを大切にして、心の安定を保つためのアイテムなのです。

しかし、この安心毛布、あまり年齢が上がって小学校高学年や中学校まで続いていくようでは、少し注意が必要かもしれません。

これは先に書いたような、大人になってから突然始まる安心毛布ではなくて、小さなころの執着が成長してもなくならないという場合です。

このケースには様々な原因が考えられますが、いずれにしてもお子さんが強いストレスと戦っている証です。

心配な場合は、お子さんが普段から常に持ち歩いているタオルやアイテムが無いかどうかチェックしてみてください。

安心毛布がなかなか手放せない時には、普段の子どもの様子を少し目線を変えて見守る必要があります。

幼児期と違ってストレス家庭になっているかもしれません

子どもは成長していく過程で、現実世界の中に自分の居場所を見つけなくてはならなくなります。

その際、家庭が安心できる場所であることがとても重要で、心理学的には「安全基地」という言葉が使われています。

これは探検隊が拠点に使う基地を家庭に模した考え方で、まさに基地に帰れば安心して休息ができ、食べ物と暖かい寝床得られる、という安心感を表現しています。

家庭がそのような安全基地になっていればいいのですが、子どもが小さいときと打って変わって家庭でストレスを感じているのかもしれません。。

子どもが小学校や中学校に入って、親も変わって行きます。

  • 宿題や行事など口出しをしてしまう
  • 成績について圧迫感を与えてしまう
  • 生活態度について過剰にしつけてしまう

もう大きくなったんだからしつけないと、と思いこのような態度に出てしまいます。

そんな状況では、子どもは家庭で安心感を得られません。そのまま高学年の反抗期に入っていくと、更に心は不安定になっていきます。

だからいつまでも安心毛布から離れて行くことが出来ないのです。大きくなっても安心毛布を手放さない子どもは、親の愛情に飢えているのかもしれません。

発達障害を持っている可能性も考慮に入れておきましょう

また、いつまでも特定のアイテムに執着している子どもの中には、発達障害の可能性もあることを考慮に入れておいてください。

発達障害即、問題だということではありません。しかし発達障害のあるお子さんはこれからの人生で、人間関係に何らかの対処法を必要とする場合があります。

アスペルガー症候群や高機能自閉症のお子さんの中には、執着心が強いことがある、という特徴を見せることがあります。

もちろんすべての発達障害のお子さんに、そういう傾向が見られるわけではありません。それに執着が強いからと言って発達障害であるとも言い切れません。

しかし実際に発達障害の場合には、生活していくうえで丁寧なケアが必要になります。ですから安心毛布の長期化は、発達障害を見つける一つの指標にもなるのです。

もし、自分のお子さんの発達障害が不安になってきた場合は、地域の保健センターに子育て全般の相談にのってくれる部署があるはずです。

そこで発達相談や心理カウンセリングを受けることが出来ます。大丈夫、問題ありませんよ、と言われたらそれでいいのです。

不安を感じた時専門家の意見を募ることは、子育てしていくうえで大切です。その点、自治体の機関なら必ず信頼できる方が居ます。気軽に利用してください。

ストレス緩和のためにも無理やり手放させるのは止めましょう

安心毛布は、基本的に無理やり手放させることはいけません。それは子どもの心の拠り所を奪ってしまうことになるからです。

もう大きくなったのだから、いい加減おもちゃなんかを持ち歩いてほしくない、みっともない、と思ってしまうお母さんも居ることでしょう。

でも安心毛布は子どもが自分の中のストレスや葛藤と戦っていくためのお守りでもあるし、武器ともいえるものなのです。

それを無理やり取ってしまうと、子どもの心は更に不安定になってしまいますよね。そうなると、親への反抗や問題行動が酷くなるかもしれません。

先に挙げたように発達障害を原因として、物に執着している場合もあります。安心毛布は基本的にいくつになっても、取り上げるということはしないでください。

子どもがぬいぐるみやおもちゃで心の安定を得ているというのは、推奨されるべき状態です。

安心毛布の存在は、赤ちゃんがお母さんとの愛着関係をしっかり築いている状態です。

愛着のしっかりした子どもは、成長してからの社会への適応が良好だという研究があります。

その時を、子どもを注意深く見守りながら待ってみましょう。そして家庭が安心できる場所になっていくといいですね。

子どもの心を安定させるのは愛着体験がしっかりと形成されていること

子どもが特定のおもちゃやタオルなどを常に持ち歩くのは、ママとの愛着体験がしっかり形成されていることなのだ、と見てきました。

小さな子どもにとってママは世界の中心です。そのママが常にそばに居てくれるという安心感を、自分で表現したものが安心毛布のもう一つの側面なのですね。

その場合、子どもには自分がママとしての存在で、安心毛布が自分を仮託した存在になっているのです。とても可愛らしい行動だと思います。

そう言った行動を経ることによって子どもは心の安心感を得るのです。時にはいつまでも安心毛布を手放せないことが、自立を妨げてるという視点もあります。

確かに、強い心理ストレスを原因としてぬいぐるみを必要とする子供もいます。でも自立が妨げられるわけではありません。

むしろ、自立への道を模索するために、安心毛布に依存しているのです。あまり心配しなくてもやがて自立してく日は来ます。

その時を待って、子どもが大切にしているぬいぐるみは家族の一員のように、大切に受け入れてあげてください。

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