里帰り出産をする場合の、妊婦検診のみを受ける産婦人科の選び方
妊娠が分かったらなるべく早急に進めていきたいのが出産する病院選びですが、産前産後のご自身の負担を考えて、里帰り出産を選択する方も多いのではないでしょうか。
里帰り出産の場合、検診を受ける産婦人科の病院と分娩する産院とが異なることがほとんどです。
出産する産院選びは慎重でも、検診に行く病院選びは特にこだわりなくおざなりになりがちです。
しかし、せっかく赤ちゃんの成長を実感できる検診ですから、相性の良い病院を受診したいものです。
では、妊娠6週くらいから検診を受ける産婦人科はどのように選べばよいのでしょうか。ぜひチェックしておきたいポイントと選び方をまとめました。
この記事の目次
検診の病院選びは条件と相性が大事!チェックするべき5つのポイント
適当に病院を選んでしまうと、たとえそこで出産する予定がなくても後から後悔することも考えられます。
では、どのような点について注意して病院を選べばよいのでしょうか。
- 検診のみの受診が受け付けられるか
- 診察の受付形式
- 立地条件
- 実際に診てくださる先生
- 設備状況
この5点について、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
出産しない人はNGの場合も…検診のみ可か要確認
そもそも、同じ病院で出産することを前提として妊婦健診を受け付けている産婦人科病院も少なくありません。
それは病院の規模に関わらず方針として定められている場合がほとんどです。
「この病院で検診を受けよう!」とある程度の目星がついたら、受診前に必ず問い合わせをするようにしましょう。
問い合わせの際は、里帰り出産予定で分娩は別病院で考えていることをはっきりと伝えましょう。そうすると、検診のみの受付が可能かどうかや、可能の場合はいつ頃の転院が望ましいか、紹介状はどのような形式になるかといった詳しい説明を受けることができます。
たとえそこで受け付けられないという回答だとしても、近隣に妊婦健診のみでも受け付けている病院があるかどうかを教えてくれることもあります。
リスクの高さで条件は変化…NICU設置の病院
NICU(新生児集中治療室)が設置されている病院だと、万が一の時に安心だからと検診を希望する妊婦さんは少なくありません。
しかし、このように高度な設備が揃っている大学病院や総合病院などの場合、ハイリスクの出産予定者で出産までの経過を診なければならないような妊娠している人のみを受け付けることも多くあります。
例えば、多胎妊娠(双子以上)、超高齢出産、妊婦さんに持病がある…といった場合です。
NICU設置の病院だと出産直前での転院や出産後直ちに新生児のみが転院してくるというようなことが日常的に生じるため、なるべく病床を空けて医師の確保をしておく必要があるのです。
「自分自身もハイリスクだから」と問い合わせると、今度は原則転院不可で一貫して出産までを管理するなら、と条件が出ることもあります。
また、NICU設置ではない総合病院の場合でも、他の病気を患ったうえでの妊娠の場合に限るなど、検診を受けるのに条件があることがあります。
公立病院の場合は検診のみの受付は個人病院で紹介状をもらってくることが条件となっていることが多いようです。
色々な条件は病院によって異なりますので、隠し事はせずに必ず問い合わせをしたうえで病院へ行くことが大切です。
転院が原則出来ないルールの場合も…個人病院も要注意
大病院ではない個人病院の場合、医院長の方針によって異なる判断がなされます。
同一病院での出産を希望する妊婦のみ検診を受け付けるという病院もあれば、他病院での出産希望者も幅広く受け付ける病院もあります。また、初期に他の病院で妊娠確定診断や検診を受けてから、転院してきての検診を原則受け入れない病院もあります。
個人病院の場合は一概に理由を言えるものではなく、あくまでその病院の方針としか説明が出来ません。
そのため、個人病院だとしても必ず里帰り出産希望の問い合わせをしてから検診を受けるようにしましょう。
また、万が一妊娠中に産婦人科以外の病気にかかった場合は提携先の病院があるのか、転院は出来るのかも確認しておきましょう。
診察順の先着式、予約式はメリットとデメリットを考慮しよう!
産婦人科の場合、受診日時の決め方は大きく2通りに分けられます。
- 受診の順番を先着順で決める病院
- 受診の時間を予約制で区切る病院
どちらの場合もメリット・デメリットがありますので、よく比較して自分に合った方を選ぶ条件として考慮すると良いでしょう。
先着式は「早い者勝ち」…かなり待つ場合も
先着式は主に個人病院で取られている形式です。
事前に予定を立てていなくても、自分の行けるタイミングで受診することが出来るというのが最大のメリットです。
例えば、検診に行く予定だった日に急用が入ってしまった場合も、自分の予定に合わせて行く日を変更したり調節することができます。
何か体に異変があった際の受診は先着式、検診や検査は予約式という病院もあります。
ただし、病院の混雑具合や急患によってはかなり待つこともありますが、そのような場合はたいてい受付時にどれくらい待つのかを教えてもらえます。
病院によっては一時帰宅や外出が認められているところもあります。
病院へ実際に行く前に電話をして混雑具合や待ち時間を聞いておくことも出来ます。
予約式はスケジュールが組みやすい!急な診察は嫌がられることも
予約式は多くの大病院や比較的新しい個人病院で行われています。
事前に電話やインターネットで予約をし、決められた日時に病院を受診する形式です。
一番のメリットはスケジュールを組みやすく、待ち時間と帰宅時間がある程度読めることです。
たいていの場合会計時に次回の健診の日程を予約する形になるので、毎回決められた曜日や時間を指定することも可能です。
病気での受診は先着式で検診は予約式、初診のみ先着式で2回目以降は予約式など、形式を組み合わせている病院もあります。
しかし、人気の病院や多くの患者さんを抱えている病院だと、希望の日時がすぐに埋まってしまうこともあります。
また、急患として診察を受けたい時に嫌な顔をされたり、新しく予約を取らされてすぐに受診が出来ないということもあるようです。
妊娠中は急な体調の変化で受診することも考えられるので、出来れば受診する前に一度急患として診察を受ける場合はどのような受付形式なのかを聞いておくと安心だと思います。
緊急時にもすぐ行ける!立地条件
妊娠中は検診以外にも産婦人科にお世話になることは意外と多くあります。
つわりでの体調不良、お腹の張り、痛み、便秘、どの病院へ行けばいいのかわからずに結局産婦人科に来た…などなど、理由は様々です。
私自身も、妊娠初期につわりで栄養失調になり、検診を受けていた産婦人科に何度もお世話になりました。
一回きりではない通院頻度を考えると、病院の立地条件も大事な病院選びの要素の一つです。
病院の立地を見ると、自宅付近と職場付近のどちらかを選ぶ場合が多いようなので、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
自宅近くは急な時も安心
多くの妊婦さんが選ぶのが、自宅から近い産婦人科病院です。
何より一番のメリットは通院の負担が少ない事です。自宅から近ければ外出時間も少なくて済みます。
また、急に体調が悪くなった時もすぐに病院に行くことが出来るのは大きな強みです。
ただし、職場など外出中に体調不良になった場合は、自宅近くという立地条件にメリットはありません。
職場近くも安心!でも休日は要注意
妊娠後も仕事を続けている場合、自宅よりも職場に近い病院を選ぶ方もいるのではないでしょうか。
職場から病院へまっすぐ行けるので、一時帰宅せず外出を一度で終えられるというメリットがあります。また、職場で具合が悪くなった時もすぐに病院に向かうことができます。
しかし、仕事が休みの日に病院へ行く場合、距離によっては億劫になってしまうかもしれないので注意しましょう。
先生についての情報を先にキャッチしておこう!
検診の際に毎回お世話になる病院の医師との相性は大切ですし、一口に産婦人科医と言っても得意分野や方針は先生によって異なります。
出来れば受診前になるべく先生についての情報収集をしておいて判断材料にしましょう。
専門はHPや医師会のサイトでチェック!
産婦人科の中でも、多胎妊娠に強い先生、逆子専門の先生…などなど、専門分野は様々です。病院の名前をインターネットで検索すると、病院のサイトや所属する医師会のホームページが出てきます。
その中で、医師の紹介として専門分野が記載されていることがほとんどなので、チェックしておくと良いでしょう。
また、出身の医科大学をチェックするのもおすすめです。
転院して出産する予定の病院の先生と検診を受ける病院の先生とが同じ医科大学出身の場合、同窓会を通じて知り合いの事があります。
そうすると転院の際に紹介状に加えてもう一筆下さったり、直接電話で引継ぎをしてくださるということもあるそうです。
口コミは侮れない!相性を見極めよう
どんなに優秀な先生でも、お話を聞いてみたら自分と相性が全然合わなかった…となると、毎回の健診が憂鬱になってしまいますよね。
受診前にどんな人となりの医師なのかを見極めるのはかなり困難ですが、病院検索サイトの口コミは侮れません。
どんな先生なのか、どのような雰囲気の中で診察が進んでいくのかを事前に知る手段の一つとして活用しましょう。
また、もし身近にその病院にかかったことのある方がいたら様子を訊いてみるのも手です。
地域の保健所などで妊婦相談を受け付けている自治体の場合は、担当の保健師さんに各産婦人科の様子を聞ける場合もあります。
大病院の場合指名できる場合も…受診のルールも調べておこう
個人病院で外来担当の先生が一人の場合は難しいですが、複数の医師が外来担当の場合は、医師を指名出来る場合がほとんどです。
ただし、一度受診した医師から他の医師に途中で変更することが原則出来ないといったルールがあることもあります。
妊娠経過によっては、病院からの指定の医師での受診を勧められることもあります。
このような病院のルールは、一度目の受診時に受付で説明されることがほとんどですが、特になされない場合は自分から訊くようにしましょう。
病院のルールをきちんと知った上で、1回目の健診での先生と別の先生に2回目に担当してもらいたい場合は、なるべく早いタイミングで受付に申し出ましょう。
理由を訊かれた時は「色々な先生に担当してもらって一番相性の良い先生にしたい」と率直に言ってしまって構いません。
ただし、好き嫌いといった感情的な理由は言わないようにしましょう。
病院設備についてもチェック!検診内容に差が出る場合も…
検診の内容は法律で決められているものは必ず行われますが、病院の設備によって内容が変わるものもあります。
エコーや動画がその代表です。もし最新のエコーを希望する場合は特にその確認が重要になってきます。
4D外来、動画保存は設備の有無が大切
お腹の中の赤ちゃんを立体的に見ることが出来る4Dエコーは、それが可能なエコーの機械があることが第一条件です。
また、エコーの様子を動画としてDVDに保存するサービスも、行っている病院と行っていない病院とがあります。
受診が先着式でも、4Dエコーだけは予約制ということもあります。たとえ設備があったとしても、健康保険や検診対象外のサービス扱いとなるので、病院によってかかる金額もまちまちです。
もし希望する場合は、事前に設備の有無、受付の方法、金額を必ず確認しておくようにしましょう。
エコーで家族が付き添いたい場合も要確認
お腹にエコーカメラをはわせてお腹の中の様子を見る時、傍らに旦那さんや家族を呼びたいと思う妊婦さんもいるでしょう。
しかし、病院によっては妊婦健診は原則家族でも同席不可で、本人のみが入室可能ということもあります。
理由は様々ですが、医師の方針によって、何か重大なことがあった時だけ家族を呼ぶ場合もあるそうです。
家族でエコーを見る希望がある場合は、家族同席が可能かどうかも事前に確認しておきましょう。
万が一の入院の事も考慮に入れて設備をチェック!講習などがある場合も…
当初は検診だけのつもりでいても、妊娠生活の過程で切迫流産などになり、里帰りが叶わずに出産までずっと同じ病院で入院する、ということもあります。
万が一入院となった場合に受け付けてもらえる入院設備はあるのか、入院設備は整っているとして相部屋なのか個室なのか、入院できない場合は入院先の病院はどのような場所を紹介してもらえるのか…といったことも、頭の片隅に置いて病院選びを行うと良いでしょう。
また、病院によっては母親学級やマタニティヨガ教室、ソフロロジー講習会など、様々なレクリエーションを行っている施設もあります。
分娩希望でなくてもそのような講習会に参加できるかどうかも病院によって判断が異なりますので、あわせてチェックしておくと良いでしょう。
設備については、病院によっては見学会を行っていたり、見学のみを受け付けてくれる場合もありますので、遠慮なく問い合わせてみてください。
お世話になるのは検診だけではない!ずっと付き合える病院を選ぼう
どうせお世話になるのは妊婦健診だけだから、と考えている方もいるかもしれませんが、妊娠中産婦人科は思った以上に行くことが多い場所です。
妊娠経過に関わらず、風邪などで自分の体調がすぐれない場合も内科ではなく産婦人科を受診することもあります。里帰り期間を終えて自宅へ戻った後、出産前の身体に戻っているかどうかを診察してもらうためにお世話になることも考えられます。
自宅から通う産婦人科選びは「長く付き合えるかどうか」がキーワードとなってきますので、あの病院にしておけばよかった!などの後悔のないように病院を選ぶようにしましょう。