縦割り保育って?保育指導案のポイントやメリットデメリット
園選びをしていると、縦割り保育を取り入れている園を見かけますよね。縦割りとは、年齢別ではなく、他学年の子どもたちと一緒に過ごすことです。
縦割りの方法も園によって様々。向き不向きや、保育者向けの指導案のポイントをお伝えしますので、参考にしてみてください。
この記事の目次
縦割り保育は社会性が育つことがメリット!一人っ子におすすめ
縦割り保育は、大きい子は小さい子の面倒を見ることができるように、小さい子はお兄ちゃん・お姉ちゃんの姿を見て自主的に身の回りのことができるようになってきます。
例えばトイレトレーニング。先生や保護者が実際にして見せることはなかなか難しいですよね。
縦割り保育で1歳上のお友だちがする姿を見て、憧れたり真似をして成長していきます。
縦割りには、小さい子にも大きい子にも特別な環境が与えられます。縦割り保育のメリットとして同年齢児との関わりにはない以下のような点が挙げられます。
- 年長児は下の子への思いやりが育つ
- 年長児の姿をモデルとして育つ
- 問題解決策を見て学べる
- 下の子の見本になることで自信が持てる
- 月齢による差がない
こんな子におすすめ
一人っ子のお子さんに、「兄弟がいたらなぁ…」と感じた経験をお持ちの親御さんは多いですよね。
喧嘩や仲直りも兄弟がいてできることの一つですが、異年齢児だからこそ、喧嘩の仕方も変わっていきます。
弟・妹のような存在に対する行動も身についていくので、末っ子ちゃんにもおすすめです。
同年齢児間で「譲る」ことは、なかなか難しいことがありますよね。多くのお子さんは、自分より小さい子になると「譲りたい」と思うことがあります。
年上ぶりたい気持ちは、優しい行動につながっていくので、自然に身についていきます。
中には、同年齢児と遊ぶことに抵抗があるお子さんも少なからずいらっしゃるかと思います。
年上の子にリードしてもらいながら遊ぶことで、遊びの輪の中には入れたり自分を出せるお子さんにも、良い環境です。
年下の子たちの面倒を見ることが好きなお子さんにとっても、自己肯定の場が広がり、楽しい園生活となるでしょう。
デメリットは我慢や負担が増えるかもしれないこと!他年齢児との関わりに戸惑う子も…
年齢や発達度合い、性格によって、縦割り保育に抵抗を示すお子さんも居ます。日々の保育の中で、それぞれに成長していくところではありますが、親御さんには心配なこともあるかもしれません。
縦割り保育の課題として、以下のようなデメリットが挙げられます。
園によって解消する対策を取っているところもあるので、心配な場合は聞いてみると良いでしょう。
- 年長児の我慢が増える
- 年長児が主導して下の子が窮屈に
- 年少児には激しい遊びや喧嘩も
- 思いやりと余計なお世話との間で負担も
- 異年齢児に対する恐怖を持つ子もいる
こんな子は戸惑うかも
低年齢児さんには、まだまだ上手に関われない年長児さんからのお世話に怖いと感じたり、大きいお友だちの遊びを激しく感じたりするお子さんも居ます。
保育の中でお互いに慣れて成長していくものではありますが、保護者にとっては心配になりますよね。
お互いに自分の思いをうまく言葉にできない分、トラブルになることもあります。
また、大きいお子さんにとっても、我慢が多くなりストレスを感じることがあるかも知れません。
お兄ちゃん・お姉ちゃんだからと我慢をしていても、例えばお人形で遊びたいとき、譲りたくない時はありますよね。
それをうまく言えずに我慢してため込んでしまうタイプのお子様にとっては、いまいち楽しめないかもしれません。
年長児から学ぶことは、お手本となることばかりではありません。真似してほしくない言葉遣いなどを覚えて帰ることもあります
その都度先生に相談をして、園での様子を気にかけてもらうと安心です。ストレスを抱えすぎずに園生活を楽しめるよう配慮をしてもらえるでしょう。
縦割り保育を通して成長するお子さんを見守れたらいですね。
1歳から縦割り保育を取り入れている園もある!安全確保がされているか確認を!
保育の一部であることがほとんどですが、乳児さんや1歳児からの縦割りもあります。まずは、安全確保が必須になります。
園側は、保育者の数と乳児対応の数を常に把握しておきましょう。
年長児が少ない場合には、就学前に必要な学習要素、運動発達促進などの課題が見落とされがちです。
保育士は、それぞれの年齢に応じた保育環境を整備できるよう心掛けられたら良いですね。
乳児には危険も伴う!安心・信頼できるまで見学や相談を
0歳児を縦割り保育に入れている園は少数ですが、時間によって0歳児から6歳児までが一緒に過ごすことがあるかもしれません。
ママ・パパたちも戸惑いながら関わる乳児さんは、子どもたちには尚更わからないことばかりです。
必ず保育士が乳児につくようにはなっていますが、思わぬ危険も考えられます。
特に3歳未満児さんは、「お世話がしたい」という気持ちが芽生え、誤飲しそうなおもちゃを与えたり、抱っこしようとしてケガにつながったり…。
上の子が下の子のお世話をすることは、とても価値あることですが、特に2.3歳児の赤ちゃんに対する行動には注意が必要です。
特に乳児をもつ親御さんには、縦割り保育は心配なことの方が多いと思います。
十分安全が保障されているか、見学や相談をして、安心して預けられると良いですね。
園での取り組み方も様々!
一言で「縦割り保育」といっても、その取り組み方は様々です。
保育の全てを縦割りで行う園から、縦割りの時間を定期的に持つ園まで、それぞれの取り組み方があります。
クラス編成と取り入れ方の例です。参考にしてみてください。
- 編成体系
-
- クラス編成が縦割り(保育理念や園児数により)
- クラス編成が縦割りで、定期的に年齢別保育を行う
- クラス編成は年齢別で、定期的に縦割りの交流を行う
- 取り入れ方・頻度
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- 行事(遠足や運動会)のみ
- 年間数回以上、縦割りでの自由遊びや活動の時間を設定
- 毎週~月に数回縦割りクラスで一日を過ごす
- 毎日数時間を縦割りで過ごす(午前中や自由遊びなど)
縦割り保育の指導案のポイントは年齢別のねらいや活動内容
縦割り保育を行っている園は増えていますが、先生方にとっては保育や指導案でちょっぴり負担が増えることもあるのではないでしょうか。
縦割り保育の指導案には、必ず年齢別のねらいや配慮を記載しましょう。
3歳以上児の縦割り保育では、各学年の指導案に縦割り要素を組み込むパターンが一般的です。
毎日の自由遊びでの関わり以外に、定期的に縦割りグループによる活動を設定している場合もあります。
指導案への組み込み方を提示してみますので、参考にしてみてください。
毎日縦割りなら月ごとのねらいと週ごとの活動
年少児は、4月にはお兄ちゃん・お姉ちゃんになれることや園生活の中でも身辺整理などの自立がねらいになります。
2学期には、行事を通してお兄ちゃん・お姉ちゃんを見るメリットが大きくなります。例えば運動会での整列や行進、応援の仕方など、年長児をお手本にすることを明記しておきましょう。
3学期には、年少児も年長児も進級を見通して状学年児へのあこがれや見通しをねらいとして書き込みます。
年中児は、3学年では間に挟まれているため難しい面もあるかと思います。月齢によっても縦割りの関わりに違いが大きいです。
個々のねらいが重要になってきますが、特に3学期は、年長さんになる準備も含めて縦割りの課題は下の子の手本となることに変わっていきます。
年長児にとって、縦割りのねらいは大きな自立・自律につながります。「見本となる」ことは、自主的に活動に参加したり行動を考える力をつけていきます。
年少児の月ごとの縦割り保育のねらい例を挙げておきますね。
- 4月:年中・長児に親しみを持ち、真似たり手伝ってもらったりする
- 5月:年中・長児と一緒に遊び、園庭遊具の使い方などを理解し遊ぶ
- 6月:年中・長児の姿を見てはさみやのりの使い方を真似る
- 7月:年中・長児との水遊びを通して水に慣れて楽しく触れ合う
- 8月:年中・長児を倣い整理整頓の仕方を覚える
- 9月:遠足で年中・長児と体を使って遊び、体力をつける
- 10月:運動会の練習を通して、集団での行動や応援などの仕方を身に着ける
- 11月: 自然と触れ合い造形活動を楽しみ、年中・長児の作品から感性を豊かにする
- 12月:音楽活動や劇の中で年中・長児と関わり、表現を楽しむ
- 1月:お正月遊びや縄跳びに年中・長児と触れ、目標に向けて楽しく取り組む
- 2月:給食の準備やお手伝いを年中児から引き継ぎ、進級への期待を膨らませる
- 3月:年中児の姿に進級の自覚を持ち、新入園児を受け入れる気持ちを持つ
学年別指導案に縦割りのねらいを組み込む
年齢別保育の指導案に縦割りの活動を入れる場合には、縦割りのねらいを明記します。
縦割りのグループができており、行事等で縦割りの取り組みを行う場合の一例です。
11月を取り出してみました。赤字になっているところが縦割りの事項です。
縦割り保育の年間指導計画・月案・週案
クラス編成が縦割りで行われている場合は、年間指導計画から年齢別の目標やねらいをしっかりと明記しましょう。
環境整備や活動内容は全園児共通になりますが、4月の時点で、年少児を迎える年中・長児と戸惑い気味に始まる年少児で子どもの姿も保育士の配慮も大きく異なります。
月案の中には、活動計画など共通のものが多くなります。臨機応変に年齢別のねらいや配慮を組み込むことがポイントになります。
それぞれの指導案の特性をしっかりと抑え、縦割りの観点と年齢別の観点を常に持って保育ができると良いですね。
良く知って縦割り保育ならではの育ちを見守ろう
縦割り保育には、縦割り保育にしかない良さがあります。園生活全体でもいえることですが、様々な経験を通して子どもたちは成長していきます。
ぶつかったりうまくいかないこともあるかもしれませんが、プロセスとしてゆったりと見守れたら良いのではないでしょうか。
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