妊娠糖尿病の症状と診断基準。実はあまり知られていない…
妊娠すると血糖値が高くなり、糖尿病のような症状が現れる妊婦さんは多いです。どの人も陥りやすい病気なのです。
重症化してしまうと妊娠後も高血糖状態が続くなど、放っておいてもいい病気ではありません。妊娠糖尿病にかかるとどのような症状が現れるのでしょうか。
自覚症状がなく判断が難しい病気
血糖値が高くなっている時、本人に自覚症状はありません。検査をして始めて妊娠糖尿病であることが判明することがほとんどです。
高血糖状態になっているときは、このような症状が出ます。
- あくびがよく出る
- トイレの回数が増える
- 疲れやすくなる
ですが、このような症状は妊娠中にはよく見られるものです。お腹が大きくなると体が重く、疲れやすくなります。
トイレが近くなるのも妊娠中によく見られる状態です。なので、一般的な症状からは、自分で糖尿病かどうか判断できないのです。
胎児の体に現れる高血糖の合併症
妊娠中に血糖値が高いままだと、糖尿病の症状だけでなくさまざまな合併症が起こる可能性もあります。
酷くなると、胎児の死亡や常位胎盤早期剥離などの危険な状態に陥ります。そんな事態は防ぎたいですよね。
妊娠糖尿病の時になりやすい、胎児の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。
血糖値が高くなることが胎児に与えるリスク
妊娠糖尿病の時、お中の赤ちゃんは巨大児になりやすいです。ブドウ糖は体を作るエネルギーです。インスリン不足で糖質が分解されないと、エネルギーが多くなりすぎます。
そのため、胎児が成長しすぎて身体が4000グラム以上の巨大児になってしまいます。これが胎児に現れるもっとも顕著な反応です。
その反対に、胎児発育不全で身体が小さくなってしまうことも有ります。それは糖尿病の治療の過程で母体が低血糖に陥ってしまうからです。
その他深刻な合併症は以下の通りです。
- 胎児機能不全
- 心筋症
- 子宮内胎児脂肪
このように、妊娠糖尿病は、最悪子宮内胎児死亡のように、赤ちゃんの命にかかわってくる病気なのです。
母体に現れる合併症
血糖値が高い状態が続くことによって、母体にも様々な合併症が現れます。糖尿病は胎児に直接危険を及ぼしますが、ママの体も危険です。
どのような病気が起こりやすいのか。血糖値の上昇と病気との関連をしっかり頭に入れておきましょう。
妊娠高血圧症候群とそれに伴う諸症状
妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群を発症する方が多くなります。これは妊娠中に急に血圧が高くなってしまう病気です。
血糖値が高くなると、血液中の糖質が体の細胞と結びついて終末糖化産物、糖化という状態を起こします。糖化した組織は急激に老化して行きます。
血管が糖化すると、もろく傷つきやすくなります。妊娠高血圧症候群になってしまう原因の一つに、血管の損傷があるのです。
妊娠高血圧症候群になると、次のような症状を引き起こします。
- 常位胎盤早期剥離
- 流産
- 早産
- 難産
▼常位胎盤早期剥離の徴候についてはコチラも参考にしてみて!
▼流産の種類や原因についてはコチラも参考にしてみて!
胎盤が剥がれることで流産や早産が起こり、通常出産の際にも難産になりやすくなるとされています。
糖尿病特有の合併症が妊娠中にも現れます
糖尿病になると、以下のような合併症がおこります。妊娠糖尿病でも同様です。
- 腎症
- 網膜症
- 神経症
- 糖尿病性腎症
- 血糖値が高くなることで腎臓の機能が弱くなることです。腎臓は胎内の老廃物を身体の外に排出する臓器です。
血糖値が高くなると、ネフロンという老廃物をこしとる機関の血管が硬くなります。そのため、排出が難しくなり腎臓が疲労します。
- 網膜症、神経症
- 糖尿病によって起こる深刻な症状です。身体中がエネルギー過剰の状態になっているので、末端が老化、壊死を起こして行くのです。
網膜症が進むと失明などの危険が伴います。これは通常の糖尿病の症状ですが、妊娠糖尿病でも同様のリスクがあるのです。
▼妊娠糖尿病のリスクについてはコチラも参考にしてみて!
治療の課程で低血糖状態になることも
女性の体は常に移ろい続けるものです。それはホルモンのバランスが日によって変わり続けるからです。
妊娠するとそれが顕著になり、気持ちがイライラしたり、不安定な精神状態に陥ってしまいます。
妊娠糖尿病になると、血糖値を下げるための治療や食事制限が行われます。その結果、逆に低血糖状態になってしまうこともあります。
高血糖状態も胎児やママの体に負担をかけますが、低血糖もほおってはおけない症状です。血糖値が低くなることは、脳にダメージを与えます。
妊娠してから精神状態が今までとは変化してしまうのは、妊娠糖尿病による低血糖が原因かもしれませんよ。
妊娠後に通常糖尿病になってしまうこともあります
妊娠中に、胎盤性ホルモンの働きでインスリンが分泌されなくなると、出産後に血糖値が下がらず糖尿病が継続してしまうこともあります。
胎盤性ホルモンは、胎児にエネルギーであるブドウ糖を送るため、母体が分泌したインスリンを壊してしまいます。
壊されて量が減ってしまうために、母体は余計にインスリンを作ります。そのためすい臓が疲弊し、出産後にインスリンが出にくくなるのです。
妊娠中に糖尿病になった方は、出産後も継続して血糖値の検査をし、糖尿病が進行していないかをチェックしましょう。
早期の治療で症状を改善することが出来ます。逆に血糖値の検査をおろそかにしていると、身体の末端の壊死や眼底出血などを引き起し、危険です。
自覚症状が無いことが危険!合併症にも気を付けて
妊娠中、食事の変化などで高血糖状態になり糖尿病が進行すると、様々な合併症を起し母体にも赤ちゃんにも危険が及びます。
最悪の時は死産や流産になることも。でも、自覚症状が無いため発症してから気付く例が多いのです。
妊娠糖尿病はどんな妊婦さんでも起こりやすい病気です。赤ちゃんを授かったら、自分にもその可能性があることを忘れないでください。
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