アスペルガー症候群の子供の特徴は?対応方法と接し方の注意点
アスペルガー症候群は「高機能自閉症」とも言われており、知的障害を伴わない障害のひとつです。見た目からも障害が分かりにくいので、幼児期では診断が出ずそのまま見過ごされるケースもあります。
小学生になると、アスペルガー特有の話し方や友達との接し方でトラブルが起こり、そこで初めて「アスペルガー症候群」と診断される人が多いようです。
「扱いにくい子」「ちょっと変わった子」と言われてしまうアスペルガーの子供たちですが、1つのことに興味を持ったらとことん追求したり、数学的な記憶力がすごいなど、能力を発揮することもあります。
そんな特性を持つアスペルガーの子供の特徴や対処法、接し方や注意点について紹介します。
この記事の目次
アスペルガー症候群の子どもの特徴
アスペルガー症候群は先天的な脳機能の異常によって引き起こされていると考えられています。主に男の子の発症率が多いのですが、女の子でもアスペルガー症候群と診断されることがあります。
アスペルガー症候群は主に以下の3つの特徴とした症状があります。
- 日常生活のパターン化
- コミュニケーション能力の欠如
- 特定分野の偏り
どういう特徴なのか詳しく見ていきましょう。
日常生活のパターン化
アスペルガー症候群の人は、自分の行動や習慣にルールをつくり、パターン化させる特徴があります。
例えば、6時に夜ごはん→7時にお風呂と決めてたら必ずその通りに実行しなければならず、ごはんとお風呂が反対になるのをとても嫌がります。
自分のルールにこだわりがあるため、保育園や学校で起こる急なスケジュール変更やいつもと違うパターンに、癇癪を起こしたりもします。
診断が出ていないと「わがままな子」「親のしつけが悪い」と言われ誤解されやすいので、早く症状に気づき治療を受けることが望ましいでしょう。
コミュニケーション能力の欠如
アスペルガー症候群の人は、人の気持ちを理解することやその場の空気を読み取ることが苦手です。
言葉の遅れはありませんが、自分の気持ちを相手にうまく伝えることが難しいため、太っている人に「太ってるね」と言って怒らせてしまったり、ぎこちないジェスチャーや喋り方がいじめの対象になってしまうケースもあります。
言われた相手がなぜ怒っているのか本人は分からないので、具体的に説明しながら教えていきます。
特定分野の偏り
興味を持った分野、趣味をとことん追求する傾向があります。例えばバスや電車の時刻表の数字に興味を持ちバス停や路線名を覚えたり、数学に興味を持ち始めたら驚くような能力を発揮した、ということもあります。
趣味や興味が極端に偏りすぎるため、友達からは「一緒にいても面白くない」「話がつまらない」と言われ孤立することもあります。
人間関係を構築するのが難しいので、学校生活になじめず休みがちになったり、不登校になったりします。
アスペルガー症候群の子供の対処法
様々な特性を持つアスペルガー症候群の人は、問題が起きたら1つずつ教えていく必要があります。
どのように接していくと良いのか具体的な対処法を見ていきましょう。
思ったことを口に出して相手を怒らせた場合
アスペルガーの子供のトラブルで1番多い、思ったことを口に出して相手を怒らせてしまうこと。アスペルガーの子供を持つ筆者の知人も「子供が思ったことを口にして困った」と聞いたことがあります。
話では、バス旅行に出かけた時、パーキングで一旦トイレ休憩になりバスの運転手さんがその間にタバコを吸っていたようです。それを見た知人の子が「おじさん、タバコは体に悪いですよ。お先真っ暗な人生が…」と一言放ち、知人は唖然したと言っていました。
「そんなこと言ったらダメでしょ!」と頭ごなしに叱っても「なんで?本当のことじゃん」となるので、「タバコは体に悪いけどそうやって言われたら傷つくよね」「吸ってる人がいても言わないようにしてね」と具体的に説明したようです。
「〇〇さんは傷つくよ、悲しむよ」と相手の気持ちを理解させることで、今度は同じことを言わないように約束していきます。
マイルールや急な予定変更でパニックを起こす場合
アスペルガー症候群の人たちは何をするにも自分の中で決めたマイルールがあります。
これは実際に保育園でクレヨンを使ってお絵描きしていたアスペルガーの子の話です。自分の中に使い方のマイルールがあり、それが変わってしまうことで次の作業に進めない…という状況です。
また急な予定変更はパニックを起こしてしまうことがあるので、予定の変更は事前に伝えるようにして1つずつ管理をしていきます。
視覚的にも有効な「絵カード」をスケジュール化して使うと見通しやすくなります。
パニックになった場合の対処法についてはこちらも参考にしてみてください。
次にやってほしいことを伝える場合
思ったことを口に出して相手を傷つけている反面、本人たちはとても傷つきやすい傾向にあります。
言われたことを素直に受け止めて傷つきトラウマになったり、学校に馴染めず不登校になってしまうこともあります。
「ダメ」や「しなさい」は命令口調で怒られた受け止め方をしてしまうのでマイナスです。どうして怒られているのかゆっくり説明し、次にやってほしいことを伝える場合は本人が納得できるまで説明をしてあげます。
アスペルガー症候群の子どもの接し方
アスペルガー症候群の子供たちが上手く日常生活を送れるように、園・学校、家庭、医療機関と連携してサポートを受けることが望ましいとされています。
まずは家庭でできるサポートを実践するのがおすすめです。実際に障害を持つ我が子にも使ったことがあります。
絵カードを使ってルールを決める
アスペルガーの子はルールやスケジュール通りに進めていくのが得意です。家でルールを決めるときは絵や画像を入れてスケジュールを作ってみましょう。
順番に進めていくことが得意なので、時間と事柄を決めておくとスムーズに動けるようになります。
自分の好きなことには熱中しやすいので、タイマーを使って知らせたり、時間のルールを作っておくのも良いでしょう。ルールが守れたら、その都度褒めてあげるようにしてくださいね。
絵カードについてはこちらも参考にしてみてください。
友人関係を構築するストーリーを作る
友人関係を構築させるには、相手の表情やその場に合った空気を読み取る力が必要です。
実際に筆者の子供も用いたことがありますが、イラストのストーリーを描いて「なんでこの人は怒ってると思う?」「こんなときは何て声をかけたらいいかな?」といくつか子供が苦手なシーンを見つけて作っていたことがありました。
アスペルガーの子供たちは相手の気持ちを読み取るのが苦手なので、「怒っっている」「うれしい」「悲しい」の喜怒哀楽の絵カードを見せて表情で読み取る練習をします。
表情の絵カードから連想する「言っていいこと」や「言ってはいけないこと」を教えて相手を怒らせてしまう言動や一方的に話してはいけない会話のコツを教えていきます。
得意分野を見つける
アスペルガーの子は得意分野を見つけるとどんどん追求し、能力を伸ばすことができます。できることとできないことがはっきりしているので、子どもに合わせた学習方法を進めてあげるようにしましょう。
自分で管理することは苦手なので、スケジュールは親と一緒に進めていくほうがパニックが少なくなります。
不得意分野を無理に頑張らせようとせず得意分野を伸ばしていくほうがスムーズに行えるようになります。
アスペルガー症候群の子どもに接するときの注意点
アスペルガー症候群の子は怒られたり注意されたりすると傷つき、叱られたことをネガティブに捉えてしまいます。
接するときは以下について注意が必要です。
- 指示やルールは明確にする
- 強い口調で叱らない
- できたときは褒める
アスペルガーの子どもは単調な言葉で指示をされるのが苦手です。やってほしいことを伝えるときは「ここ拭いて」というより「タオルで机を拭いて」と明確に伝えるようにします。
自尊心が傷つきやすいので失敗しても強い口調で叱らず、本人が納得するまでゆっくり教えて、きちんとできたときは褒めてあげましょう。
褒められたことやできたことはしっかり覚えているので、これからの自信につながります。
子どもの特性を理解してできる能力を伸ばそう!
記事で紹介した、アスペルガーの子どもを持つ知人は子どもが小学校の時にいじめを受けて引っ越しました。
サポートブックを作って子どもへの指示や対応方法を学校に伝えてましたが、先生が対応できず、一向にいじめが減らなかったと言います。
新しく通った小学校でもトラブルはあったみたいですが、唯一勉強だけが大好きだったようです。子どもの能力を信じ、必死にサポートを続けた今は地方の大学で一人暮らしができるまでに成長した、と聞きました。
常に何かあれば学校に出向き、子どもの特性を説明しながらサポートを続けてきたようです。
年齢が低い時期は、我が子の得意分野が見つかるまで難しいかもしれませんが、年齢が上がるにつれて好きな興味も広がってくると思います。
我が子の特性を理解し、色々な能力を秘めた子どもたちのサポートをしながら子供の成長を見守っていってくださいね。
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