災害時における子供の心のケア!ストレス症状を改善させるコツ
突然襲ってくる災害によって家族や地域の人たちは、被災地での不自由な生活を余儀なくされることになります。
一番心配なのは、家族や親しい人達の安否や家の状況、今後の生活についてです。その心配は生活が落ち着くまでずっと続くことになるということです。
その落ち着かない中で、子ども達の心は災害という強いストレスによって心理状態が不安定になっています。
阪神淡路大震災が起こった際は、子どもの心理ケアの認識が浸透していなかったため長期に渡り苦しむ子ども達がたくさんいたそうです。
子どもからのストレスのサインや沈黙のサインを見逃さず適切な心のケアをするための親の関わりと遊びについてまとめました。
この記事の目次
震災直後の子どもの心理状態
災害のような命がおびやかされる出来事があった場合、子どもには「過覚醒」「再体験」「回避」「否定的認知」の4つの反応が起こると言われています。
- 過緊張
- 強い心理的ストレスを受けたときに、ストレスがなくなっても緊張から解放されない状態のことを指します。
常に緊張が続くので、イライラしたり、いきなり怒り出す、神経過敏になる子やテンションが高くなる子どももいます。
- フラッシュバック
- 実際に災害にあった時のことを思い出してしまうことを指します。当時の記憶が突然鮮明に思い出されることで怖いという感情や不安な心理状態になり、悪夢でうなされるということもあります。
- フラッシュバックの回避
- 辛さを回避するように災害当時のことを思い出さないようにする心理状態のことです。感情や感覚が麻痺したり、希望が見えないといった状態に陥ることがあります。
通常であれば子ども達が恐怖におびえている時に、自分の子どもは何も症状が出ていないと感じる場合は感情が麻痺している可能性もあります。
子どもからの沈黙のサインを見逃さないことが重要です。
- 自責
- 自分のせいで災害が起こった、自分のせいで大切な人が亡くなった、自分なんかいなければいい、自分が助かったのが辛いというような自責する状態を指します。
正しい現実の認識ができない未就学児から小、中学生まで自責感を持つ子どもがいます。
ですが、子ども自身がその心理状態を言葉で語ることは少ないので、保護者が気持ちを察して寄り添うことが重要です。
災害後に実際起こったストレス反応
子どもはしばらくの間、強い不安や緊張に襲われさまざまな症状を発症することがあります。
- 元気がなくなり、不安や腹痛、頭痛等の身体反応が出る
- 免疫が下がり風邪をひきやすくなったり持病が悪化する
- 暗い場所や一人を怖がるようになる
- わがままを言ったり甘えたりするようなる
- 攻撃的な態度をとることがある
- 自分のことよりも他人の心配をする
- 問題がないように見えるが実際は傷ついている
子供の年齢別による反応
子供の年齢によって反応が変わっていきます。
- 幼児期の反応
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- 抱っこをせがむ、甘えるといった赤ちゃん返りをする
- 一人を怖がり親のそばを離れないことがある
- ちょっとした物音に反応したり夜泣きすることがある
- 夜中ムクッと起き歩きだし発狂する
- 小学生の反応
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- 一人を怖がり親のそばを離れないことがある
- ちょっとした物音に過敏に反応する
- 感情の浮き沈みがあり突然泣く
- 人とのコミュニケーションを嫌がり表情が暗くなる
- 遊びや勉強に集中することが難しい
- 中学生の反応
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- 遊びや勉強に集中することが難しい
- 自分の感情を表に出すことが難しくなり表情が硬くなる
- 感情の浮き沈みがあり普段の生活にうまく適応できなくなる
- 隠れて泣く
他にもさまざまな反応がありますが、強いストレスを感じた直後は当然の反応だと理解してください。自分の子どもだけではないかと不安にならずに子どもに寄り添って安心させてあげてください。
ストレス反応の発症期間
通常であれば数日から1ヶ月以内で4つの反応は無くなる、もしくは災害の自然な傷として心に残る状態までに回復されます。
また、症状が治まっても心が不安定な状態は数ヶ月~1年は続きます。当時を思い出すような直接的な話をするのは1年を過ぎた頃が妥当だと考えられます。
辛かったことや心配なことなど、ストレスへの間接的な質問や会話は災害後3ヶ月程度を過ぎてからにすることが望ましいです。
当時の映像や会話は子どものストレスを悪化させる
災害後はニュース等で当時の映像を見る機会があると思います。当時の状況を頻繁に見聞きすることでストレス反応が強くなったり、心の傷が大きくなると言われています。
子ども自身が質問をしてきた際は、質問に答えることで安心させることを目的として不安になるようなことは言わないように努めることが必要です。
回復に必要なのは安心と普段通りの生活
災害という過酷な状況で子どもが頼れるのは親です。親と安心できる関係を築ける子どもはそうでない子どもよりも心理状態の回復が早まるという専門家の報告もあります。
また、子どもがストレス障害を引き起こさないためには普段通りの生活を取り戻すことが重要になっていきます。
安心が得られる子どもへの関わりや声がけ、普段通りの生活をするためのサポートを押さえていきます。
子供が安心する伝え方
震災直後にしなければいけないことは家族の生活の安全を確保することです。その次に重要なのが子どもにとって親が安心できる存在でいることです。
声掛けする際は、ゆっくりと優しい口調を意識してください。
- 守ってあげるから大丈夫よ
- ママと一緒にいれば安心よ
- あなたが無事で本当に良かった
- あなたがいるからママも安心できる
また、抱きしめてあげることで子どもだけではなくママ自身もお落ち着くという効果もあります。
- あなたは悪くないと伝える
- 自分が良い子にしていなかったから災害が起こった、大切な人が亡くなったと考える子どもが多く存在します。あなたのせいではないと認識させることも心の傷を広げないことに繋がります。
- 災害が起こったのは誰のせいでもないのよ、あなたのせいでもない
- 大切な人が亡くなったことも誰のせいでもない、あなたのせいではない
- 今後どうなるかわかる範囲で説明する
- 子どもはこの先何が起こるかわからないことで不安が生じることがあります。現状をわかる範囲で伝えることが安心に繋がります。
また、学校は1ヶ月~2ヶ月で学校が再開することが多いようです。通常の生活に戻れる時期をざっくりと伝えることで安心を得られる場合もあります。
- ここでの生活がしばらく続くことになるからそのつもりでいようね
- 昼間は家の瓦礫の処理をするから、しばらくは忙しくなるよ
- 1、2ヶ月で学校が再開されることが多いみたい、それまで頑張ろうね
- いつでも話を聴ける状態でいる
-
いつでも相談できる相手がいると伝えることが大切です。ママ自身が不安や心配でいっぱいの場合は、家族や周りの大人と会話をすることで落ち着くことがあります。
- 不安や心配なことがあればいつでもいってね
- そんな風に感じているんだね
- 自分の気持ちや言いたい事をためこまないようにね
- 体をマッサージして前向きになる
- 緊張状態が続けば思考が悪い方向へ進んでしまうことがあります。死にたい、楽しいことは何もないという考えがマッサージやストレッチで極度の緊張をほぐし心が前向きになった例もあります。
- 体をさする
- 安心できるようにスキンシップをとる
- ストレッチやマッサージをする
今から血流が良くなる簡単なマッサージを覚えておくといざという時に使えますね。
子どもが安心して遊べる環境を作る
高校生になると大人と同様に現実を受け止められるようになっていきます。ですが、子どものうちは遊びを通じて感情を処理するため友達との遊びが重要です。
- ごっこ遊び
- 小さな子どもは自分の感じた恐怖を回復させるために「ごっこ遊び」をすることがあります。津波ごっこや地震ごっこなど、親やレスキューや波など配役を決めて遊びます。
周りから見れば不謹慎な遊びに感じられるかもしれませんが、感情をうまく処理できない子ども達に必要な遊びなのでやめさせることはせず、見守ってあげてください。
- あるもので遊ぶ
-
子ども達は何でも遊び道具にしてしまう天才です。石や瓦礫で遊んだり、石で地面に〇を書いてケンパをしたり、ゴムがあればゴム飛びなども。
瓦礫などは少し危険に感じられるかもしれませんが、遊びを制限しないように気を付けることが大切です。
遊びをするのは不謹慎と考える子どももいるかもしれません。
- 遊びをすることは悪いことではないのよ。
- 友達と遊ぶことは大切なことなのよ。
親が言葉で伝えることで安心して遊ぶことができるようになります。
遊びを制限することで重度のPTSDなどの精神疾患を回避することができます。遊びの必要性を認識し、周りの人の理解を得ることも親の大切な役割だと感じます。
- ゲームのやり方や遊び道具を事前準備
- 子どものストレスを回復させるためには遊びが重要ということがよくわかります。
いざという時に何も遊び道具がなく子どもに負担をかけないためにも防災グッズのひとつとしてトランプなど遊び道具を用意しておくことも大切かもしれません。
また、道具がなくても遊べるようなゲームを知っておくのもいいですね。
水平思考の推理ゲームやワードウルフは道具は必要なく考えるゲームなのでやり方さえ覚えればどこでも使えます。ゲームをしている時は集中して楽しむことができると思います。
普段から家族でこういった遊びを取り入れることは、思考を鍛えることに加えて、いざという時の遊びとして子どもの心身を守ってくれるでしょう。
- 普段通りの生活を取り戻す
- 生活スタイルを普段通りにすることは、心身共に回復するためには必要なことです。
夜は寝て朝起きるというサイクルや昼間に遊びや勉強などの子どもの役割を与えてあげることで、一日中辛いことを考えずに済みます。
子どもの役割を親が作ってあげることはとても大切です。そのための遊び道具や勉強道具を予め準備したり、頭を使ったゲームなどを子どもができるように教えるなどできたらいいですね。
大切な人を失った子どもへの関わり
親や親戚または学校の友達や近所の方など、普段頻繁に接して大切に思っている人が亡くなってしまうこともあります。
まだ小さいからといって濁して伝えると成長とともに本当のことを話してもらえなかったことにより傷が深まる可能性もあります。
子どもにつたわる伝え方
幼児では死ぬということを理解できない為、また会えるのではないかという考えを持つこともあります。
大人でも大切な人が亡くなったことについて話すことは辛く悲しいです。しかし、親が話す機会を奪ってしまえば子どもは誰にも相談できずに苦しむことになります。
「死」についての説明は1度だけではなく質問されればその都度、成長に合わせて何度も話をするという認識が必要です。
子どもが持つ悲しみや怒りの感情と喪失感
自分だけがこんな目にあって辛い、という悲しみ。捨てられたと感じる怒りの感情を抱くことに対して、そういう感情が湧くことは誰にでも起こる自然な事だということを伝えます。
大切な人が亡くなることで強い喪失感に襲われることがあります。しばらくしても食事ができないくらい憔悴している場合は専門家に相談してください。
7割に何らかのケアが必要と感じながら、実際に専門家の治療を受けたのが13%という状況からみても適切なケアを受けられていない子どもが多いことがわかります。
心の状態は目に見えないものだけに周りの大人が長期に渡り見守って適切なケアをしてあげる必要性を強く感じます。
強いストレスは成長の糧になる
災害によって子どもが強いストレスにさらされた後も「トラウマ後成長」といって他者との繋がり、命の大切さに気付くことができるようになると言われています。
また、子どもは自分自身で回復する力を持っています。親が安心できる存在でいることができれば、あとは子どもの力を信じて見守るだけです。
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