生まれた後に低体重児になる原因は妊娠中にも!胎児側と母体側それぞれの理由
生まれた時の体重が2500グラム未満の赤ちゃんのことを、低体重児と言います。未熟児と言われる事もありますが、厳密には分けて考えられます。
体が小さく生まれてしまうと、出生後に様々なトラブルを起こしやすくなります。心配な状態ですね。赤ちゃんの体が小さくなるのは、なぜなのでしょうか。
母体の状態によるもの、胎児側の問題など複数の原因が考えられています。ママの注意で防げるものもあります。1つずつ見ていきましょう。
赤ちゃんの体重が少なくなる要因2つ
2500グラム未満で生まれる赤ちゃんを低出生体重児、1500グラム未満で生まれる場合を極低出生体重児、1000グラム未満の新生児を超低出生体重児といいます。
体重が少なくても、体の組織がしっかり出来ていれば問題はありません。注意が必要なのは、生まれた時に内臓や神経が未熟な状態なのです。
体の作りが未熟で、小さく生まれてしまうには大きく2つの要因があります。それぞれ解説していきます。
胎児発育遅延
ママのお腹の中で、赤ちゃんの体が標準通りに発育していかないことを、胎児発育遅延といいます。以前は子宮内発育遅延と呼ばれていましたが、名称が変わりました。
発育遅延とは、成長が遅い状態を指しています。しかしそれだけでなくだけでなく、発育が止まっている場合もあるのです。
発育遅延の原因は次の通りです。
- 体質
- 遺伝的素因
- 母体因子
- 原因不明な症例
原因が不明なままに身体が小さく、成長が遅れてしまうこともあります。まだ詳しい事が分かっていない症例なのです。
胎児発育遅延は、新生児の低体重児の原因の中で最も重症なものです。順調に育たないまま生まれるので、産後のケアを慎重にしなくてはなりません。
早産
正規産以前の週数で赤ちゃんが生まれる事を、早産といいます。妊娠28週程度に達していれば体は充分成長していて問題はないとされます。
しかし、早産の場合はまだ赤ちゃんが発育の途中にあります。正規産に比べて、体重が少なくなるのは仕方のないことと言えます。
特に近年では、晩婚による不妊治療で多胎児を妊娠するケースが多くなりました。必然的に早産になりやすく、赤ちゃんが小さく生まれてしまうのです。
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低体重になってしまう「胎児側」の原因
もともと低体重になる因子を持っている赤ちゃんもいます。先天的な物なので、対応が難しい症例ですね。
授精し、妊娠が確定した段階で、どのようなトラブルがあると胎児は低体重になるのでしょうか。
染色体異常による低体重児
赤ちゃんは母親と父親の双方から、半分ずつ染色体を受け継いで生まれてきます。その時何らかの原因で、染色体の数が変わってしまうことがあります。
染色体には、体を作るための設計図である遺伝情報が書き込まれています。染色体が多かったり少なかったりすると、情報に混乱が生じます。
その時の反応の1つとして、胎児の低体重が起こるのです。発育遅延の原因でもあります。染色体異常の原因も、まだ特定されていません。
ですが、高齢出産になると染色体異常が起こりやすいと言われています。卵子が母体にストックされていた時間が長くなるので、強いストレスを受けています。
つまり、卵子のコンディションがよくないのですね。高齢出産にはリスクが多いと言われます。低体重の原因になることも、その1つなのです。
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遺伝的な要因
体の特徴は、両親の持っている遺伝子によって決まるものですね。低体重は、遺伝的な要因であると言う側面も持っています。
つまり、ママとパパが生まれた時に低体重だった、またはどちらかがそうだった場合に、赤ちゃんも低体重で生まれるのです。
この場合、受精の時点で低体重のリスクを負っているとも言えます。もちろん因子を持っていても発現しないこともあります。
ですが、赤ちゃんの成長がゆっくりなことが気になるママは、一度自分の出生時体重などを確認してみるといいかもしれませんね。
臍の緒の異常による発育不全
臍帯とも呼ばれる臍の緒はお母さんの身体と赤ちゃんと繋いでいるいわば命綱。ここから赤ちゃんは栄養や酸素をもらいます。
臍帯に異常があると、そうし栄養のやり取りが滞るので、当然発育にも問題が出てきます。臍帯の異常には次の様なものがあります。
臍帯巻絡 | 臍の緒が赤ちゃんの体に巻き付いている状態 |
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臍帯過捻転 | 臍の緒が強くねじれている事 |
要するに臍のがねじれて、管の中の通りが悪くなっている状態です。エコー検査で見つかることもありますが、経過観測が大切です。
分娩中の胎児仮死や、死産の可能性も出て来るのです。そのため、危険を避けるために、低体重でも誘発分娩や帝王切開などで出産を早めるという方法が取られます。
低体重児になる「母体側」の要因
赤ちゃんの体を育てているのはママの体です。そのため母体にトラブルがあると、赤ちゃんが無事に育たないのです。
原因によっては、注意していることで防げるものもあります。赤ちゃんの健やかな発育のためにも、ママの責任は重要ですよ。
喫煙
喫煙は血管を細くします。妊娠中のママがタバコを吸っていると、血管が細くなる影響で赤ちゃんへ栄養が届きません。
赤ちゃんは、ママの血液を通さないと酸素や栄養を受け取ることが出来ないのです。そのためママの血行が悪いことは大問題です。
妊娠中に喫煙の習慣が抜けないと、母体はずっと血行が悪いままです。赤ちゃんはご飯を少ししかもらえていない状態なのですね。
赤ちゃんが出来たら、喫煙はきっちり止めましょう。健康な子を出産するために、一番大切なことなのです。
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妊娠中の飲酒
喫煙と同様に、妊娠中のアルコールも胎児には良くありません。胎児性アルコール症候群と言って、赤ちゃんがお酒を飲んでいる状態になるのです。
そのため、発育不全や神経の成長の阻害などが起こります。胎児性アルコール症候群になると、正期産でも低体重である可能性があります。
妊娠したらアルコールを絶つことも重要です。飲酒や喫煙の習慣のある妊婦さんは、この点を忘れないでくださいね。
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ママの食生活
痩せ願望の強いママは、妊娠しても体重が増えることを嫌って、食事の量を減らす傾向にあります。
また、酷いつわりで食べものが全く喉を通らない場合、急激に体重が減ってしまうママもいるでしょう。
極端な場合には、つわりのせいで体重が5%も減少してしまう方もあります。ここまで強いつわりは胎児にとっても深刻です。
ママが食べる食事の量が少ないと、低血糖など栄養不足の状態になり、当然胎内の赤ちゃんも栄養が足りません。
妊娠したら、過度のダイエットは控えましょう。お腹の中に生命を抱えている自覚を持って、自分の力で育てるのだと思ってください。
また、妊娠前のママの食生活に次の様な特徴があると、低体重児になるという研究があります。
- 鉄分不足
- ビタミン不足
- タンパク質不足
- スーパーのお惣菜などを中心とした食
体は口に入れたものから作られます。赤ちゃんの体も、ママが口にしたもので出来ていると言うことを忘れてはいけません。
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歯周病
歯周病の原因となる歯周病菌は、まれに歯グキのすき間から体の中に入り込むことがあります。
体の中に取り込まれた歯周病菌は、血流に乗って全身を巡り、胎盤から子宮の中に入ってしまうこともあるのです。
歯周病菌が子宮に入ると、胎児を包んでいる絨毛膜に炎症を起します。あるいは子宮の急な収縮を引き起こします。
子宮の収縮をうまく抑えられないと、切迫早産が進行して予定日よりも早く出産を迎えてしまいます。結果体重も少なくなるのです。
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妊娠高血圧症候群
妊娠してから血圧が高くなってしまう症状です。血圧が高くなると、胎盤の血管に圧力がかかり、血流が阻害されます。
この状態でも、胎児は成長に必要な栄養をもらえません。喫煙の時と同様に、ご飯が少ない状態なのです。
妊娠高血圧症候群の原因は、まだ分かっていません。しかし仮説の中に、胎盤の形成不全というものがあります。
胎盤は赤ちゃんを育てるための重要な器官です。正常に発達しないことで、赤ちゃんに栄養を上手く渡すことが出来なくなるのです。
妊娠糖尿病
妊娠をきっかけにして血糖値が高くなってしまう病気です。妊娠糖尿病になると、インスリンの働きが阻害されるために胎児は過剰に成長します。
ですがその一方で、血糖値を下げる治療の影響から、低体重になってしまうという側面もあるのです。
妊娠糖尿病は放っておくと産後もママが糖尿病になったり、赤ちゃんが低血糖に陥るなど深刻な病気です。
特に身体が小さくなりすぎないためにも、プレママさんは食事や運動などで血糖値が上がらないよう、コントロールすることが必要です。
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胎盤の異常
既に述べたように、胎盤に異常があると低体重児の原因になります。主な異常は次の通りです。
- 前置胎盤
- 胎盤機能不全
- 胎盤自体が小さい
これらはいずれも、胎盤がうまく働かずに、赤ちゃんの体の中の酸素と栄養のやり取りが邪魔されます。
- 前置胎盤
- 胎盤が子宮口近く、あるいはその付近にあるため、胎児の成長とともに圧迫されやすくなります。そのため血液の交換が阻害されます。
- 胎盤機能不全
- 胎盤が上手く働かずに、酸素や血液の交換を行えない状態です。原因は、まだ解明されていません。胎児には危険な状態です。
胎盤は一度形成されると、後から治療することが出来ません。胎盤の異常は低体重児出産の原因の中でも特に深刻です。
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子宮内感染症
子宮口から細菌などが侵入して、子宮を形成している絨毛膜や羊膜に炎症が起きることを。子宮内感染症と言います。
主なものは次の通りです。
- 絨毛膜羊膜炎
- 子宮頸管炎
絨毛膜や羊膜は赤ちゃんの身体を覆っている大切な組織です。ここに炎症が起きると、子宮の収縮を促して早産を引き起こします。
また絨毛膜の炎症のせいで子宮の入り口が柔らかくなり、開きやすくなる子宮頸管炎も誘発されます。
37週以前の早産は低体重で生まれる確率も高くなります。感染症にかかることによって、赤ちゃんは身体が小さいまま生まれてしまうのです。
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前期破水
破水は陣痛が始まって、から起きるのが通常です。しかし前期破水の場合は、陣痛が来る前に羊水が子宮の外に漏れだしてしまうのです。
そうなると、赤ちゃんはまだ身体の成長しきっていなくても外に出なくてはなりません。それに子宮口も開き始めるので、出産は進行してしまうのです。
その場合は帝王切開手術が行われます。週数が早いうちの前期破水のでは、低体重で生まれてくる可能性が高まります。
多胎児の妊娠
近年では、晩婚化の傾向にあることから、不妊治療を受ける夫婦の数が増えています。不妊治療の際、受精卵を複数子宮に戻すと言う方法が取られます。
これは着床の確率を上げるための措置なのですが、結果として双子や三つ子などの多胎児を妊娠するケースが増えました。
多胎児の場合はどうしても1人1人の身体が小さくなってしまうのです。そのため、正期産に近い週数までお腹に居て成長を待つ必要があります。
注意すれば防げることも。ママの自己管理が大切です
赤ちゃんが低体重になってしまうことは、先天的なものが原因で防ぎようが無い場合もあります。反面母体を要因とする場合も。
特に、喫煙を続けたり食事の量が少なかったりすると、低体重になるリスクが高くなります。ママはこの点を注意しましょう。
赤ちゃんを大きく出来るのはママだけです。食事や生活習慣病の見直しなど、妊娠したら出来ることはなんでもやってくださいね。
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超低体重児の母さん
2500g以下が低体重児は合っていますが、正しくは1500g以下が極低出生体重児、1000g以下が超低出生体重児ですよ。
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mama-senseiさん
記事をお読みいただきありがとうございます。
コメント内容について、修正させていただきました。以下→未満 という部分も直してあります。
貴重なご意見本当に助かりました。ありがとうございました。
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