妊婦の夏の過ごし方。暑さだけではない気を付けるべきポイント

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2018/07/02

気温の高い日が続く季節は、汗をたくさんかくので体力を消耗しがちです。そんな時期に大きなお腹をかかえて過ごす妊婦さんは大変ですよね。

特に、女性は妊娠すると黄体ホルモンの働きによって体温が高くなり、体に熱がこもりやすくなるのです。

更に夏場の妊娠は、それ以外の時期に比べて注意すべきことも多くなります。

夏に妊娠を経験する妊婦さんは、毎日の生活にどんな注意をすべきでしょうか。

水分補給が大切!熱中症予防のため

妊娠中に夏を迎える妊婦さんは、何と言っても気温に上手く対処しなくてはなりません。汗のかきすぎや体温の上昇は時に危険な症状をもたらします。

代表的なものが熱中症です。近年夏に熱中症で搬送される方の数が増えていて問題になっています。そこで妊婦さんは特に注意が必要。

その理由はなぜなのか。妊娠と熱中症の関係を見て行きましょう。

妊娠中は通常より熱中症のリスクが高まります

妊娠中は、女性ホルモンのプロゲステロンの影響で体温が高くなります。その影響で妊婦さんは体温調節が上手くできません。

そのため妊婦さんは体に熱がこもって汗を大量にかき、体内の水分が失われ脱水を起こし、熱中症のリスクが高まります。

妊婦さんが熱中症になると以下のような症状が現れます。

  • 酸欠
  • めまい
  • 立ちくらみ

特に心配なのが酸欠ですね。ママが酸欠になってしまうと、お腹の赤ちゃんにも酸素が行きわたらなくなってしまいます。

赤ちゃんに酸素が届かなくなるのはとても危険な状態です。お腹の中で呼吸が出来なくなると言うことですからね。

また酸素を運ぶ血液の流れも悪くなってしまいます。栄養不足になり発育不全を起こしかねません。

加えて注意すべきなのがめまいや立ちくらみです。それは転倒の危険性を伴っているからです。

万一めまいが起こって倒れてしまったら、お腹を床にぶつけてしまうかもしれません。これも充分警戒うべきことです。

転倒してお腹を打ってしまうと、破水が起こったり常位胎盤早期剥離と言って胎盤が子宮から剥がれてしまうおそれがあります。

常位胎盤早期剥離
胎盤は産後に胎外に排出されるのが通常。しかし常位胎盤早期剥離の場合は、様々な要因からまだ出産に至らない時に胎盤が剥がれてしまうことを言う。

胎盤剥離が起きると子宮内で出血が起こり、胎児には酸素や栄養が行きわたらなくなり、母体は胎盤後血腫という状態になり血液が固まりにくくなる。

出血した場合この胎盤後血腫になっていると、出血性ショックなどを引き起こし非常に危険。

熱中症の危険を防ぐためにこまめな水分補給をしましょう

このように、妊婦さんが熱中症になるとリスクが大きいです。そこで、熱中症の危険を防ぐためにも、1日2リットルを目安に水分補給をしましょう。

でもコーヒーなどカフェインが入っている飲み物は利尿作用があるので水分補給の意味がありません。

妊娠中におすすめなのは、常温のお水や麦茶を飲むことです。特に麦茶はミネラルが豊富なので、汗で失われる体のミネラル分を補ってくれます。

あるいは、適度な塩分はミネラルを含んだ経口補水液を使って、脱水症状になるリスクを避けましょう。

また体に熱がこもるのを防ぐために、クーラーを上手に使って部屋の気温が高くなりすぎないように工夫しましょう。

夏の室内を適温である28度程度に保っておくことで、汗のかきすぎを防げます。体の中の水分量を正常に維持できれば、熱中症の危険も回避できます。

体を清潔に保つことを心がけましょう

妊娠中はホルモンの影響で肌質が変化します。そのために夏場肌が荒れたり、あせもや湿疹ができてしまうことも多いです。

こうした夏の肌トラブルを防ぐためには、汗をかいたらこまめにシャワーを浴びたり、服を着替えたりして体を清潔に保つことが大切です。

特にシャワーは気分転換にもなるので、妊娠中に感じやすい倦怠感や、つわりによる気持ちの落ち込みを解消する手段になります

と言っても、冷水でのシャワーは厳禁です。お腹を冷やしてしまいかねませんから。必ず温水のシャワーを浴びましょう。

そして夏用の通気性の良い、速乾性のインナーなどを用意しておきましょう。今ユニクロなどで清涼感のあるインナーが多く市販されています。

汗をかいても清潔感を保てたりするので、安定期に入ったら洗い替えもかねて大目に用意しておくのもいいですね。

伸縮性の高いものなら、お腹が大きくなっても使用することができ、出産後も引き続き着ることが出来て便利です。

お腹を冷やさないように注意を

熱中症予防の所でも述べましたが、室温は28度が適温です。これ以上クーラーの設定温度を低くすると、お腹を冷やしてしまうかもしれません。

お腹が冷えると言うのはどういうことでしょうか。母体と赤ちゃんにどのような影響が見られるのでしょうか。

お腹を冷やすことによる様々なリスク

妊婦さんのお腹の冷えとは、以下のような手順で起こります。

  1. 母体の体温が下がる
  2. そのため体内の血液の温度も下がる
  3. 子宮に伝わる血液も冷たくなる
  4. お腹が冷えてしまう
お腹が冷えて、子宮の中の温度が低くなると、中の胎児は温かい場所を求めて動き回ります。そのため逆子になってしまう危険性があります。

またお腹が冷えることによって筋肉が硬直してしまい、身体が痛みに敏感になります。そのため危険を感じて陣痛が弱くなってしまうかもしれません。

陣痛が弱くなると、お産に時間が掛かってお母さんにも赤ちゃんにも負担になります。また産後の回復も遅くなるデメリットがあります。

そもそも妊婦さんとは身体を冷やしやすいもの

夏はエアコンの設定温度を低くしない工夫が必要です。一般的に妊婦さんは身体を冷やしやすいと言われています。

それはホルモンのバランスで自立神経の働きが乱れるからです。そこへ室温まで冷えてしまったらより悪影響です。

また、エアコンの効いた室内から屋外に外出する際に、外気との急激な温度差によって更に自律神経の働きが乱されてしまいます。

温度差は人の体に激しいストレスを与えます。そのため、冷えた身体で外の暑い空気に触れると、身体が耐えきれなくなって夏バテを起こしてしまいます。

夏バテを起こすと、ただでさえ食事がとれない時期に余計食欲が無くなってしまいます。そ他にはめまいを起こしたり風邪を引きやすくなったりなど、いいことはありません。

安全な出産のためにも、夏とはいえ身体の冷えや温度差には注意しましょう。冷えは様々なトラブルの元ですから。

夏休みの旅行に行きたい時は、体の負担になることを避ける

夏休みだから、旅行やアウトドアに出かけたいという方もいますよね。注意点は、あまり遠出をしないと言うことです。

妊娠初期の間はまだ胎盤が安定していません。そんな時期にはあまり体に負担が掛かるようなことは避けましょう。急な運動や長距離移動などです。

また、7か月以降は早産の危険があるので、やはり長距離移動には注意が必要。車で移動する場合には1時間ずつ休憩して、身体を動かすなど血流が悪くなるのを防ぎましょう。

海水浴は雑菌の多い環境なので子宮内感染症にかかる可能性があります。妊娠中に海に行くのは止めましょう。

子宮内感染症
膣内から最近が子宮の中へ移動し、子宮のなかで炎症を起こす症状。このため子宮口が柔らかくなってしまい、破水を起こしやすくなる。

また重症の場合は陣痛が起こって早産につながる。非常に危険で注意が必要な症状。

妊娠は病気ではありませんが、体は大きく変化しています。以前と同じ感覚で気軽に旅行に出かけるのは避けましょう。

万全を期すためには、旅行先にある病院などを調べておいて、いざと言う時に受診できるように、住所や電話番号を控えておくことです。

それでも体に負担になることは変わりませんから、妊娠中のレジャーはやはり自宅の近辺で楽しむことをおすすめします。

夏場に流行する感染症にかからないように注意を

夏は気温が高く、湿度も高くなることから、細菌やウイルスが繁殖しやすくなります。そのため感染症や食中毒が流行しやすい時期です。

妊娠中に感染症にかからないことが一番ですが、万一感染してしまったらどのように対処すればいいのでしょうか。

また妊婦さんが掛かりやすい感染症とは、どのようなものがあるのでしょうか。見て行きましょう。

夏に流行する手足口病

夏に流行る感染症の代表的なものに、手足口病があります。これは字の通り手や足や口の周辺に湿疹が現れる疾患です。

お子さんによく見られる感染症で、保育園などで大流行するケースが多いようです。上にお子さんが居て、保育園に行っている場合は注意しましょう。

妊婦さんは通常よりも免疫力が低くなっているので、手足口病を発症すると重症化することがあります。

高熱が出たり、湿疹が水膨れのようになってしまうことも。ですが症状は自然に寛解していく場合が多いようです。

またこの感染症にかかった場合に、お腹の赤ちゃんに影響する心配はありません。ですが万一感染してしまわないように、手洗いうがいやマスクの着用を心がけましょう。

早産の危険も!ノロウイルス感染には特に注意を

ノロウイルスは、感染性胃腸炎を起こす原因となるウイルスで、夏場に流行します。食中毒の原因としてもよく知られていますね。

ノロウイルスに妊婦さんが感染してしまうと心配なのが、下痢が続いてしまうことです。下痢によって腸の働きが活発になると、子宮が刺激されてしまいます。

その結果お腹が張って子宮が収縮しやすくなり、最悪の場合には流産や早産の危険性が高まってしまいます。

妊娠中にノロウイルスの感染が疑われて、下痢が続く場合にはすぐに受診をして整腸剤などを処方してもらいましょう。

また、下痢によって産道周辺が汚染されてしまう心配もあります。そこでお手洗いを使う場合はビデを使って陰部の清潔を保ちましょう。

食欲が無いときはのど越しのよい食べ物で対処

気温が高いときには食欲が落ちやすくなります。つわりが酷い場合でも同じですね。妊娠初期に猛暑の季節を迎える妊婦さんは、食欲が湧かなくて大変です。

また身体がだるくて料理をする気になれなかったり、火を使うのが暑くて辛くて台所に立てない、という場合もあるでしょう。

暑くて料理するのが辛いときは、季節の野菜を使ったグリーンサラダやグリーンスムージーなど火を使わないものでビタミンや食物繊維を補いましょう。

つわりがきついとき、炭酸飲料なら飲むことが出来た、という妊婦さんは多いようです。コーラやソーダなどの発砲水のことですね。

私もつわりが酷くて寝込んでいた時に、先輩ママに「私は市販のサイダーだったら飲めたから試してみたら?」と勧められました。

確かに、炭酸飲料は飲むと口の中がさっぱりして少し気分が良くなります。またげっぷすることで胃の苦しさが改善されるという口コミもあります。

ですがコーラやサイダーには糖質が多く含まれていて、体重増加や妊娠高血圧症候群に陥る危険があります。飲み過ぎには注意です。

食欲が無いとき、のど越しの良い物なら口に運びやすいです。特に、キュウリのようなウリ科の野菜は身体の熱を取ってくれる作用があります。

熱がこもりがちな妊婦さんは、キュウリを切って食べるだけでも清涼感を得ることが出来るのでおすすめします。

でも冷たいものばかりだと体を冷やしてしまうので、レンジを使った温野菜なども加えて取るようにしましょう。

熱中症に感染症…体調管理が大切な妊婦さんの夏

夏は熱中症にかかりやすくなり、感染症が流行しやすい季節ですね。通常とは身体の状態が違う妊婦さんはとくに心配なことが多くなります。

熱中症にかかると母体だけでなくお腹の赤ちゃんにも影響があったり、感染症にかかっても早産のリスクが見られたり。

妊婦さんが夏の体調管理は、普段の時よりも更に注意が必要です。健康な赤ちゃんを産むためにも無理は禁物。

水分補給に気を付けたり、冷え症に注意したり、夏休みがあるからと言って無理な遠出をすることは控えましょう。

身体を壊すことなく上手に熱い季節を乗り切って、お腹の赤ちゃんと伴に穏やかに過ごせるように工夫をしましょう。

みんなのコメント
  • 保健所さん

    ノロウィルスが流行するのは冬です!

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