乳腺炎を食事制限で予防はストレス…食事制限でなく楽しめる母乳育児

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2016/10/11

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赤ちゃんが生まれて母乳で育児をしていると、おおよそ半数くらいの方が母乳関連のトラブルに一度は見舞われるそうです。

特に乳腺炎になるとママはとてもつらい思いをするため、早めに助産院や病院の母乳が依頼に駆け込む人も多いでしょう。

そして、乳腺炎の予防や防止、質の良い母乳のために食事制限を勧められることは以前からよく見られたことです。

中には極端な食事制限によりママにストレスがかかってしまい、母乳の出に影響が出てしまうこともあるそうです。

しかし最近の研究により、乳腺炎と食事制限とは関連がないことが分かってきました。

母乳と食事との関係をもう一度見直し、ママも食事を楽しんで母乳育児が出来るコツをおさえましょう。

なると辛い乳腺炎!その症状

乳腺炎とは、何らかの原因により乳腺の組織に炎症が起こり、乳房が赤く腫れたり、痛みや膿、しこりなどが見られる乳腺の炎症です。

授乳期以外でも起こることもありますが、そのほとんどが授乳期に起こります。

授乳期の母乳分泌が過剰で赤ちゃんが十分に母乳を飲まない場合に起こりやすく、乳房の中に母乳が溜まりうつ乳となります。

また、歯が生え始めた赤ちゃんがまだ授乳を必要としている時、授乳の際に擦れたり噛んだりして傷が出来やすくなります。

その場所から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入して感染を起こしたり、うつ乳がひどくなって化膿してしまうこともあります。

細菌感染を起こしてしまうと、乳頭から膿が出てきてしまう症状もあります。

実は全部大丈夫!母乳育児でNGとされる食べ物達

母乳中心で育児をしよう!と決心すると、親など周囲から色々な食べ物の制限を言われて驚く人も多いです。

特に子育て経験者が口にすることが多い「NGとされる食べ物」はいくつかありますが、科学的には食事と母乳の質とには因果関係がないことが分かっています。

  • お餅
  • 乳製品と甘味
  • 揚げ物と香辛料

これらの母乳に良くないとされる食べ物について、一つずつ詳しく見ていきましょう。

おっぱいが張りやすくなるらしい?お餅

  • 「もち米で出来た食品を食べるとおっぱいが張って乳腺炎になる」
  • 「お餅は母乳育児の大敵」

これらの文言が、つい最近までまかり通っていたようです。

お餅=ねばねばしている、ということで、母乳自体も粘り気が出て張りやすくなるという説が一般的なようです。

しかし、母乳はそもそもお母さんの血液から出来ています。

お餅を食べたら血液がねばねばになる、なんてことはありませんし、高カロリーの食物を摂り続けると乳管が詰まりやすくなるという医学的な根拠はありません。

乳汁がうっ滞すること以外の因子と乳腺炎との関連は、結論が出ていない。
(中略)
特定の食事内容がヒトにおける乳腺炎のリスク因子となるエビデンスは存在しない。

また、「お餅を食べると胸が大きくなる」という迷信も、この食事制限に拍車をかけています。

お餅は炭水化物ですので、摂りすぎればそれだけ脂肪がつきます。胸のふくらみは脂肪ですから、そこから胸が大きくなるという迷信が出来たと考えられます。
しかし、脂肪は胸だけではなく身体の至る所につきますので、乳腺炎やおっぱいの張りとは全く関係ないのです。

母乳が詰まりやすくなるらしい?乳製品、甘いもの

  • 「乳製品をたくさん摂るとおっぱいが濃くなってしまうから、詰まりやすくなる」
  • 「甘いものを食べると母乳が固くなる」
  • 「生クリームは絶対に摂ってはダメ」

しばしば聞かれるこれらの説も、全て科学的に根拠がないものだと証明されています。

先にも述べましたが、母乳の材料は血液です。乳製品によって血液が濃くなったり、甘いものによって成分が変わるということはありません。

ただし、甘いものを毎日山のように食べ過ぎれば糖尿病など別の病気のリスクが上がり、母乳育児どころではなくなってしまうこともあります。

毎朝牛乳を飲み、毎日の3時のおやつに甘いもの…というような普通の生活をしている分には、乳製品や甘いものを無理矢理避ける必要は全くないのです。

母乳の味が悪くなるらしい?揚げ物と香辛料

  • 「揚げ物を食べると母乳の質が下がる」
  • 「香辛料の入った食べ物は母乳も辛くなる」

このような文言も未だによく見られますが、全て科学的に否定されています。

何度も書きますが、母乳は元々血液です。揚げ物や香辛料で血液に即何かが反映されるということはありません。

また、赤ちゃんは香辛料とニンニクをたくさん食べた母の母乳を飲んでも哺乳行動に変化はなかったという論文もあります。
栄養状態や食生活が全く違う北欧とアフリカの母親の母乳を分析・比較した結果、ほぼ同じであったという研究もあります。

お母さんが何を食べるとおいしくなり、何を食べるとまずくなるということも科学的には証明されていません。味覚センサーを使った研究論文でも違いはでていないようです。

引用…森戸やすみ著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』

ただし、母親が食べたものの成分は母乳に0.06~1.5%程度の割合で移行するといわれており、移行の度合いによっては赤ちゃんの嗜好次第で嫌がることもあります。

極端に辛いものや、においのきついものは避けておいたほうが無難です。

実は食事以外が重要!乳腺炎の5つの理由と対処法

ここまで見てきて、食事と母乳の関係は想像以上に大らかなもので、食事制限はほぼないと言っても過言でないことが分かったかと思います。

しかし、乳腺炎に悩まされる母乳育児のママはたくさんいます。

食事が原因でないのであれば、乳腺炎の原因となっているのは一体何なのでしょうか。

考えられる原因は5つあります。

  • 乳首の傷
  • 乳腺の問題
  • ストレス
  • 肩こり
  • 哺乳量

それぞれを詳しく見ていきましょう。

1.赤ちゃんの吸い方に問題…乳首の傷

生まれたばかりの赤ちゃんは、原始反射の中の「吸啜反射」という生まれ持った反射能力でおっぱいを吸います。

しかし、おっぱいをあげる方も飲む方も初めて同士ですから、上手にうまく飲める・飲ませられるとは限りません。

飲んでいる時に乳首を引っ張りすぎたり、歯茎で甘噛みしてしまったり、先の方だけ強く吸いすぎたりといった問題が起こります。

その結果、お母さんの乳首に傷がついてしまい、授乳の度に傷が痛んで授乳自体が苦痛となってしまう人もいます。

傷が腫れたことで乳腺にも影響が出たり、傷の痛みで同じ方向からしか吸わせないようにすることで乳腺の刺激に偏りが出たりして、乳腺炎に発展することが考えられます。

対策として、母乳育児用のニップレスを付けて傷を保護してなるべく早く治すようにしましょう。

また、傷が出来ないように授乳の姿勢を見直してみましょう。

乳輪全てが赤ちゃんの口に隠れるくらい深く含ませ、唇が内側に巻き込まれないように「ドナルドダックのような口」で乳首全体を吸わせてください。

2.生まれつきの問題…乳腺の細さ

そもそも、乳腺の太さや多さ、母乳の生産できる量は生まれもったものです。

母乳が出すぎてしまう人がいる一方で、母乳が出ないことに悩む人がいる理由の一つも、乳腺の違いです。

乳腺が太い人よりも乳腺が細く、母乳の生産量が豊富な人は精算した母乳を全て放出することが出来ず、乳腺が詰まりやすく炎症を起こしやすいです。

乳腺が細い場合は頻回の授乳と搾乳を心がけ、岩のようにおっぱいが張る前に母乳を出す習慣を身につけましょう。

最初は辛いかも知れませんが、1、2ヶ月くらいで生産量と放出量とのバランスが取れるようになる場合が多いです。

3.食事以外にも色々な原因…ストレス

赤ちゃんと一緒の生活は、どんなに楽しもうと思っても常にストレスと隣り合わせです。

24時間のお世話による寝不足、家事が進まないフラストレーション、なかなか自分の時間が持てない…など、多くのストレスの原因が考えられます。

ストレスによって乳腺が閉じてしまい、母乳の分泌が滞って乳腺が詰まり、炎症を起こして乳腺炎になる人もいます。

対策はストレスを出来る限り取り除くしかありません。出来る限り周囲の人に協力してもらい、休息の時間やリフレッシュの時間をとるようにしましょう。

4.授乳の姿勢にも注意…血行不良、肩こり

赤ちゃんが成長するにつれて重みが増し、横抱きの場合授乳姿勢がどんどんと前かがみになる人がいますが、これは肩こりの原因となります。

肩こりによってデコルテあたりが血行不良を起こし、血液が元となる母乳の生産に影響を及ぼすことで乳腺炎となる場合があります。

肩が凝りやすい人は、授乳姿勢を毎回横抱きではなく色々と変化させるのがおススメです。

わきに抱えるフットボール抱きで飲ませる、縦抱っこで飲ませる、添い乳するなど、特に赤ちゃんが重くなってからは姿勢に変化を持たせましょう。

授乳以外のタイミングで腕を回すストレッチやマッサージをするのも効果的です。

腕回しのストレッチ

肩全体をぐるぐると大きく回す。肩こり解消の肩回しのイメージ。

マッサージ

首の後ろの部分を親指を使って押す。ゴリゴリと音がする部分は血流が滞っている証拠。痛気持ち良いくらいの力加減で。

哺乳量とのバランスが不安定…飲む量の減少

母乳だけではなく、ミルクとの混合で育児を行っている場合は、赤ちゃんの母乳を飲む量が減ってきている可能性があります。

乳首を吸って母乳を飲むより、哺乳瓶からミルクを飲む方が簡単なので、赤ちゃんも「ミルクをたくさん飲めばいいや!」と思っているかもしれません。

そうなると、母乳が分泌されても十分に吸ってもらうことが出来ず、どんどんと母乳が溜っておっぱいがパンパンになり、乳腺炎を引き起こす原因となります。

対策として、おっぱいが張り始めたら出来るだけ赤ちゃんに吸ってもらうようにしましょう。一度嫌がると練習が必要なこともあるので、気長に咥えさせて待ってみてください。

どうしても吸ってもらえない場合は、胸が張りすぎないように自分で搾乳をしましょう。

NG食品は特になし!母乳育児はバランスが大切

乳腺炎の直接原因は食事ではなく様々な原因があることをここまで見てきましたが、食事で気を付けるべきことは本当に何もないのでしょうか。

結論から申し上げると、「制限はほとんどないがバランスが大切」です。

  • 母乳の味
  • 血液の質
  • 気を付けるべき成分

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

母乳の味に食事は影響なし…カレーもニンニクもOK!

何度も重ねて申し上げていますが、母乳はママの血液から出来ています。そのため、母乳の味と食事に関連性は認められません。

前の項目でも述べましたが、赤ちゃんは香辛料とニンニクをたくさん食べた母の母乳を飲んでも哺乳行動に変化はなかったという論文もありますし、成分も食生活の違いで異なることはないのです。

もし香辛料やニンニクが母乳に影響を及ぼすのであれば、インドや韓国のお母さんたちは母乳育児が出来なくなってしまいます。

ただし、生まれ育った環境によって人間本来の対応力などもあるので、日本人なのにインドカレー食べてばかりとか、キムチを過剰摂取するといった生活は不向きです。

こんな極端なことをしない限り、人間は哺乳動物ですので、母乳の味で哺乳を辞めるということはないのではないでしょうか。

目指すは血液サラサラ…バランスの良い食事であればOK!

母乳は血液で出来ているので、血液の質を高める食事は母乳に良い食事と言って良いでしょう。

いくら食事制限がないからと言って、極端な偏食で3食カレーにする、毎日とんかつを食べる、毎日ケーキをワンホール…というのは、血液に影響が出ます。

つまり、ママの健康そのものも脅かされるような食生活はしないように、バランスの良い食生活を心がければ十分です。

和食でなくても構いません。

絶対に気を付けなければいけないのはカフェイン・アルコール・薬!

食事制限はないと言ってきましたが、気を付けなければいけない飲食物が3つあります。

  • カフェイン
  • アルコール
  • お薬

これらは口にすると血液にも影響が出るので、すなわち母乳にも影響があると考えられているからです。

カフェインは脳を刺激し感覚や運動機能を高める作用があり、まだ未熟な赤ちゃんの臓器にカフェイン分解の負担は大きいと考えられています。

授乳中の母親がカフェインを摂取すると、そのうち1%前後が母乳に入り込むと言われています。

摂取できる量の目安は、妊娠中に気を付けるカフェインの量を順守し、1日200mg(コーヒーならば2~3杯)にとどめておきましょう。

アルコールは、成分が母乳に移行することは分かっているものの、どの程度までなら無害であるかなどの詳しいことはまだ分かっていません。

ただし、授乳中の飲酒が赤ちゃんに悪影響なことは判明しており、赤ちゃんの脳の発育に影響を及ぼす場合もあるため、アルコールは避けましょう。

薬は、お母さんが体調不良になった場合に病院で処方されたり、薬局で買い求めることがあると思いますが、自己判断で服薬するのは止めましょう。

医師や薬剤師に必ず授乳中である旨を伝えた上で、授乳中でも飲めるお薬を選ぶようにしてください。

バランスの良い食事でストレスフリーな母乳育児

ここまで、母乳と食事とは因果関係がないと言われても「甘いものをたくさん食べるとおっぱいが痛い」と感じるママもいるでしょう。

なので、やっぱり食事制限をしなければ…と思う方もいるかもしれませんし、いまだに乳腺炎と食事との関係を指導する本もたくさんあります。

また同じことをしていても、母乳が詰まりやすい体質という場合もあります。

自身の体と相談しつつ、ストレスをためない食事方法で「母乳育児を楽しむ」ことが大切です。

しかし「赤ちゃんのために…」食事制限に耐えること自体が、ママのストレスになってしまうようであれば、それはそれで大問題です。

妊娠中や母乳育児中に限らず、偏った食事や暴飲暴食は体に悪影響なのは明白です。

バランスの取れた食生活の中で、好きな食べ物を我慢せずに食べるということであれば、母乳育児にも悪影響は全くないのが現在の科学的な見解です。

それを知った上で、自身の食生活をもう一度見直し、食事を楽しみながら無理のない母乳育児生活を送れるといいですね。

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